形之医学・しんそう療方 小石川院長 エッセー

昭和の頃、自然と野遊び、健康と医療のことなど。

燃えない木

2014-08-18 12:51:11 | Weblog

昔、子どもがまだ小学生の頃、夏休みに軽井沢の国立キャンプ場へ連れて
行ったときのこと。 朝、キャンプ場の共同炊事場で、薪でご飯を炊いていた。

となりに団体で来ていたらしい、子どもたち4、5人が、火をおこそうとして
悪戦苦闘を始めた。  懸命に新聞紙を丸めたもので、かわるがわる
息を吹いているが、いっこうに燃え上がらない。 
あまり長く燃えないので、もしかと思い、子どもたちがひろい集めていた
枯れ木を、見せてごらんと見てみた。 
枯れてはいるが、断面がまるで黒いスポンジのような、例の木である。

山をよく歩いていた頃、見おぼえがある木だった。
この木、燃えないのだ。 ひろって折ると、ポキポキと
小気味よく折れるので、いかにも燃えそうな感じがする。 
でも焚き火に入れても、いつまでも、ブスブスといぶるばかりで
ちっとも燃えない、焚き火にはまったく向かない木だった。

私は折った木の断面を見せて、こういう木は燃えないんだよと
教えてやった。 ヘーッ! と子どもたちの目がソンケイの眼差しに
なったように感じ、私はちょっとだけ胸をはったような気がする。 
あまっていた薪をやり、それは勢いよく燃え上がって、
子どもたちは歓声をあげて炊飯を続けた。

長いあいだ、この燃えない木がいったい何なのか、
知りたかったが、枯れ枝では知りようもなかった。 
試しに最近、「燃えない木」で調べてみたら、なんとあった。 
ネットの検索はまことに便利なものだ。

あれはたぶん、ナナカマドの木だ。
夏に白い花をつけ、秋に美しく紅葉するあのナナカマド。
バラ科だそうだ。 7回かまどに入れても燃えないから、
ナナカマドという名前がついたという。
なるほど~ 

                   
からだの形は、生命の器
形之医学・しんそう療方 東京小石川
http://www.shinso-tokyo-koisikawa.com/


[ 警告]当ブログ内に掲載されているすべての文章の無断転載、転用を禁止します。すべての文章は日本の著作権及び国際条約によって保護を受けています。Copyright shinso koisikawa. All rights reserved. Never reproduce or replicate without written permission.
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ヤブミョウガ(藪茗荷) | トップ | 夏空 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

Weblog」カテゴリの最新記事