伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年に続き2023年も目標達成!

インボイス導入で変わる消費税実務【令和4年改訂版】 課税事業者・免税事業者の対策

2022-10-18 21:29:35 | 実用書・ビジネス書
 2023年10月1日から導入されるインボイス制度の内容と売り手側・買い手側での対応・導入準備について解説した本。
 商品・サービスの購入側(その代金を経費としたい側)が消費税を本則課税(基準年度の課税売上高5000万円超)の事業者の場合に、仕入れ税額控除(自分の課税売上高にかかる消費税額から経費として支払った消費税額を差し引いて納税する)をするために、登録した適格請求書発行事業者が発行したインボイスを受け取り保管することが必要となるということでいろいろな業界を騒がせている問題です。導入後は、インボイスを発行できない/しない個人・零細事業者は、仕入れ税額控除をしたい取引先から排除され、取引停止となるのではと、個人・零細事業者には悩みの種になっています。私のような事業者でない個人や事業者でも零細規模(消費税は免税か簡易課税)の人の依頼しか受けない弁護士には、本来は関係ないことがらなんですが…
 インボイスの記載要件は、発行者の名称と登録番号、取引年月日、取引内容、税率ごとに区分して合計した価格(税込みまたは税抜き)と適用税率、税率ごとに区分した消費税額、宛先の名称で、「税率ごとに区分した」の点を気をつければ、通常の請求書や領収書に登録番号を打つだけのもので、実際書式はどうでもよくて全部手書きでもいいんだそうです(126ページ)。
 ただ、不備があると仕入れ税額控除を受けられなくて、税率ごとに区分した合計が書かれていないとか、端数処理が税率ごとの合計段階で1回だけにしなければならず商品ごとに端数処理した合計ではいけない(170~175ページ)とか、いろいろとうるさい面倒なことが起きそうです。代金振込時に振込手数料を売り手側の負担として代金から振込手数料を差し引いて振り込まれたときにはその振込手数料の処理のためにインボイスの交付要求をすることになったり(200~204ページ)、なんだか頭がクラクラ・イライラしてきます。振込手数料の消費税分の控除って、数円のために事実上それ以上の費用(担当者がそれにかける時間の賃金を考えると…)をかけるとか、なんか役人の自己満足か会計業界のニーズ開発のために振り回されているんじゃないかと思えてきます。


渡辺章 ぎょうせい 2022年7月21日発行
コメント
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