昨年の後半あたりから、どんどんV系シーンに変化が起こっているように思います。
ただ絶叫を上げるだけのsexyさのないゴリゴリバンドから、ダークで深淵でsexyなバンドへ、と。
「Dark」と「Sexual」は、V系を構成する重要なファクターです。
ようやく、ここに来て、「Darkなヴィジュアル系シーン」が戻りつつあるのかな、と。
それを、確かに予感させるようなバンドが現れました。
その名も、
gibkiy gibkiy gibkiy
です。
このバンド、凄いんですよ。。。
メンバーが。。。
ボーカルは、僕ら世代では有名なあの「merry go round」の真。
ギターは、V系界でも突出してセンスのあるaie。
ベースは、aioria~蜉蝣のKazu。
ドラムは、まさかの元ラルクのSakura。
いやー、いったいどういう音になるのか。全然想像がつかないというか、、、
とんでもないバンドだということだけは、想像できますが、、、
merry go roundといえば、我がSILVER ROSEのKyoが在籍していたバンドでもあります♪
で、この2016年に放たれた新作『不条理種劇』ですが、これが、もう、圧巻というかなんというか、、、
もはや、「ロック」の枠も、「V系」の枠も、ぶっ超えてますね。
なんというか、もはや「演劇」の世界、というか、「舞台芸術」というか、、、
あまりにも、深淵すぎて、その中にはまったら、抜け出せそうな、、、
そんな「芸術作品」になっているように思いました。
01 劇中劇
「これから何かが起こる」というようなもの悲しいギターの音から始まる壮大な曲。aieのギターのセンスがいきなり炸裂していますね。歌詞は、「歪な、華となれ 強大に粉う蝶、粉々に巨大な、粉う蝶 不滅な、華と成れ」、の一行だけ。このアプローチは、クラシックかな? この一行を歌うだけで、4分以上の曲。それだけで、このバンドの「異様さ」が分かると思います。そして、「華」のところの異様に長いボーカルの歌が、なんともいえない「凄さ」を感じさせます。一曲目から「圧巻」です。
02 嫋嫋たる対象
ボーカルのKazumaの囁く声から始まる、これまたドロドロっとしたダークな曲。ドラムのタムの音が不気味に鳴り響きます。どこか、DEAD ENDのMORRIEさんを彷彿とさせるエモーショナルな歌に、引き込まれます。ギターも、不気味にリフを繰り返す感じで、どろっとしています。でも、従来のV系のようにゴリゴリにエフェクトをかけるような音ではなく、aieの音で。「汚さの中にある美しさ」のような音世界が作られています。全体的には、まさに「嫋嫋とした」という感じ。「細長く響く音」という、このバンドのイメージをそのまま表しているような楽曲ですね。
03 箍を外す場合、穴に群れる具合
いきなり、aieにしかできないようなギターのリフで始まる「実験曲」。この曲も、歌詞は「いあぐるれむになあ いあばすずはをがた」のみ(苦笑)。全くの意味不明なんですけど…。なんかの「暗号」のような、そんな不思議な歌詞に、不気味なギターのリフ。なのに、どこかまとまっていて、カッコいいんです。いやー、恐るべし、gibkiy gibkiy gibkiy…。この曲、ディルアングレイが好きな人にはたまらないかも!? 僕的には、ひたすら繰り返されるaieのギターリフに悩殺されました。このリフ、頭から離れない…。しかし、この曲、どうやって、ライブで再現するんだろう? 僕には無理だ…(・_・;) ただただ「凄い…」の一言、、、
04 spoiled me
ここに来て、ようやく「感情移入」できそうな曲が出てきます。退廃的でもの悲しくて切ない歪んだギターのアルペジオが素敵です。そして、その裏で、巧みな技が冴えわたるSakuraのドラムが凄いです。もしかしたら、このバンド、Sakuraが一番楽しんでいるかも!? この曲は、なんと7分もある壮大なバラード曲。「死」の匂いがプンプンと感じられます。気持ちが沈んでいる時に、この曲を聴いたら、どうなるんだろう? でも、絶対に死から逃れられない存在である僕らには、こういう曲が必要なのかも…。それにしても、こんな曲、よくまぁ、創ったなぁっていう、、、(・_・;)
05 管
これまた、リズムの取り方が難しそうな曲を…。この曲も歌詞は、「切断 場合 または刺す 音律 浮遊 血に塗れた 緑色の 花に 呪 込めて、血に繋がれ」、の一文だけ。でも、サビ(?)は結構、聴きやすい感じかな? 8ビートのシンプルなドラムに、aieらしいバッキング、そして、メロディーがはっきりとした歌、「気持ち悪さ」と「気持ち良さ」が同時に表現された感じですかね。最後のKazumaのうめき声?が聴きどころ!?
