伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年に続き2023年も目標達成!

キャラクターとは何か

2010-03-25 23:46:39 | 実用書・ビジネス書
 日本のキャラクタービジネスについて、従来の議論が漫画やアニメの個々の作品や作者への思い入れに偏った「コンテンツ」からの語りや、出版社などの版権元の片手間的な業務が中心だったことを指摘し、プロのビジネスとしてみるべきことを論じた本。
 日本のアニメの質が高いから欧米でも受けているというような幻想を批判しつつ、同時に日本のキャラクタービジネスがコミケでのパロディやワンダーフェスティバル等でのガレージキット(アマチュア作成のフィギュア)などの無許可あるいは著作権者の一時的許可や黙認による複製によって市場を拡大してきたことを指摘しています。ファンによる複製を、著作権侵害として排除すべきか、タダで宣伝してくれていると見るべきかは微妙な問題で、売れていないうちは後者で売れてきて確実に利益が上がると見ると前者に出るのが著作権ビジネスに群がる人々の行動パターンですが、それって下積みのうちは内妻に食べさせてもらって人気が出ると内妻を捨てるスター(うちの業界では内妻に食べさせてもらっていた司法試験受験生が弁護士になると別れるとか・・・)みたいで、人間的には許せない感じがするのですが。
 学者じゃなくてフリーライターが書いたものにしては概念の議論が多い感じがして、例えばキャラクタービジネスはコンテンツの問題ではなくてプロパティの問題だとか議論してたりしますが、違う概念を持ち込んでだからどうなるの?って思います。
 「イエロージャーナリズム」の語源が、新聞漫画の走りの「イエローキッド」を2つの新聞「ニューヨーク・ワールド」と「ニューヨーク・ジャーナル」が同時に連載し醜い取り合いをしたことにある(126~128ページ)というのは初めて知りました。


小田切博 ちくま新書 2010年1月10日発行
コメント
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