漢字を学び心を育む

2回目のチャレンジで漢検1級に合格。
現在、ペン習字に傾倒。
硬筆書写検定1級が欲しいです

中国美人

2011-02-26 10:03:25 | ◇1級:読み(音読み)
 
 巧笑 たり 美目盼たり。







セン、セイ
うつく(しい)、むこ、やと(う)、つらつら



【解字】形声。人+。音符の(青)は、澄み切っていてすがすがしい意味。うつくしく、すがすがしい人の意味を表す。

  1. うるわしい。うつくしい。また口もとの愛らしいさま。また、愛らしく笑うさま。
  2. 男性の字(あざな)にそえる美称。
  3. むこ(婿)。
  4. やとう。またやとい人。
  5. つらつら。つくづく。




【出典】

『論語』  子夏問曰。巧笑倩兮。美目盼兮。



【意味】

 笑う口もと愛らしく、目もとぱっちり美しい。




ちなみに「盼」(ハン)は、目の黒白がはっきりしていて美しいこと。


『詩経』衛風の「碩人」にも、

手如柔荑、膚如凝脂、領如蝤蠐、歯如瓠犀、螓首蛾眉、巧笑倩兮、美目盻兮

漢語百題(岸田知子)
http://c-faculty.chuo-u.ac.jp/~asuda/kishida/kango100-2.html#88



ここにも蛾眉という言葉が出てきました。

以前、準1級の四字熟語で紹介したことがある「宛転蛾眉」を知っていますか。
中国では、美人を形容する言葉によく「蛾眉」が出てきます。
蛾の触角のような三日月形の細い眉のことです。

日本では蛾というと、あの燐粉を撒き散らす忌み嫌われている蝶ですが、国が違えば全く逆に捉えられているんですね。


また、ここで「螓首蛾眉」とありますが、
「螓首」(シンシュ)とはなつぜみのように、ひたいが広く四角で、美人のひたいの形容に用いる。

中国の方は結構「虫系」の形容を好んでいたのかもしれません。





信ずるものがあることは幸せなこと。

2011-02-19 20:00:36 | ◇1級:書き(書き取り)
 
 彼女は ケイケン な信者だ。







ケン
つつし(む)、ころ(す)、うば(う)



【解字】会意。虎+文。

  1. つつし-む(謹)。おごそかにつつしむ。「恭虔」
  2. ただしいさま。
  3. かたい(固)。
  4. ころす(殺)。そこなう。


【敬虔主義】
ドイツ語Pietismus(英語pietism)の訳。17世紀後半から18世紀前半のドイツで興ったプロテスタント信仰復興運動。宗教体験,実践の強調と自由な信徒集会(コレギア・ピエタティス)の形成が特徴で,ドイツ神秘主義の遺産,ピューリタニズムのドイツ的展開と見ることもできる。



敬虔。

虔す=ころす

というのも少し驚きです。

「謹む」と「虔す」とではまるで対極です。
でも、思想・宗教の相違により戦争が起こっていますからね。


「敬虔な」という後ろに続く言葉といえば、

クリスチャンが7割、仏教徒が2割、イスラム教徒が1割といったところでしょうか。

統一教会、創価学会、幸福の科学など新興宗教にはそぐわない言葉だと思います。


という私も現在信仰している宗教はありません。(実家は禅宗です)
「葬式仏教」でいいのかなと漠然と考えている程度です。

ただ、何となく好きな宗教はあります。
最澄によって伝えられた「天台宗」ですが、高貴な方の宗教のイメージがありますね。

あの毒舌和尚で名を馳せた今東光氏の本によって知ることができました。
今東光氏に弟子入りし出家した瀬戸内寂聴さんの方が有名でしょうか。

実はわたしは寂聴さんのファンです。
一度でいいから生法話を聞いてみたいと思っています。







敵を欺くには。

2011-02-12 17:25:23 | ◇1級:書き(書き取り)
藤山寛美氏(岡田彰布氏ではありません)


 ウツ け者を装い油断させる







【空け者・虚け者】

 ・おろか者。のろま。うっかり者。
 ・中がうつろ(空ろ・虚ろ)になっていること。
 ・気が抜けてぼんやりしていること。


空く・虚く。空虚。

「うつ-ける」は、「うつ(空)」の動詞化




志村ケンがよく使っていますね。

 「ぶふぁふぁはははは、この空け者めが!」



わたしは中学生の頃、皆から藤山寛美と呼ばれていました。
当時、土曜昼にテレビで寛美の舞台劇が中継されていてよく観ていました。
あの人の笑いのセンス、間は天才的だったと思います。

現在その流れを汲むのが志村ケンではないでしょうか。
あの芸風、センスはおそらく寛美を手本にしていると思います。



実は私、志村ケンが大好きです。
お笑い芸人でも、今は少し売れると勘違いして文化人を気取ったり政治家に転身したりします。
その点志村は、自分の身を弁えているというか頑なです。

立派だと思います。



猫背のように・・・

2011-02-07 20:11:00 | ◇1級:読み(訓読み)
 
 天に り 地に




【意味】ひどく恐れるようす。高い天でも背をかがめ、厚い大地の上でも抜き足さし足で歩くこと。






キョク
かがむ、せぐくま(る)



【解字】形声。貝+局。音符の局は、背を曲げるの意味。足や背をまげる、かがむの意味を表す。

  1. かがむ。せぐくまる。からだを曲げて背をまるくちぢめる。
  2. 片足を挙げる。




シャク、セキ
ぬきあし、さしあし



【解字】形声。足+脊。音符の脊は、椎骨が積み重なっている背ぼねの意味。椎骨のように足を一つ一つ積み重ねるの意味から、ぬきあしの意味を表す。

  1. ぬきあし。さしあし。
  2. 音を立てないように歩く歩き方⇒「跼蹐」キョクセキ



てんにせぐくまり、ちにぬきあしす


跼の解字がなぜ、貝+局なのか不思議です。

また、

蹐の訓読みが「ぬきあし」「さしあし」というのもどこかで聞いたことありますね。笑


出典は四字熟語にもある

 『跼天蹐地』キョクテンセキチ

   [詩経、小雅、正月]


また、こんな諺もありますね。

 『騏驥の跼躅は駑馬の安歩に如かず』(ききのきょくちょくはどばのあんぽにしかず)

【意味】すぐれた人も怠けていれば、平凡な人が努力するのに及ばないというたとえ。
    ※跼躅:行き悩む様子。



もともとは例外なく漢文(漢詩)からきている言葉。

跼だって、蹐だって 音読するのはさほど難しいものではない。
旁の音符の局と脊(←来年度から常用漢字です)を読めばいいのだから。

でも、跼を「せぐくまり」、蹐を「ぬきあし」と訓読させた倭人を尊敬してしまいます。

「ぬきあし」は普段からよく耳にする言葉ですね。
でも、「せぐくまる」なんて聞いたことがありません。

おそらく、

 背を丸くする + かがまる(屈まる) = 背かがまる ⇒ せぐくまる

の合成語の転訛だと思います。



ググってみたら、


 『せぐくまる 蒲団の中や 夜もすがら』

 by夏目漱石


と遣っている方がいらっしゃたんですね。
さすがです。笑