・周匝(しゅうそう)
・匝(めぐ)る
標準字体 | 許容字体 | 読み |
匝 | 帀 | ソウ めぐ(る) |
【解字】指示文字。篆文は、ゆくの意味を表す之の字形をさかさまにして、進みゆかない意味を示す。音形上では習・襲などに通じ、同じ所や時をくりかえし踏む、めぐるの意味を表す。
- めぐ-る。めぐらす。また、めぐ-り。
- あまねし。ゆきわたる。
<新漢語林より>
【周匝】
1.まわりをとりまくこと。また、そのまわり。めぐり。
2.すみずみまでゆきわたること。周到。
【匝る】
1.めぐ-る。一巡して帰る。
この字も見たことがありませんでした。
「之(すすむ)」という字をさかさまにし ”否定形”にするとはなかなか洒落ています。
進まないでグルグル周るイメージを思い浮かべます。
仏教から出てきた言葉でしょうか。(自信がありませんが)
こういう記事(Wiki)を見つけたからです。
栄螺堂(さざえどう)は、江戸時代後期の特異な建築様式の仏堂である。堂内は回廊となっており、順路に沿って三十三観音や百観音などが配置され堂内を進むだけで巡礼が叶うような構造となっている。仏教の礼法である右繞三匝(うにょうさんぞう)に基づいて、右回りに三回匝る(めぐる)ことで参拝できるようになっていることから、本来は三匝堂(さんそうどう)というが、螺旋構造や外観がサザエに似ていることから通称で「栄螺堂」、「サザエ堂」などと呼ばれる。
・咳気(がいき or がいけ)
・咳(しわぶ or せ)く
カイ
ガイ
せき・せ(く)
しわぶき・しわぶ(く)
咳
【解字】形声文字。口+亥。音符の亥(ガイ)は、せきをする声の擬声語。また古字は孩に作り、赤ん坊が笑う声の擬声語。
- せき。せ-く。しわぶき。せきをする。
<新漢語林より>
【咳気(がいき)】
1.せきをすること。
2.せきの出る症状。風邪。
【咳く(しわぶ-く)】(しはぶ-く)
1.せきをする。[季]冬。
2.わざとせきをする。せきばらいをする。
鎌倉時代の歌集、建礼門院右京大夫集(宰相中将の思い出)の歌に次のような文面があります。
うちしはぶかせ給はば
合図の咳払いをするという意味があるそうです。
意図的に咳をするニュアンスが強いようですね。
どうやら、、
”しはぶく”の
しは ⇒ 喉とか舌または唇
ぶく ⇒ 吹く
が正解のようです。
出典は ⇒ オメメのブログ
・暮れ 泥(なず) む空を眺める。
デイ
どろ
なず(む)
泥
【解字】形声文字。氵(水)+尼。音符の尼は、二人がなじむの意味。ねばりつくどろの意味を表す。
- どろ。ひじ。
・ぬかるみ。
・けがす。にごす。また、けがれる。
・どろ状のもの。
・南海に住むという、伝説的な一種の虫。骨がなく、ぐにゃぐにゃしているという。
- なずむ。とどこおる。
- くろむ。黒くなる。
<新漢語林より>
海援隊を思い浮かべた人はわたしと同年代。笑
でも、”なずむ”は ”暮れなずむ” しかわかりません。
では、”なずむ”って何なんだろう。
音で聞いた限りでは、なんか哀愁のあるいい言葉だと思っていたけど、「泥」という字があてられているなら、泥のように澱んだ感じなのでしょうか。
♪暮れなずむ町の 光と影の中~♪ みなさんご存知、海援隊の歌ですね。この「暮れなずむ」とは、どんな光景なのでしょう。実は、日が暮れそうでなかなか暮れないでいる状態のことを表しているのです。つまり、あくまでも“まだ暮れていない”のです。これを「日が暮れた」ことと勘違いして、『すっかり暮れなずんでしまった』、『暮れなずむまで待った』というのは間違いなのです。聞き慣れない「なずむ」という言葉が、意味を分かりにくくしているかもしれませんね。「なずむ」は、古くは古事記や万葉集にも出てくる言葉で、「はかばかしく進まないこと」を表します。漢字で「泥む」と書くのです。泥がぬかるんで前進できない状態から、物事が滞ることを表現しています。さて、「暮れなずむ」には暮れてきた夕方、夕焼けなど秋のイメージがあるかもしれませんが、実は日足の長い春にぴったりの言葉です。秋の日はつるべ落としといいますから、暮れるまでの時間が長い春の方が適しています。 “暮れなずむ春の空”・・・美しい言葉ですよね。
NHK気になる言葉
納得です。
・雨にかみあらい 風に櫛(くしけず) る
《「荘子」天下の「甚雨(じんう)に沐い、疾風に櫛り、万国を置(た)てたり」から》雨や風に身をさらす意で、苦労することのたとえ。櫛風沐雨(しっぷうもくう)。
櫛る⇒櫛(くし)で髪をとかすこと。くしけずること。
シツ
くし
くしけず(る)
櫛
