漢字を学び心を育む

2回目のチャレンジで漢検1級に合格。
現在、ペン習字に傾倒。
硬筆書写検定1級が欲しいです

痴情狡し

2012-07-25 19:27:46 | ◇1級:書き(書き取り)
2012.7.15 札幌市琴似

 
 苦役に耐えるズニン










ズニン
徒人

 律の五刑の一つ。今の懲役刑。1年から3年まで半年毎の五等級とする。流ルより軽く、杖ジョウより重い。徒刑。徒罪。




 中国の隋・唐律を模範に日本古代の律(大宝律)に規定された五種の刑。


  チ
 竹のむちで尻打ち。

  ジョウ
 杖で尻打ち。

  ズ
 懲役刑。強制労働。

  ル
 流罪。島流し。

  シ
 死罪。死刑。



 正確には、「ズニン」が正しいが、「トニン」と記されている辞書がほとんどです。

 
 徒人 ズニン
    トニン

 徒刑 ズケイ
    トケイ

 徒罪 ズザイ
    トザイ



読み問題でいえば、「ズ」も「ト」もどちらも正解なので出題されることはないでしょう。
出題されるとしたら、「ズニン」を漢字で書く問題くらいであろうか。


この中で気になる刑が「流罪」。

 近流(コンル) 越前・安芸など

 中流(チュウル) 信濃・伊予など

 遠流(オンル) 伊豆・佐渡・隠岐・土佐など




明治時代には、北海道への流刑もあったという。
北海道出身のわたしにとっては、現在服役しているみたいで複雑な心境ですね。
もし現在もこの刑があったとしたら、

 ◆北方領土
 ◆竹島
 ◆尖閣諸島


労役に服さず遊んで暮らしていいので、これらの島で日の丸背負って常駐してもらいたい。
というのはあまりにも危険過ぎる発想でしょうか。


最後に「徒」に関連した熟語を並べて。。



 徒花 あだばな

 徒  カチ

 徒然 トゼン、つれづれ

 徒手空拳 トシュクウケン




いろはにほへと ちりぬるを

2012-07-12 18:19:09 | ◇1級:文章
 
 馬は旋風の如く奔りて、我前を過ぎぬ。幣の如く束ねたる薄金はさらさらと鳴り、彩りたる紐は鬣と共に飄り、蹄の觸るゝ處は火花を散せり。かゝる時彼鐵板は腋を打ちて、拍車に 釁る と聞く。群衆は高く叫びて馬の後に從ひ走れり。そのさま艫打つ波に似たり。けふの祭はこれにて終りぬ。

即興詩人/森鴎外訳





キン
ぬ(る)、ちぬ(る)、すきま、なかたが(い)、きず、きざ(し)



【解字】会意。爨+酉+分。爨は、かしぐの意味。かまどの祭りに、酒を供え、血をそそいで清める、ちぬるの意味を表す。

  1. ちぬ-る。いけにえの血を器にぬって神を祭る。また、その祭り。=衅
  2. ひま。
    すき。すき間。
    争いのいとぐち。また争い。仲たがい。
  3. きず。
    物のこわれたところ。さけめ。ひび。
    欠点。あら。
  4. あやまち。過失。
  5. 罪。罪過。とがめ。
  6. きざし。前ぶれ。
  7. うごく。ふるい動く。
  8. 香料を体にぬる。
    すすなどをぬって黒くする。






 ”ちぬる” という動詞も初めて目にしました。



白川先生によると、

 1.ものを切って、その刀などに血が付着すること。

 2.人の上から酒を注いで祓い清める → 祓除釁浴フツジョキンヨク
   ※死者の場合は、釁鬯キンチョウ という。

 3.礼器や兵器を制作したときに、牲血を以て祓う。 → 釁塗キント


酒の代わりに、牲血で祓い清めることもあったという。



1級頻出の熟語と四字熟語では、


 釁隙 キンゲキ  不和


 釁端 キンタン  争いのはじまり


 三釁三浴 サンキンサンヨク  相手を大切に思う心。





--
 キョク すくう

象形。左右の手を合わせた形。左右の手でものをもつ意。臼を匊の古文とする。臼は前方にものを抱きかかえる形。匊は掬いとるような形をいう。

 1 みぎひだりの手、両手でものをもつ。
 2 すくう、両手ですくいとる。
 3 挙と通じ、あげる。


臼を半分に切ったような字で形成される字を拾ってみた。



 

 輿

 

 嶼 欅 襷 歟

 叟 艘 溲

 臾 腴 萸 諛

 攪 鱟 鷽 黌

 釁 爨


※常用漢字--興
 準1級--攪、輿
 上記以外は全て1級配当。



受検者泣かせの画数が多く難解な字のオンパレード。

特に、 は、29画です。

飯盒炊爨 三世一爨 も抑えておいた方がいいでしょうか。




常用漢字では、興 の一字しかありませんが、旧字になると下記の五字が存在します。


 覚(覺)
 学(學)
 挙(擧)
 与(與)
 誉(譽)