湖の子守唄

琵琶湖・湖北での生活、四季おりおりの
風景の移り変わり、旅先でのふれ逢いなど、
つれづれなるままに、語りたい。

天の川の源氏蛍

2011年06月14日 | 詩歌・歳時記

6月4日は父の祥月命日である。
この頃になると、決まった場所に必ず咲く、白い可憐な花がある。ほたるぶくろである。
うす紫の斑の入ったのが、熟女の妖艶さなら、こちらはいたいけな乙女といったところか。

                魂のあらば
                夜明けに白と咲く
                ほたるぶくろが秘めるべきもの

湖北は水処である。あちらこちらに名水が湧き、清烈な細い流れがある。
即ち、ほたるの生育にはもってこいの地なのだ。
東海道本線と平行して流れる、天の川の近江長岡近辺が、当地の源氏蛍の一番の繁殖地だ。
町をあげて幼虫の保護、餌になるカワニナを守っている。

闇に包まれた川面を乱舞する蛍の光りは、切なくも、華麗であり、
生命の不思議さ、愛おしさに、言葉を呑むばかりである。
さらに北の三島池にも、「ほたる川」と言う、細い流れがあり、大勢の観客で賑わう。
      
「涌いたか」「今年はまだ、涌かないね」という問答が、この時季の合言葉である。
何、人の集まらぬあの地、この川にもほたるは灯り、飛び交っている。
地元の人間には春先のふきのとうと同じように、わが場所があるのだ。

                ほたる二尾
                母の寝床に放ちやる
                安らかな夢訪なえば佳し

「ほたる祭り」も佳境に入った。シャトルバスも運行している。今夜あたり、行ってみましょうか。