漢字を学び心を育む

2回目のチャレンジで漢検1級に合格。
現在、ペン習字に傾倒。
硬筆書写検定1級が欲しいです

消えゆく唱歌

2012-06-30 08:02:41 | ◇1級:書き(書き取り)
 
 村の鍛冶屋(作詞作曲不詳)

 暫時(しばし)も止まずに槌打つ響
 飛び散る火の花 はしる湯玉
 ふゐご の風さへ息をもつがず
 仕事に精出す村の鍛冶屋










フク、ホ、ヒ、ビ、ブ
うつぼ、ふいご



【解字】形声。革+備。

  1. かわぶくろ。
  2. 鞴靫(フクサイ)は、矢入れ。うつぼ。
  3. 車前の横木のおおい。
  4. ふいごう。





向田邦子の眠る盃ではありませんが、ずっと

 「火箸(ひばし)も休まず土打つ響」

と唱っていたように思います。

小学校で唱ったのは、おそらく私たちの年代が最後のはず。
ということは、あと30年ほどで完全に誰の記憶にも残らないということ。
この唱歌の寿命もあと30年ほどで自然消滅してしまうのでしょう。
仕方ないのでしょうね、今の子供達では歌詞からイメージが湧かないのですから。
せっかく、鍛冶屋の「冶」も準1級より常用漢字になったと喜んでいたのですが。。


小学生のとき、わたしの親戚が鍛冶屋をやっていました。
初めて目にした「鍛冶屋」は、大音響と火花の散る光で興奮状態になり、小学生のわたしには十分過ぎるほど刺激の強いものでした。
実は従妹と遊ぶよりも鍛冶屋見物の方が楽しみで、一日中飽きもせずずっと眺めていました。


はしる湯玉

これも味わい深い言葉だと思います。
「湯玉」なんていう言葉は、この唱で初めて聞きました。


3番の歌詞がまた奮っています。

 刀はうたねど大鎌(おおがま)小鎌(こがま)
 馬鍬(まぐは)に作鍬(さくぐは) 鋤(すき)よ鉈(なた)よ
 平和の打ち物休まずうちて
 日毎に戰ふ 懶惰(らんだ)の敵と



あまり聞き慣れぬ鉄鋼農機具の名称が並んでいます。
鍛冶屋の仕事は、「死の商人」ではなく、あくまで「平和の使い」であると。
戦うのは、 自身の懶惰(=なまけること)とはなんともうまい。
でも戦時中ということが歌詞に色濃く残っています。


慣用句で

 蹈鞴を踏む(たたらをふむ)
 (蹈鞴=足で踏んで風を送る大型のふいご)

 【意味】 勢い余ってから足を踏む。


というのも1級頻出ですね。




「柳」 雑感。 

2012-06-26 10:21:15 | ◇1級:読み(音読み)
柳絮(札幌市発寒川 2012.6.24)


 
 柳絮の才






ショ、ジョ
わた、わたいれ、くど(い)



【解字】形声。糸+如。音符の如は、しなやかの意味。しなやかな繊維のわたの意味を表す。

  1. わた。
  2. 繭を水にひたして伸ばして作ったわた。真綿。
  3. 古綿。古い真綿。新しいものを綿という。
  4. 柳のわた毛や雪片をたとえていう。「柳絮」
  5. わたいれ。
  6. くどい。くだくだしい。「絮説」
  7. ととのえる。味を調える。「絮羹」


柳絮の才(りゅうじょのさい)

【意 味】
非凡な才能をもった女性のこと。
晋の時代、叔父の謝安の家に招かれた兄妹は、降り出した雪をどのように見るかと聞かれた。兄は「塩を空中にまいたようだ」と答えたのに対し、妹の謝道うんは、「白い綿毛のついた柳の種子が風に舞うようだ」と答えたという故事から。




石川さゆりなら、、

 「 冬の日本海の荒波が岩場に打ちつけられ、砕け散った波の花が風に舞うようだ 」

と答えたでしょう。笑

この場合「浪華の才」なのでしょうか。それとも「演歌の才」でしょうか。




柳はよく女性にたとえて用いられます。



蒲柳の質 (ほりゅうのしつ)

【意 味】
か弱い体質、体質が弱いこと。
蒲柳=かわやなぎの異称。川柳の葉は秋が来ると真っ先に散るところからこういう。



これも1級ではお馴染みです。

実際、

「わたし、蒲柳の質だから・・・」と言う女性に出会ったことはありません。


でも、

「アタシ、柳腰だから・・・」と言ってたシトに出会ったことはあります。笑

  ※柳腰・・・細くてしなやかな腰。多く、美人のたとえ。


おっと、これを忘れていました。


柳眉を逆立てる (りゅうび)

【意 味】
美人が眉をつりあげて怒る。


美人が怒っては台無しです。



他にも柳シリーズで、、


 花柳界・・・・芸者・遊女の社会。遊里。花柳の巷。

 柳葉魚・・・・ししゃも


特に、柳葉魚は熟字訓・当て字では頻出です。



--
北海道の七夕は、旧暦の8月7日です。
北海道には笹竹がないので、短冊は柳に飾りつけます。


わたしも小さい頃、

 「ろうそく出せ、出せよ」

と飾り付けた柳をかついで、提灯を提げ、歌いながら近所を回っていました。

あの頃、短冊には何を書いたのかまったく思い出せません。







鷹狩りは冬の季語

2012-06-21 12:06:05 | ◇1級:読み(訓読み)
 
