
安田くんは小学校のときに川崎から転校してきた。
それ以来、今もつきあっている親友である。 出身は福島県で、
家族そろって川崎に引っ越して住んでいたらしい。 話を聞くと
私の家の近くで、すぐに仲良くなって多摩川からその上流や、
池上本門寺などでよく遊んだ。


安田くんは、背がクラスで一番高くて体格がよかった。 一番始めに
行った遠足のときに、バカでかいおにぎりを、1っこだけ持って来た。
体の大きな安田くんの、たった1っこのおにぎりだから、その大きさは
赤ん坊の頭の大きさぐらいあった。 そんなおにぎりを見たことがない
みんなはビックリした。
ボールみたいにまん丸くにぎられたおにぎりは、全体に海苔が
ついて黒々していた。 おかずは丸ごと漬けたキュウリが何本かと
魚肉ソーセージだった。
安田くんはその大きなおにぎりを両手で持つと、うまそうに食べ始めた。
一口食べたって、そう簡単に減るようなシロモノじゃなかった。
おにぎりを何口か食べると、キュウリ漬けをつかんでパリパリとかじった。
こっちの弁当がみじめに見えるぐらい、うまそうに食べた。
私はあまりうまそうなので、卵焼き1っこやるから、一口かじらせてくれと
頼んだ。

と重いおにぎりを渡してくれた。 かぶりつくように食べたおにぎりの味は、
普通のおにぎりと変わらなかった。 でも安田くんが食べると、なぜか
ほんとうにうまそうに見えるから不思議だった。 聞いたら、福島県の安田
くんの生まれたあたりでは、出かけるときはこういう大きなおにぎりを1っこ
だけ持っていくそうだ。
からだの形は、生命の器
形之医学・しんそう療方 東京小石川
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