散歩絵 : spazierbilder

記憶箱の中身

化石

2013-08-07 21:58:52 | 自然観察

あちらからこちらから石を持ち帰る癖がある。だから部屋の中にも外にも石がごろごろ転がっていて、時々石に躓く。
石の育ってゆく時の経過を想像するのは楽しい。

さて、先週末に一日化石探索コースに参加し、炎天下2箇所の石切り場を這いつくばった。
デボン紀には珊瑚礁であった山(山といってもたいした高さはない)をコツコツ叩くと、古代海の生物が顔を出す。 なんて素敵な出会いだろうか。わくわくする。



























持ち上がらないほどに沢山の石をリュックサックに欲張って詰め込んだ。


そういえば、石切り場へ向かう前にKakushoehleという洞窟にも立ち寄った。
この洞窟には伝説が残っている。
一つは古代ローマの詩人ウェルギリウスの叙事詩アエネーイスの中に語られている。
それはこんな話だ。

住み心地の良いこの洞穴にカクスという名の大男が棲み付いた。カクスは強欲で粗野な悪党で村人たちを襲いそのひどい仕打ちで彼らを恐怖に陥れるのだった。
ある日又一人の大男がやってきた。その名をヘラクレスといった。ヘラクレスは近隣のヘラクレスシュタインに住んでいた。彼は村人たちと平和に暮らしており、カクスの暴行から村人たちを守っていた。ある日とうとうカクスとヘラクレスの決戦となった。そしてヘラクレスの投げた大岩がカクスを潰し平和が訪れた。

また、この洞窟にまつわるもう一つの伝説がある。
2人の農夫が受難週にもかかわらず教会へ行くのを怠けてカクス洞窟でカード遊びをしていた。すると見知らぬ男がやってきて沢山の金を2人に巻き上げられてしまった。
男は『カード遊びを最初にやめた者が永遠に悪魔の客人となる』というルールを提案した。金に目がくらんだ二人はそれを了解した。しかしやがて2人はこの見知らぬ男こそが悪魔だということに気がついた。二人は魂を売り渡したくなかったので何日もの間ゲームをやめる事が出来ずにいた。心配した彼らの家内たちは司祭に助けを請うた。
司祭が洞窟に駆けつけ悪魔に十字架を突きつけるとやっと農夫たちを放し、洞窟の入り口脇の壁を叩き怒りながら洞窟を去った。

そんな話が残っている。

悪魔との契約の話はいろいろなところに顔を出して、似た話が沢山あるものだ。
欲に憑かれるとまもなく悪魔が登場するのだ。
私も欲を出して石を叩いていると中から悪魔のささやきが聞こえてくるかもしれない。