友人と共にリキテンシュタイン展を観るためにケルンに向かった。
(Museum Ludwig)
ぐずついた天気だったが傘を必要とすることも無く、展覧会鑑賞にはもってこいの日和。
リキテンシュタインについて私は知っているようで良く知らなかったことがわかった。
それほどじっくりと、多くの作品を鑑賞したことも無かったというのが事実だ。
記憶に間違いが無ければ、昔昔(ふた昔以上も前、昔が三つほど連なるほどに昔)日本でリキテンシュタインの展覧会を軽井沢(だっただろうか?どこだか思い出せないが展示空間をうっすら思い出せる。東京だったのか?一体何処だったのだろう?思い出そうとしているとだんだん不確かになってゆく)の美術館で見た事があった。
当時すきでも嫌いでもない作品の部類でもあった。
今回改めて見て面白いなあとおもった。
今回は有名なコミックから起した作品はほとんど無く、名画を特有の手法で変換した作品群が主だった。
良く観るとドットを置いている部分、コミックのようなブラッシストローク、ドットの配列や大きさなど、緻密に計算された画面だ。
なるほどねえ、としきりに遠くに言ったり近くに寄ったりしているうちに錯視効果に襲われて、無いものまでもが見えはじめて船酔いしたような気分になった。
それにしても膨大な作品の量、そして最後までラインを曲げずにドットを書き続ける継続力には圧倒される。
根底に流れるしっかり構築されているコンセプトは揺らがない。
圧倒的なドットの波に襲われ、視覚も脳みそも不本意にもすっかり掻き回され、美術館をでると街の景色が時々リキテンシュタイン風に変換されて見えて来る気がして、
おかしな感覚がしばらく続いた。