獅子丸のモノローグ

☆気まぐれ不定期コラム☆

TAKURO TOUR 1979/吉田拓郎

2006年04月15日 | 今だから拓郎を語る

 吉田拓郎を聴くようになったきっかけは、長渕剛だった。
 80年代初期には、あまりこだわらずに色々なミュージシャン(おもに邦楽だが)のLPを貸しレコード屋から借りて聴いていたが、特に私の心に響いたのは、長渕であった。当時、長渕の影響でアコースティックギターを練習していた私だが、「ギターブック(GB)」という雑誌の記事に長渕のインタビューが掲載されており、それを見て驚いた。長渕がギターを始めるキッカケになったのは、「吉田拓郎」だったというのである。当時の私が持つ吉田拓郎のイメージというのは、シングル盤の「結婚しようよ」であり、「サマーピープル」等、なんとなく歌謡曲っぽいというか、軟派っぽいという印象を抱いていた。当時の長渕の楽曲と吉田拓郎がどう繋がっているのか、私には理解出来なかった。そこで、その謎を解き明かすために、貸しレコード屋で借りてきたのが「TAKURO TOUR 1979」という2枚組み(+アンコールシングル)のLPだったのだ。

   

 1曲目の「知識」を聴いて度肝を抜かれた。それは、まるでストライクでスイカを叩き割ったような衝撃だった。「軟派なフォーク歌手」という私が持っていた勝手なイメージを払拭して余りあるほどの、雄々しい拓郎がそこに居た。時は1982年。拓郎との出会いは、私の中では革命であった。
 彼の歌は、基本的に「モノローグ」である。相手には何も求めない。ラブソングであっても、「俺が愛しているんだから、オマエも俺を愛してくれ」とは言わない。「俺はこうするんだ。ついて来たかったら勝手についてきな」というスタンスで、「オマエはこう生きろ」とは決して言わない。そこが、実にカッコ良く、心地よかった。「結婚しようよ」は、拓郎の数ある楽曲の中で、例外に近い曲だったのだ。それから20年以上が経過した今も、私は拓郎を聴いている。

   


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7 コメント

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シンガー&ソングライター (路渡カッパ)
2006-04-15 19:35:11
私の場合、青春期をフォークソングブームで過しましたが、それ以前は作詞作曲をし自分で唄ってしまうというのは無いに等しかったと思います。

プロと素人の差が急激に縮まった、あるいは逆転した時代でした。そして個性を主張する時代の到来でもあり、受け取る側も個人の感受性を大切にすることに目覚めたと思います。

そんな中、より多くの支持を得られて歌唱力も備えたニューミュージックと呼ばれるのがユーミン、陽水、拓郎など、世代を超えて支持されつづける化け物が出現したのです。長淵や尾崎もその後を受ける才能だったと思います。

音楽の良い所は、時を隔てるって事でしょうか。ベートーベン、モーツアルトの曲が今でも演奏されつづけるように、ビートルズの曲も生き続けるだろうし、彼らの歌も残っていくといいですね。

話しがちょっと大きくなりましたが・・・長文失礼。

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音楽というもの (獅子丸)
2006-04-15 21:13:22
 音楽は、時代や世代を越える力を持っていますネ。拓郎にしろ陽水にしろ、私はリアルタイムで知っているというにはやや若い世代ですが、彼らの作る楽曲にはパワーがありました。もちろん、ビートルズも然りです。

 今、この時代にそういうパワーを持ったアーティストや楽曲があるかというと・・・私が知らないだけなのかもしれませんが、見当たらないような気がします。作り手が作品に愛情というか、魂を込める度合いがだいぶ違うというか、マーケットリサーチに頼りすぎというか・・・

 聴き手側の音楽に対する対峙の仕方も、ここ十数年で大きく変わりましたしね。PCがあれば、手軽に音源を入手し、外に持ち歩ける時代になりましたから。

 拓郎の曲も、今の世代の人に影響を与えうるパワーを持っていると思っています。

http://blog.goo.ne.jp/mogi_001/e/862cde31a265678d05082bbbde27a181

 ですが、「今の若者とかつての拓郎の佳曲とが出会う機会が制限されている」という、悲しい現実があるのです。このことは、ちょっとだけ熱く語りたいので、近日記事にする予定でおります・・・



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路渡さん、獅子丸さん、こんばんは! (むつくん)
2006-04-15 22:11:39
いつも楽しく拝見しています!

今回のは興味ある話ですね~!

作り手と聴き手との約束事がある音楽は「わかっている人」のものだったと思います。いまでも「楽しもう」と思えば、ちょっと努力しなければいけないですよね。

いつの時代でも、約束事をわかろうとして聴くか聴かないかは、そのひとの自由だったし、
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「音楽なんて、 (むつくん)
2006-04-15 22:28:40
聴いてみて気に入ればいいのさ!」という人には、聴き心地のいい曲がいつでもありました。(いまも・・・)

でも、音楽がそれだけのものだったらさびしい・・・

ということを、思ってしまいました。
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いつも音楽がそこにあった (獅子丸)
2006-04-16 07:02:58
 むつくんサン、久しぶりですね!GWは帰札するのかな?

 中学時代に、むさぼるように貸しレコード屋で様々なLPを借りまくったのは、今思えば「自分探しの旅」に近いノリがあったように思います。そしてたどり着いたのが「吉田拓郎」という人だったのです。当時私の周りには拓郎を聴く人は皆無でしたが、彼の歌は私の琴線を大きく揺らしました。

 今も拓郎の歌に一人でうなずきながら、自分を奮い立たせたり、勇気づけられたりしています。拓郎との出会いは、自分の大きな財産です。
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中学から~吉田拓郎 (りりん)
2024-05-22 09:39:10
おはようございます。
今、珈琲飲みながら、このツアーの拓郎の歌声を聴いて、贅沢な時間を過ごしています。
「知識」まったく原曲とは違って、このイントロの美しさ、拓郎の切々としたしゃがれた歌声、まさしくロック
本当に最高です。
衝撃を受けたあの日の感動が今も続いていらっしゃるのですね。
獅子丸さんは私の弟より、ちょっと上の年齢かなと
確かに、その世代は吉田拓郎は当時聴かなったでしょうね。
それだけに同じ人を愛してる~嬉しいです。
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「知識」という曲 (獅子丸)
2024-05-22 22:25:10
りりんさん、こんばんは

「TOUR1979」の「知識」には、度肝を抜かれましたね~
この曲を初めて聴いたのが、このLIVEヴァージョンでした。
後に、オリジナルの「人生を語らず」ヴァージョンを聴いた時は、逆に「これはちょっと違うなぁ・・・」と、思ったりしていたものです(^^;
ともあれ、「TOUR1979」での拓郎さんとの出会いは、まさに私にとって「革命」だったのです👏
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