漢字を学び心を育む

2回目のチャレンジで漢検1級に合格。
現在、ペン習字に傾倒。
硬筆書写検定1級が欲しいです

シ と ハイ

2015-03-08 14:05:11 | ◇1級:書き(書き取り)
 漢字を深く学んで行くとある時期で必ず「杮」コケラという字に出会う。
「柿」カキに似ているけど微妙に違う事に気付き、ついつい蘊蓄を傾けてしまう。
因みに「杮」コケラは漢検対象外の漢字である。


  かき = 木(部首) + シ(音符)

  こけら = 木(部首) + ハイ(音符)



 市イチの立つ場所を示す標識の形。

シを音符に持つ漢字は、
常用  シ、いち
常用  シ、あね   正字=
常用  シ、かき   正字=
一級  ※象形 トウ、ドウ、さわぐ、あらそう (熱鬧、喧鬧)


ハイ
 草木がしげり、花のしべが垂れる形に象る。

ハイを音符に持つ漢字は、
一級  ハイ、はた (大旆、旆旌)
一級  ハイ、おおあめ、さかん (霈然、霈艾の馬)
一級  ハイ、さわ、たおれる (沛然、造次顚沛)
漢検外 ハイ、こけら (杮落し)
常用  ハイ、こころ (肺腑)




ここにひとつだけ例外が存在する。

肺の音符はイチである。
ただし、常用漢字ではイチであるが、旧字ではハイとなっている。
字義からいって、肺の音符は「シ」ではなく「ハイ」でなくてはならない。
分かりにくいですね。金文を見たところ、



確かに、シではなく、ハイとなっている。

ということは、常用(当用)漢字に整理された時に、シになったのであろうか。

文化庁 当用漢字表(内閣告示第三十二号) 昭和21年11月16日
http://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/joho/kakuki/syusen/tosin02/05.html
※よく見えないですね ^^;


常用漢字でシを音符に含んでいる字は、柿と姉だけである。また、常用漢字にはハイを含んだ漢字はなかった。
想像ではあるが、常用漢字が制定された時にシに整理し、肺だけをハイにしたと考える方が自然だ。常用漢字でのシとハイの混乱を避けるためだと思う。なので、常用漢字には、ハイという字は存在しない。ある辞書では、「市シと混同して書かれた」とか「肺は古くから書道では、市シで書かれた」とか書かれているが真意のほどは定かではない。
 ハイ





長々と書いてきましたが、わたしが言いたかったのは次のことです。

 シ



 ハイ


一級の書き取りで、沛などを書くとき、シと同じ書き方ではなく、縦に一画で下してください。
市みたく、亠 と 巾 の間に空白が出来てしまうと不正解になるかもしれないので。

なんだか、書き順辞典みたくなってきましたね(笑)