Dr.keiの研究室2-Contemplation of the B.L.U.E-

「出産前格差」

僕は、「家族格差」に関心をよせている。家族間の相違といってもいいかもしれない。

子どもは、親を選べない。どんな家庭に生まれたかで、かなりの方向付けがなされている。親からの影響は絶大で、なかなか親の影響から自由になることはできない。

身体的にも、精神的にも、「私」という存在は、その大部分が家族によって構成されている、と難しくいってもいいかもしれない。

けれど、生まれた直後から親の影響を受けているのではなく、それ以前から、実は大きな影響を親から受けているのではないか?!

賢明で善良な親は、子が生まれる前から、かなりの「予習」を行っている。行政サービスである母親教室や父親教室にも、きちんと参加しているし、「出産後」のさまざまなあり得る「危機」や「リスク」を想定している。「ゆさぶられ症候群」や「マタニティーブルー」など、たいていの親なら知っていることは、すべて「出産前」に事前学習しているはずだ。「沐浴の仕方」や「着替え」、「母乳」、、、なんでもいいが、あらゆる「起こり得る事態」を予期できる状態になっているはずだ。

だが、「緊急下の女性」をはじめ、問題が(後に)起こり得る家庭の親は、そうした「予習」を行っていない。実際に聞いた話だが、そういう親は、「どのように学んだらよいか」がわかっていないのである。行政サービスについても、わかっていないし、母親教室があることさえ知らないケースもある。行政機関がいくらプロモーションをしても、そういう親には届かないのだ。がゆえに、「出産前」から、既に親の状況自体に「格差」が生まれている、といえそうなのだ。

父親となると、さらに違いはかなりはっきりとしてくる。仕事ONLYで生きている父親は、生まれてくる赤ちゃんの知識はもう皆無に近いくらいにない。せいぜい、「小さくてかわいい存在」という程度にしか認識していないはずである。

赤ちゃんのことを少しでも知っていれば、「かわいい」なんて思えるはずがない。強烈に耳障りな泣き声が一日中響くのだ。何もできないから、24時間ケアが必要である。どんな人間であれ、1週間も一緒にいたら、嫌になるし、キレそうになる。毎日が「地獄」となるし、毎日赤ちゃんのキリキリとした泣き声にうなされるのである。

昔の男性は、子育てに関与することはなかったという。力仕事である沐浴でさえ、昔の男は一切やっていなかったそうだ。大昔はわからないが、少なくとも大正~昭和にかけては、男が子育てに協力することなど、微塵もなかったと聞く。

考えてみれば、昔はそれでよかった。母親の周辺には、いろいろな「助けの手」があった。近所の人、親の親、親族、先輩、いろんな人が「子育て」に介入していた。だから、父がいなくても、母だけでなんとかなってきた。(それもどうかと思うが、、、)

けれど、今の母親には、そういう身近なサポートがない。さらに、働く女性もこの数十年でずいぶんと増加した。待機児童を考えると、とてもない数の母親が「出産後」に労働を再開しているのだ。

子育ても「自己責任」となってきた。もちろん、親双方の責任ではあるが、今もたいていの場合、「母親の責任」の下で行われている。母親もそのことを当然知っているわけで、自分の責任として、子育てを引き受けている。だから、今の母親は、己の責任において、子どもの命を一手に引き受けているのである。

がゆえに、どんな母の下で生まれてくるのか、また、どんな父の下で生まれてくるのかがいっそう重要になってくる。父親が今の母親の置かれている状況を理解していないとすれば、母親は出産後にかなり厳しい状況下に置かれることになるだろう。

よくも悪くも、現代の子どもたちは、生まれる前から、既にこうした「親の格差」の影響を受けている。妊婦である妻をいたわり、配慮し、自らも父になろうと欲する父親ならば、その子どもは、生まれる前から親の愛情を(意識されはしなくとも)得ていることになる。だが、妻を苦しめ、追い詰め、冷たくあしらい、父親になるという自覚のない父親ならば、その子どもは、母の体を経由して、悪影響を受ける。

生まれる前から、「格差」は始まっているのかもしれない。

コメント一覧

kei
Junさん

バンドやってますか!!素晴らしいです。HPとかないのですか??

ライブ、成功するといいですね!どんな音楽なんですか??

僕もまた新しいバンド、やります。いつか是非対バンしたいですね。そのときを楽しみにしています!!

…とバンドの話になっちゃいますねー。。。
jun
こんにちは!

記事に加えて、
コメントありがとうございます。

バンドともども、おかげさまで元気にやっています。

そういえば、
もうすぐ誕生日!

その日の僕は、初のバースデーライブ♪
(メンバー以外は、単なるライブ)

父の日であり、誕生日であり、家族に了承を頂いてのライブ活動。

感謝でございます。
(ここで感謝をしても…ですね^^。
家族に感謝を伝えてから、リハにでも向かいます。)


ではではお元気で。
お互いの良い歳を願います。
kei
Junさん

こんにちは!お元気ですか?? バンドの方はどうなっていますか??

子どもたちに何をどう伝えるか。それを悩んで、考えて、たどたどしくも伝え続けるしかないと思うんですよね。

言葉だけじゃなくて、生き様っていうか、生きる姿勢というか。。。

きっと理屈じゃないんですよね。。。理屈で教えるべきなのに、理屈じゃ教えられないというか。。。難しいです。。。
jun
ご無沙汰しております。junです。

keiさんが、先日のblogでも書かれていた高校生の事件とそれに伴った指導。
おそらく家族格差では、しあわせな部類に入るだろう、現在の私生活と子育ての日々の流れの中で、私は、子供たちに何をどのように伝えたら良いのか…。

keiさんが書かれた今回の記事を、子供たちが読むことを想像し、今までの自分と将来の自分について、個々、いろいろなことを考えるとても良いきっかけになるだろうなあと感じました。

また、これまでのポストの記事など加えて考えると、私が行っている進路や家族形成や性に関する個人的・内面的なともすれば天に願うかのような指導に対し、社会的な支援の在り方を追究されているkeiさんやそのような方々の実践は、実行性と新しい何か希望のようなものを感じました。


以上、何がどうって感じでもないですが、コメントしてみました。ではではまた。
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