伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年に続き2023年も目標達成!

小規模宅地等の特例 基本と事例でわかる税務

2024-04-16 21:28:46 | 実用書・ビジネス書
 死亡した人が住んでいた持ち家の敷地を同居の家族が相続した場合330㎡まで、死亡した人が営んでいた事業に用いていた土地をその事業を承継した相続人が相続した場合400㎡までは、相続税課税の際の土地評価額(路線価で算定)を80%減額できるなどの、「小規模宅地等の特例」について解説した本。
 典型的なケースはわかりやすいのですが、少しイレギュラーな事情が出てくるとわかりにくくなり、ちょっとした違いで適用されなくなることへの注意が多数記載されています。ちょっとの違いで課税が大きく変わることについて、融通の利かなさ加減に驚きます。そういう不合理さを言われて制度改正が重ねられてきたことは説明されているのですが、制度改正がない限り不合理であれ規定は規定だという書きぶりです。
 その姿勢は、税務(財務省・税務署)一般の体質に加え、この本で度々使われている80%も減額する「大盤振る舞い」「恩恵」という見方が背景にあってのものだと感じます。しかし、もしこの特例がなかったら、土地の価格高騰の中で相続税の基本控除を減額する(課税ベースを拡大する)ことは不可能だったでしょうし、それでも強行したら税金が払えずに持ち家を手放す中間層が続出して持ち家政策が破綻していたはずで、この制度は現在の相続税制の前提であり根幹をなすものと評価できます。「恩恵」だから税務当局の好きにできるということではなくて、より合理的で融通の利く運用をしてもらいたいものです。


武田秀和 税務経理協会 2023年12月1日発行

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