獅子丸のモノローグ

☆気まぐれ不定期コラム☆

私が愛したクルマたち(17) 日産・シルビア(S13)

2014年08月16日 | カタログ倉庫

 私がクルマ好きとなるキッカケとなったのは、1977年登場の「日産・オースター」だった。
 それからしばらくは、日産車好きのカタログ小僧だった、私。
 だが、’80年代中盤の日産は、明らかな低迷期だったと思う。
 オーナーの方には申し訳ないが、’83年の「金屏風セドリック」・’84年の「仏壇ローレル」・’85年の「マークⅡのようなスカイライン」あたりのクルマは、まったく私の感性とは合わず、私は日産車好きからホンダ車好きに寝返ったのだった。

 しかし、1988年。
 久々に、私の琴線を揺るがすニューカーが、日産からリリースされたのだ。



 
 
 
 それは、「S13型シルビア」。

 



  

 
 キャッチコピーの「アート・フォース」通りの、美しさを持つこのクルマ。
 単に角を削っただけではなく、なんというか、「エッジの効いた曲線美」とでも表現できようか・・・
 こんなに美しいクルマが日産からリリースされるとは・・・!
 まさにそれは、スイカをストライクで叩き割ったような、衝撃だった。

 
 メッキモール等の虚飾を一切廃し、スタイリングそのものの美しさで勝負。
 数年前には「金屏風」や「仏壇」と揶揄されるクルマを作っていたメーカーの製品とは、到底思えない、そのイタリアンなエクステリア。
 決して大げさではなく、このシルビアにフェラーリのバッジが付いていたとしても、まったく違和感はないと思う。


 
 
 また、インテリアも、余計な線が少なく、シンプルかつアート。
 色使いも、シックで素晴らしい。
 当時のこのクルマのライバルは、ホンダの3代目プレリュードだったと思うが、それ以上にこのシルビアは、美しく見えた。
 
 インパネ・ステアリングホイール・ドア内貼り・センターコンソールボックス・・・すべてが、統一されたテーマで、キッチリとデザインされている。
 当時、こういう国産車は他に無かったように思う。
 まあ、「手のひらに汗をかきやすい体質の、私個人」としては、ステアリングには革巻を奢ってほしかったところだが・・・

 
 「Gパッケージ」としてセットオプションの「フロントウインドウディスプレイ」は、遊び心をくすぐるハイテック感覚。
 走行中の視線移動が少なくて済むという点において、アクティブ・セイフティーな装備のひとつと言えましょう。

 
 「スプーンですくいとったようなドア内側のアームレストとパワーウインドウスイッチ」
 「新音楽空間-PROアコースティックサウンドシステム」
 「サーフボードなどの長いものも積める、トランクスルー機構」
 これらの装備が、スペシャリティ感を増幅させる。

 
 なお、時代が昭和だけに、音楽ソースは「カセット」が主流。
 「CDデッキ」および「DATデッキ」は、ディーラーオプションだった。
 「DAT」か・・・そういえば、そんなの、あったなぁ(遠い目)。


 
 スペシャルティ・カーとはいえ、走りにも、抜かりはない。
 エンジンは全車、PLASMAと呼ばれる「ハイテック高性能ツインカムエンジン」を搭載。
 最上級の「K's」には、「インタークーラー付ターボチャージャー」を、ドッキング。

 
 クルマを操る楽しさを重視し、FR(後輪駆動)。
 ココが、プレリュードとの、一番大きな相違点である。
 まあ、北海道の冬道だとFFの方が、なにかと扱いやすかったようにも思えるが・・・
 リヤサスペンションは、新開発の「マルチリンク式」であった。

 
 そのリヤサスと絶妙なコンビネーションを発揮するのが、「マクファーソンストラット式」のフロントサスだったという。

 
 そして、当時流行しつつあった、4輪操舵
 日産の4WSは、「HICAS-Ⅱ」という呼称だった。

 
 トランスミッションは、当時としては先進の4速ATと、コンベンショナルな5速MT。
 また、ビスカスLSDの作動制限効果により、雪道発進も容易だったという。
 かつて私もユーノス・ロードスターに乗っていたことがあったが、雪道において、このLSDの存在は、確かに頼もしいものであった。

 
 「4WAS」。ん、また4輪操舵?と思いきや・・・
 これは日産独自の呼び名「4Wheel Anti-Skid Brake System」の略。
 とどのつまりは、現在でいうところの、「ABS」のことである。
 現在では標準装着があたりまえのこれが、メーカーオプションだったのは、まあ、時代ですネ。


 そして、グレード展開。
 上級グレードから順に「K's」「Q's」「J's」という、呼称になっている。
 トランプの「キング」「クイーン」「ジャック」から、由来するものらしい。


 最上級の「K's」は、インタークーラー付ツインカムターボエンジンを搭載。
 5MT車の当時の車両本体価格は、214万円だった模様。


 ラグジュアリーグレードの「Q's」。
 このグレードが、最も売れ筋だったように思われる。
 MT車の車両本体価格は、176万5千円。
 いやあ、さすがに、昭和の時代のクルマは、安かったなァ・・・!


 そして、底辺グレードの「J's」。
 「Q's」と比較すると、パワーウインドウ・パワードアロック・カセットデッキが、省かれる。
 そしてMT車の価格は、166万5千円。
 このグレード。やや、お買い得感に欠けますかな。
 私だったら、迷わず、あと10万円を支払って、「Q's」を選んだことであろう。

 ちなみに、パワステは、全車標準装備だった。



 ディーラーオプションでは、エアロパーツ系を、各種用意。



 そして、メーカーオプション。
 同年登場のセフィーロでおなじみの、「プロジェクターヘッドランプ」は、このシルビアが初採用だった。
 また、スモーカーの私にとって魅力的だったのは、やはり「電動スライドガラスサンルーフ」である。
 参考までに、当時のプレリュードは、「ガラスサンルーフ全車標準装備」であった。


 
 「主要諸元」と「装備一覧表」。
 ボディーカラーは5種で、インテリアカラーは2種。
 文字が見づらい方は、画像をクリックすると、多少大きくなるかもしれません。

 
 ツインカム・ターボのCA18DETエンジンは、ネット値で175psを発揮。

 
 NAのCA18DEは135psだったが、おそらくはそれで実用上十分だったと思われる。

 
 全長×全幅×全高は4470mm×1690mm×1290mm。
 余裕で5ナンバーに収まるサイズだった。
 5ナンバー枠内でも、これだけの美しいデザインが、出来るのだ。
 衝突安全という大義名分があるにせよ、近年のクルマたちは、やはり無用に大きくなり過ぎたと思う。

 
 アート・フォース・シルビア。
 美しく、そして、他のどのクルマにも、似ていない。
 私はS13シルビアのデザイン・チームの皆様に、惜しみない拍手を贈りたい。

コメント (16)
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