伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年に続き2023年も目標達成!

エグゼクティブ・プロテクション

2011-10-10 22:41:34 | 小説
 スルガ警備保障の警備チームを指揮する武道・格闘技の専門家で14歳年下の料理・選択が趣味の武道インストラクターと同居中の八木が、ゲーム機器メーカーのムゲンドーの走る広告塔だが故障が続き不振の笑顔がセールスポイントのマラソン選手日比野真姫の身辺警護を命じられ、銃弾と脅迫状の郵送、日比野のコーチ殺害、恋人の美容師の生首郵送と立て続けに起こる事件に対処していくサスペンス小説。
 私の目には、この作品の売りはとにかく、主人公の八木のキャラと見えました。クール・ビューティーというか、強くてりりしく、何が起こっても冷静で肝が据わっています。あまりにもかっこよすぎて現実感がありませんが、私が読んだ作品の中で、主人公女性のりりしさという点では「守人シリーズ」のバルサにも匹敵するくらい。作品としてもう少しまとまっていたら読書日記と別に「女の子が楽しく読める読書ガイド」でも紹介したいくらい。八木と同じチームのメンバーは、終盤を除いて全員女性ですが、その会話も関係もキビキビとしてドライでありながら友情を感じさせ、そちらもすごくいい感じです。
 残念なのは、八木を中心とする警備チームをこれだけりりしく描き上げながら、ストーリーの中心をなす日比野真姫に高橋尚子のイメージをダブらせ過ぎて高橋尚子とのディテールの差異に気を取られるし有名人のイメージに依存して売ろうとする安っぽさを感じてしまうことと、犯人の設定や検挙の経緯が全体のストーリー・構想から見てちゃちいというか尻すぼみで終わっている感じが強いことです。キャラが惹きつけられるだけに、もったいないなぁという感じを強く持ってしまいました。
 なお、表紙のイラストは色っぽいというかエロっぽいですが、濡れ場はありません。表紙でそういう誤解を与えて売ろうというあたり、安っぽく見えます。


渡辺容子 講談社 2011年6月10日発行
コメント
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