形之医学・しんそう療方 小石川院長 エッセー

昭和の頃、自然と野遊び、健康と医療のことなど。

毒木・水松(イチイ)

2012-11-05 17:08:54 | Weblog

カエサルの「ガリア戦記」を読んでいると、今のベルギーのあたりに
住んでいた、エブロネス族(ゲルマン人の一種族)の王が、イチイの
毒汁を飲んで自決する話が出ていた。 イチイという名前を見て、
忘れていた記憶が蘇った。


子どもの頃、山形の叔父の病院の、庭の一角にイチイが植えられていた。
イチイは初秋の頃、赤く甘い実をつける。 イチイの木は成長がたいへん
遅いそうで、庭にあったものも、さほど大きな木ではなかった。

小さな赤い実は透明感があり、とても美しい。
病院の庭は広く、近所の子供たちがよく遊びに来ていて、季節になると
一緒になってこの実を食べた。 私は小さくて手が届かなかったので、
大きな子が採ってくれたのをもらって食べていた。 熟した赤い実は
小さいが果汁が多く甘かった。

イチイは果肉以外は、葉や樹皮も、果肉に入っている種子にさえ、
タキシンというアルカロイドの強毒があるそうだ。 そういえば、
あまり沢山食べるなと言われたような気もするが、口から種を出した
記憶がない。

イチイは「一位」と書くが、別名をアララギ、水松ともいう。
北海道のように寒いところではサカキが育たず、代わりにイチイを
神事の玉串などに使うので、神社にはイチイが植えられるそうだ。
成長が遅い分、年輪が緻密で美しく、工芸品や天井板に使われるという。

                        
からだの形は、生命の器 
形之医学・しんそう療方 東京小石川
http://www.shinso-tokyo-koisikawa.com/


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