
(写真:先日始まった展覧会)
春の種蒔きをしたと、受話器の向こうの友人の声を聞いていた時の事だった。
窓枠で切り取られた私の視界の中に二つの小さな真っ黒いガラスビーズが浮かんでいた。
それはテラコッタの鉢の上に佇む一匹の栗鼠で、真っ黒な表情のない目でこちらを窺っていた。
たびたび走り回っているのを見かけていたので、胡桃をテラスのあちこちに仕掛けておいた。
極寒の数日間は胡桃は手付かずだったから、心配していたのだけれど元気だったようだ。
早速頬袋に胡桃を詰めたリスは美しいつややかな栗毛の衣をひるがえして走り去った。
そろそろ鳥のさえずりも春めいてきている。