【解字】形声文字。木+節(莭)。音符の節(セツ)は竹のふしの意味。節度よく並ぶ歯をもつ、くしの意味を表す。
- くし。髪の毛をすきとかす。
- くしけずる。
- ならぶ。重なり合ってならぶ。
<新漢語林より>
なんて美しい言葉なのでしょう。
もちろん初めて耳にした言葉です。
今では竹の櫛を使う女性も少なくなってきたと思います。
皆、ブラシですもんね。笑
でもパソコンで、”くしけずる”と入力し変換すると、「梳る」だけが候補に出てきて、「櫛る」は出てきません。
じゃあ、”くし”と入力すると、「櫛」だけが出てきて、「梳」は出てきません。
動詞では「梳」、名詞では「櫛」という感じでしょうか。(IMEでは)
「梳」という字は、どうも常用外みたいなんですが、「櫛」は何者でしょう。
準1級のテキストと問題集には、”くしけずる”は「櫛る」しか正解にはありません。
しかも「梳」の字は、準1級には全く出てきていません。
まあ試験は、読みの問題なので 「櫛る」⇒くしけず・る しかありえないのですが。
何だかすっきり落ちません。
もし、書きの問題で くしけず・る なら、どっちが正解なんだろう、とか。。
・八重葎(やえむぐら) しげれる宿の さびしきに 人こそ見えね 秋は来にけり
恵慶法師 (小倉百人一首)
リツ
むぐら
葎
【解字】形声文字。草かんむり(艸)+律。
- むぐら。かなむぐら。葛に似て、茎に細いとげがあり、節の周囲に葉が輪生して、小さい白、または、淡緑の花を開くつるくさ。
<新漢語林より>
【八重葎】
「葎(むぐら)」は、つる状の雑草の総称。「八重」は幾重にも重なることで、つる草が重なってはびこっている状態。「八重葎」は、家などが荒れ果てた姿を表すときに、象徴的に使われる言葉です。
夏の季語みたいです。
この「葎」という文字と読み方も、「八重葎」が何を示しているのかも当然わかりませんでした。百人一首などの昔の歌にはよく遣われてたみたいなのですが、勉強嫌いな私には知る由もありません。でも漢検のお陰で、この齢でわかることができたのは喜ぶべきことなのかもしれません。
↓ご存知でしたか。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7a/1a/36f511ef63ed5c06c28ed0d3b72495d0.jpg)
・時ならぬ天災に皆 戦(おのの) いた。
セン
いくさ
たたか(う)
おのの(く)
戦
【解字】形声文字。戈+単(單)。音符の單は、はじき弓の象形。たたかうの意味を表す。戈はほこの意味を表す。
- たたか-う
・武器をとって争う。いくさをする。「交戦」
・勝負する。競争する。「名人戦」
- たたか-い いくさ。争い。戦争。
- おのの-く ふるう。ふるえる。また、おそれる。
<新漢語林より>
すごく意外です。
「戦争」だって、「戦う」だって勇ましい感じですよね。
それが、全く正反対の言葉で使われているなんて思いもよりませんでした。
戦う人は、勇猛果敢ではあるけれど、実は心の内では恐れおののいているという事なのでしょうか。
なるほど、納得です。味わいがあって美しいですね。
そういえば、”おののく”という言葉、最近とんと耳にしなくなったような気がします。
・ 和睦に肯(がえん) じないばかりか反撃してきた。
がえん・ずる〔がへんずる〕【▽肯んずる】
[動サ変][文]がへん・ず[サ変]承諾する。聞き入れる。引き受ける。がえんじる。「頑として―・じない」
◆「かえ(肯)にす」の音変化、本来は承諾しないの意。「に」に含まれている否定の意が忘れられて、肯定の意に意識されるようになったもの。「がえんじない」「がえんぜられない」など、打消しの語とともに用いられることが多い。
コウ
がえん(じる)
うなず(く)
うべな(う)
うけが(う)
あ(えて)
肯
【解字】会意文字。止+月(肉)。止は、骨の象形。月は肉の象形。ほねについている肉の意味を表し、承知するの意味をも表す。
- 骨についた肉。
- よいとする。承知する。
<新漢語林より>
訓読みがたくさんあります。(笑)
しかも今まで使ったことも聞いたこともない言葉が並んでいます。
音読みは読み方を知らなくても偏やつくり、及び関連熟語からある程度想像はつくもの。だが訓読みはなかなか厄介で、送り仮名と字の雰囲気からいろいろ想像を巡らすしか術はなさそうだ。そもそも言葉を知らなければ読めるはずがないんですがね。
やはり今までどれだけの書物に触れてきたかで、その人の持つ引き出し(知識)の多さによるものなのでしょう。訓読みはそんな気がします。