06 形状において歪な、または不自然な
来ました♪ ジャジーなドラム。Sakuraのドラムを楽しむ一曲、かな。バンドをやっている人が喜びそうな曲!? 少なくとも僕は喜んでいます(苦笑)。なんというか、ドラムも、ギターも、ベースも、やりたい放題で、そこに、ボーカルが「楽器」として登場している、という感じかな。完全にこのバンド、「お茶の間」を拒否していますね。こんな曲、いったいどこでどう聴けばよいのでしょう? でも、一度、このバンドの音に魅了されたら、最後。虜になること、間違いなしかな。そういう音になっています。ドラムがとにかく素敵。(多分、死ぬまで、こんなドラムは無理っす、、、(・_・;)) あと、きっと、MORRIEさん、この曲、気に入ってくれるだろうなぁ、、、って。
07 形の無い、何よりも、愛したのは、お前だけが
好きです。この曲。aieのギターに惚れてる僕が最も、aie~♪って叫びたくなる曲。僕が「シングルカット候補」を挙げるとしたら、この曲かな? この曲は、ある意味で、最も世間的に受け入れられるのでは?、と。欧州だったら、結構売れそうな気がする。でも、日本だと、まだ、そこまで受け入れられないかな、、、。どこまでも退廃的で、どこまでも深淵で、失神しそうです。。。(苦笑)
08 脳内に
その名の通り、「脳内に」迫ってくるような楽曲です。ねっとりとしていて、まとわりつくような曲で、ダーク感も半端ないですね。アルバム最後まで、テンションが下がらないです。
09 蟻は血が重要である
で、本作、最高の「問題作」、だと思われるこの曲。っていうか、これ、「曲」ですか?? 曲と言ってよいのかどうか…。14分間続く、gibkiy gibkiy gibkiyの音世界としか言いようがない、、、 もう、こんな曲、聴いたことも考えたこともない、という感じの「音」です。なんか、もう、音楽を「超越」した音楽、というか。先鋭アートど真ん中って感じもします。ロックのピカソがいたら、めっちゃ喜ぶんじゃないかな、と。「脱構築」してるっていうか。ポストモダンを考えたくなるような「音」楽。 しかも、これを4人でやっちゃんだから、もう、開いた口が塞がらないですね。多分、誰が聴いても、口がぽかーんと開きそうです。けど、これ、一度、はまると、たまらないものがあります。。。 一番、惚れたかも!?
***
全曲通して、とにかく、「圧巻」の一言。
昔、BUCK-TICKが「SIX/NINE」をリリースした時の「衝撃」に近いかも!?
「いっちゃったバンド」というか、、、
破壊後の創造の一端、というか、、、
さすがに、「これをコピーしろ」と言っても、誰も再現できない気もしますが、この「世界観」は、今後のV系シーンにとって大きな意義がありそうな気がしてなりません。これからは、そろそろ、かつてのダークシーンに戻って、こういう退廃的な音世界=原点に立ち戻る時期かな、と。
メンバーみんな、ロックの世界に入って、かなりの年月が経っています。そういう意味でも、「円熟した(元?)ヴィジュアル系バンドマン」の「新たな挑戦」と捉えることもできそう。
とにかく、これは、一度聴いて、ドン引きするか、はまるか、してほしいですね。
僕も、最初は、「ドン引き」でした(苦笑)。「なんじゃ、こりゃ!?」って、、、
でも、聴いているうちに、どんどん魅力されていってしまいました。
凄いわ、このバンド、、、(・_・;)
「いい」とか「わるい」とかの尺度は、全くもって通じないですわ、、、