 狩りをする 鷹居








たかすえ
鷹居

 鷹匠。鷹を馴養し、鷹狩りに従事する役。公家・武家に仕え、明治以降は宮内庁式部職猟場係に属した。鷹飼。鷹師。たかつかい。




 鷹居(たかすえ)は難読ですが、鷹匠も(たかしょう)ではなく(たかじょう)です。

居を(すえ)と読ませる熟語は他に、「居浦」があります。


 居浦(すえうら)----江戸時代、他藩からの入漁者に年季を切って貸与した一定居住地。


もちろん、据えるというのも関係あるのでしょう。



--
それぞれの住まい


  エンキョ
 ひまでのんびりしていること。くつろいで休息すること。閑居。


  キュウキョ
 かりずまい。また、女性が夫の家に入って一家をなすたとえ。
 鳩は自分で巣を作らず、かささぎの巣にいるからいう。


  ジュンキョ
 うずらのように、住居の不定なこと。また住居に無頓着なこと。


  カンキョ
 年をとって妻がなく、ひとりぐらしをすること。またその人。





昭和という時代(3)

2012-06-14 09:09:36 | ◇1級:文章
 
 湯タンポは翌朝までホカホカとあたたかかった。自分の湯タンポを持って洗面所にゆき、祖母に栓をあけてもらい、なまぬるいそのお湯で顔を洗うのである。

父の詫び状/向田邦子







ゆたんぽ
湯湯婆

湯湯婆と当てる。「たんぽ」は、「湯婆」の唐音。



 豪雪の寒村育ちのわたしはもちろん使っていました。
向田さんと同じく、その残り湯で翌朝顔を洗っていたと思います。
そして、わたしが小さい頃は今よりもっともっと雪が多く寒さももっともっと厳しかったように思うのです。
冬、蒲団に入っても息が白くなるほどでした。
子供の頃の記憶と今大人になっての感じ方はもちろん違いはあると思いますが。




湯湯婆、猫と並んで冬の三大蒲団暖房具といえばこれ。



あんか
行火


正確には豆炭行火。
これも使っていましたが、湯湯婆も同じくらいの頻度で使っていたと記憶しています。
どう使い分けしていたのかはわかりませんが、たぶん母親の気分次第だったような気がします。
私的には、翌朝、洗顔のお湯に使える点から言っても湯湯婆に分があるように思いますが。



そのほかにも昭和の家庭を偲ばせるものとして、


 焜炉 こんろ

 懐炉 かいろ

 炬燵 こたつ

 囲炉裏 いろり

 卓袱台 ちゃぶだい


などがありますが、卓袱台といえば1級問題で卓袱(しっぽく)料理というのがありました。


しっぽくりょうり
卓袱料理



江戸時代、長崎地方から流行し始めた中国料理の日本化したもの。主として肉・魚介類を用いた各種の料理を大皿に盛って食卓の上に置き、各人取り分けて食べる。長崎料理。
(卓袱=食卓をおおう布。テーブルクロス)



もちろん、見たことも食べたこともありません。
でも、すごくゴージャスな感じがします。




昭和という時代(2)

昭和という時代


森永きょろちゃん

2012-06-05 20:05:54 | ◇1級:書き(四字熟語)
旭川常盤ロータリー

 
しくはちがい







【意 味】
大きな通りが四方八方に通じた大きな町。交通などの便がよく、にぎわう町の形容。
「瞿」「街」は、ともに四方に通じる道。


みち、ちまた、よつつじ、わかれみち



【解字】形声。行+瞿。音符の瞿(ク)は、鳥が目をきょろきょろさせるの意味。にぎやかで目をきょろきょろさせう大通りの意味を表す。

  1. ちまた。四方に通ずる大通り。また、道。道路。「康瞿」
  2. えだ。別れ道。






写真から分かりにくいかもしれませんが、旭川のロータリーは六衢です。
免許取りたての頃、車を運転していてロータリーの入り方も出方もわからず往生したことがあります。
ロータリー交差点で有名なパリ・エトワール凱旋門は、なんと十二衢!


1級読み問題でよく出題されるのが、六衢 りっく、りくく

また、 ”六りく” 繋がりで、



りくとうさんりゃく

  中国の有名な兵法書である。「六韜」と「三略」のこと。


準1級でも、六芸 りくげい

が、「六」を りく と読ませています。

(ろく=呉音、りく=漢音)



衢に戻します。


 三衢 さんく

 四衢 しく

 五衢 ごく

 六衢 りっく・りくく

 七衢 しちく

 八衢 やちまた

 九衢 きゅうく



もうひとつ、気をつけなくてはいけない読みが「やちまた」ですね。

ただ、これはまだ実際には出題されたことはないみたいです。

一般教養として覚えておきましょう。




あとは、熟語で

衢地、交衢、巷衢、広衢、康衢、街衢、通衢・・・