伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年に続き2023年も目標達成!

日本のお金持ち研究

2008-03-10 08:00:16 | 人文・社会科学系
 2000年、2001年の高額納税者リスト掲載の納税額3000万円以上(推定所得1億以上)のお金持ちへのアンケートとインタビューを元に日本ではどういう人がお金持ちになっているか、お金持ちはどのような生活をしているか、何を考えているか等を分析した本。
 前半は読みやすく、後半に行くほど経済学・哲学的な色彩が強くなって学者さんの研究っぽくなっていきます。前半が読みやすいのは、医者と弁護士の分析で、私の興味が向いているからかも知れませんが。
 さて、高額納税者の職業は、企業経営者が30%強、医者が15%強で、この2者で半分近くを占め、世間で医者と並べ称される弁護士は約0.4%(22頁)。そうですよね。弁護士やっていると、弁護士がそんなに儲かると思えないですもんね。
 ただ、これまで、医者と弁護士の経営上の一番大きな違いは保険制度の有無だと思っていました。医者は健康保険のおかげで高額の料金を取っても患者自身の支払は少ないので客が離れない。弁護士は全額を客からもらうので高いと思われるわけです。白内障の手術が技術が発達して日帰りでできるようになった上保険が利くようになって眼科が大儲けした(51~56頁)という話は、まさにそれ。でも、敢えて保険が利かない全額自己負担でも需要がある美容外科が有望なんて話(40頁)をみると、それだけでもないようですね。
 医者も弁護士も高額所得者は特定の専門分野を持っているというのも、まぁそりゃそうでしょうけど、ちょっと考えてしまいます。


橘木俊詔、森剛志 日経ビジネス人文庫 2008年2月1日発行 (単行本は2005年)
コメント
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