伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年に続き2023年も目標達成!

深夜零時に鐘が鳴る

2010-03-07 23:09:06 | 小説
 繊維を扱う商社の事務職29歳匂坂展子が、学生時代に通ったハンバーガー屋で知り合った作話症の気のある不思議ちゃん「リコ」の元彼との遭遇を機に、6年前に失踪したリコを探し始め、その過程で恋愛に目覚める恋愛小説。
 魅力のあるような問題のあるような話題の人物リコを不在にしてそこを中心に話を進めるというところが作品の工夫なのだと思います。
 元彼の根上茂とそのフィアンセのそら豆さんのあくの強さがちょっと疲れますし、展子の会社の先輩で今は作家のはとりみちことその作品中の「タイム屋文庫」の関係とか最後に関連づけていますけど今ひとつしっくり来ないというか無理してる感じがしてしまいます。リコをめぐる推理として読むにはさして謎解きになってないというか、詰められた感じがありません。やはりリコの不在をダシにした展子の恋愛小説と読むべきでしょう。
 そう読んだときに今ひとつドキドキ感・高揚感がないのは展子の性格とか29歳という設定のためなんでしょう。ぼちぼち行こかくらいの恋愛小説なんだと思います。


朝倉かすみ 講談社 2009年11月26日発行
「うふ.」2008年6月号~2009年5月号連載
コメント
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