伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年に続き2023年も目標達成!

ワンダー・ドッグ

2008-03-19 08:34:00 | 小説
 1人の高校生に拾われた捨て犬が高校のワンダーフォーゲル部で飼われることになり、その犬と高校の人たちの10年を描いた小説。
 「ワンダー・ドッグ」は驚くべき・不思議な犬ではなくて、ワンダーフォーゲル部にちなんで「ワンダー」と名付けられた犬のことなんですね。
 各章ごとに3年がたって、高校としては3世代登場する形で、犬との関わりで生徒たちが励まされたり悩まされたりしながら成長していく姿が描かれています。最後にワンダーフォーゲル部の同窓会で全世代が集い、思いと想い出が手堅くとりまとめられます。
 登場人物は、概ねいい人で、悪役もどこか憎めないし最初気にくわないヤツでも結局犬のおかげで角が取れていき、ほんわかした気分で読めます。明るい気分で軽く読みたい気分の時に向いてると思います。


竹内真 新潮社 2008年1月20日発行
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

エビと日本人Ⅱ

2008-03-19 07:52:47 | ノンフィクション
 バブル華やかなりし頃、日本人がエビを買い漁り、エビ養殖池のために東南アジアのマングローブ林が伐採され、現地の人々の低賃金の過酷な労働で日本のグルメが支えられていることを告発した前著から20年が過ぎ、その後のエビ事情をレポートした本。
 エビ飽食とマングローブ木炭のためにマングローブの伐採が進み、海岸線を守るマングローブがなくなったところへスマトラ島沖地震津波が襲い被害を大幅に拡大したことを語る書き出しは、迫力を感じますし考えさせられます。ただその後はどうも歯切れが悪い。この20年間に日本人のエビ消費量は減少し、エビ輸入No.1はアメリカになっているし、マングローブ林の伐採も、南アメリカの方がさらに酷くなっているとか。著者も、日本がエビ輸入No.1から転落したことを寂しく思っているようですし。エビ養殖についても悪いと言っているわけでもなくてきちんと考えてやる業者はむしろ持ち上げていますし、安全性についても、危険とも安全とも断言できないって言ってますし。
 むしろ著者の立場は、スッキリとした論旨で割り切るのではなくて、日本人が食べているエビの背景には東南アジアの人々の低賃金労働やマングローブ林伐採など多くの問題があることを自分で考えてみなさいね、それは簡単には結論が出ませんよということと見えます。


村井吉敬 岩波新書 2007年12月20日発行
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする