伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年に続き2023年も目標達成!

派手な砂漠と地味な宮殿

2008-03-04 07:34:36 | 小説
 岡山出身の元ヤンキーで今はニューヨーク在住の化粧品会社社長のセレブで売る水絵ギルバートと地味な漫画家田中さゆりの2人の41歳女が、テレビ番組で共演したのを機に反発と共感を感じつつ交差する小説。
 ツッパリ続けながら焦燥感を持ち続ける水絵ギルバートと、頼まれると断れないために悪質なマネージャーにピンハネされながらテレビ出演をし続けるのだけど冷静な田中さゆりが、正反対に思いつつ悩みを話せる相手として接近していき、しかしすれ違います。
 前半は自己主張の強さとスッパリした言動で水絵ギルバートの方が目立つのですが、私はむしろ地味で人に逆らえず受動的に動いているように見えながら意外にしたたかな田中さゆりの方の人物造形に興味を持ちました。ストーリーの流れは、それなりにはあるのですが、ストーリーよりも性格設定と心理描写の方が読みどころと思います。


岩井志麻子 祥伝社 2007年12月20日発行
コメント
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