Dr.keiの研究室2-Contemplation of the B.L.U.E-

五木の子守唄◆熊本県民謡◆The Lullaby of Itsuki 子守奉公の歌の世界

五木の子守唄 熊本県民謡 The Lullaby of Itsuki

この曲、知っている人も多いと思いますが、改めて…。

 「子守歌」って、お母さんだけが歌ってきたものじゃないんだな、と改めて。

(いわゆる「子守歌」の他に、「守り子歌」というのがあって、この曲は後者です)

かつての日本には、「子守奉公」というのがあって、貧しい家庭の女の子は、「口減らし」で、よそに出されていたと言われています。

こちらの記事の写真を見ていただきたいです

ここに出ている女の子が「子守奉公」で、この曲に出てくるような子だと思われます。

民謡なので、どれが正解というわけではないですが、戦後になって出されたのがこの歌詞です。

この歌詞がとてもとても重く、悲しいんです。


1 おどま盆ぎり盆ぎり
  盆から先ゃおらんと
  盆が早(はよ)くりゃ早もどる

2 おどまかんじんかんじん
  あん人たちゃよか衆(し)
  よか衆よか帯 よか着物(きもん)

3 おどんがうっ死(ち)んちゅうて
  誰(だい)が泣(に)ゃてくりゅか
  裏の松山蝉が鳴く

4 蝉じゃごんせぬ
  妹(いもと)でござる
  妹泣くなよ 気にかかる

5 おどんがうっ死んだら
  道ばちゃいけろ
  通る人ごち花あぎゅう

6 花はなんの花
  つんつん椿
  水は天からもらい水

引用元はこちら(とても詳しい解説付き)

*「おどま」は「私たち」で、「おどん(おいどん)」は、「わたし」のこと。

*「かんじん(勧進)」は、「小作人」「乞食」「物乞い」のこと。


3で、「私が死んだところで、誰が泣いてくれるだろうか。蝉だけは泣いてくれるだろう」と歌いつつも、

4では、「でも、泣いているのは、蝉じゃなくて、おぶっている妹のほうで。泣くなよ」、と歌うんです。

そして、5で、「私が死んだら、道ばたに埋めて。通る人が花を供えてくれるから」、と。

これを「子守歌」と呼んでよいのか分かりませんが、当時の日本の守り子の心情が伝わってきます。

先日、「石井のおとうさんありがとう」という本を読みました。

石井十次さんの物語です。

親に育ててもらえない「孤児」を集めて、「孤児院」を日本で初めて作った人です。

この本の世界とも通じる「五木の子守歌」。

五木の子守歌は、とても重たく悲しさのある曲ですが、どこか「強さ」も感じます。

この「強さ」がなんなのかは分かりませんが、「生命的な強さ」のようにも思います。

子どもたちって、弱い存在でもあるけれど、強い存在でもあるんです。

大人とは違う世界を生きていて、そこでたくましく生きることができるんです。

「水は天からもらい水」という最後のフレーズに、そんな子どもの強さを感じます。

YouTubeに、この曲の色々なバージョンが出ているので、是非聴いてもらいたいですね。

三橋美智也さんの歌とオーケストラ風のアレンジがとても綺麗です。

解説付き。ギターで奏でるこの曲も本当に心に響きます。

歌詞も違う五木の子守歌。こちらもよく知られています。

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