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散歩絵 : spazierbilder

記憶箱の中身

ベスト 5

2007-03-22 09:26:09 | 美術関係
”僕の好きなバーン・ジョーズベスト5”という記事をlapisさん が書かれていた。
私が選ぶならどの絵だろうか?と何の気なしに考え始めたけれど、実は実際に見たバーン・ジョーンズはとても少ない。数えるほどしかない。
ロンドンでは何作が見た記憶はあるが、ドイツではコレクションが少ないということもある。
シュトットガルトに”不吉な顔”という作品があるくらいしか思い当たらない。
1998年、隣町の小さな美術館でWilliam MorrisとEdward Burne=Jones の未完プロジェクト”The Earthly Paradies”のなかの一部“Amor und Pusyche"の木版画作品展があった。





結局今回私が選んでみた絵はブリュッセルにあるプシュケの婚姻式意外は実物は見ていない。という事で見たい絵ベスト5という事にしておく。

この人もなかなか淋しい幼年期を送ったらしい。少年時代は絵を描く事が何よりも慰めであり、力となったようだ。聖職者になろうとしていた彼が芸術家として歩む道を選んだのはウィリアム・モリスに出会ったことから始まるようだ。


The Dream of Launcelot at the Chapel of the San Graal 絵のテーマがなんといっても好みだな。

Portrait of Katie Lewis  この絵の持っている空気がいい。彼女はどんな女の子なのだろうか?と思わずしばし想像を逞しくする。

The Wedding of Psyche この作品はブリュッセル王立美術館蔵。美しい色合い。好みである。

Love Among the Ruins 彼女の美しい青い衣装と廃墟。棘の痛そうな可憐な花をちりばめた薔薇の蔓が美しい。

Saint George and The Dragon - The Princess Tied to the Tree 幾つかのウェブサイトを眺めていたら、この絵に出会った。個人蔵の絵だから見る機会は殆どないだろうけれど、見てみたい。暗い背景に純白の衣装を見につけた姫君が白樺に(多分白樺だろう)身をあずけているこの瞬間、彼女は聖ゲオルグと龍の戦いを想っているのだろうか。



19世紀後半世紀末の絵画の中ではしかし、どちらかと言うとアーノルド・ベックリンが私は好きだ。
ベックリンの作品には中から外へ突き出るようなエネルギーがある。時には品が無いほどに生なましい人魚の尾ひれや肌色、歪んだ体などが見ていてドキリとする。当時彼の作品はとても斬新だったのだろうね。

そこでついでに、私の好きなベックリン ベスト5も選んで見ることにした。

The Isle of the Dead  やはりこれの作品は外せない。死の島は何枚か描かれているが、このベルリンにある死の島が一番好きだ。

The Sacred Wood この絵も死の島と同じ空気を持った作品だ。これも音楽が聞こえてきそうな絵の一つだと想う。
トーマス・マンがこの絵を見て賞賛の一文を書いている。

Villa am Meer Ⅱ この絵も2つのバージョンがある。見るからに寒そうな絵だな、と思ったが,それは風のせいか。。しなう樹木に思わずこの間の大嵐を思い出した。浜辺に佇む女性は何を待っているのか?何を想っているのか?

Odysseus und Kalypso オディッセイアの影のような後姿と水の女神カリプソの輝く白い肌と真紅の敷物の対比が印象的。オディッセイアが妻子のもとに帰る決心をした瞬間だろう。

In the summer house この絵は見た事が無い。図版でも見た事が無かった。 実物を見てみたい。老夫婦が転寝をしている庭の一場面だ。きっちり作られた庭にはなぜが律儀な感じにチューリップらしき植物が植わっていたり、ヒヤシンスが鉢に一本ずつうわって並んでいるところがなにやら楽しい。

先日フランクフルトで見た”クロウタツグミと話す牧神”もよかったなとか、気の強そうなしっかり者の口元をした奥方の肖像も魅力的だった。

おまけ
ベックリンに影響を受けたカールスルーエの画家フェルディナンド・ケラー(1842-1922)が“ベックリンの墓”という作品を描いている。私は図版で見たときずっとベックリン作だとばかり思っていた。
カールスルーエの美術館で見る事が出来る。