金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

東電所長「君命も受けざるところあり」か?

2011年05月27日 | ニュース

東電や政府が発表する情報が混乱し、ノイズを発生している福島原発の海水注入問題で昨日また新たな情報が発表された。それによると福島原発の吉田所長は、本社の幹部とテレビ会議で注入中断を決めた後、実際には中断せず、注水を続けていたという。なお東電の武藤副社長によると、「原子炉を冷やす(私註冷やし続ける)という判断は妥当だった」ということだ。

この話を聞いて私は「孫子」の「九変」編にある箴言を思い出した。君命有所不受。

「君命も受けざるところあり」君主の命令でも受けられえないところがあるということだ。この一言は次のような文脈にでてくる。「道にはどうしても選ぶことができない道があり、軍には攻撃できない敵があり、城には攻めることができない城があり、相手の所有地には争わない方がよい土地があり、君命にも受けられないものがある」

吉田所長がこの言葉を知っていたかどうかは知らない。だが気持ちとしては「社名か君命(首相)の命令か知らないけれど、現場責任者として注水中止は受けられない」というところだったのではないか?と推測する。

孫子は別の所(謀攻編)で、無知な君主による誤った命令が軍を混乱させることを戒める。「攻撃するべきでないのに攻撃しろと命令する、あるいは撤退するべきでないのに撤退しろと命令する。これを糜軍(びぐん)という。」

糜軍とは軍隊の自由を奪うこと。まさに福島原発で起きたことは糜軍である。現場を知らない人間が場当たり的な指示を出し、現場を混乱させ、最後は責任のなすりあいをする。東電の武藤副社長は「吉田所長の処分を健闘している」そうだが、それであれば、まず自ら辞表を書くべきだろう。

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ベア・トラップを恐れるドル・ショート筋

2011年05月26日 | 投資

ベア・トラップとは一般的には「熊の罠」だが、投資の世界では相場の下落を予想してショートポジション(空売り)を取った投資家が、期待に反する上昇相場で、高値で買い戻しを強いられる状態を指す。

FTによると米国の量的緩和第二弾QE2の終了を前に、ドルショート筋がベア・トラップにはまることを恐れてショートポジションの削減を行なっている。

連銀は米国債金利の低下と景気刺激をもくろんで、国債購入を開始して、大量の資金を市場に投入した。量的緩和第一弾前の2008年8月に8,440億ドルだったドル資金は3倍の23,900億ドルに膨らんでいる。供給量が増えると値段が落ちるのは、一般財も通貨も同じこと。投機筋はドルの下落を見越してドルの空売りを続けていた。

だが量的緩和の終了が視野に入ってきたので、投機筋はドルの買い戻しに動いている。シカゴ・マーカンタイル取引所のデータによると、5月17日に至る1週間の内に投機筋はドルのショートポジションを80億ドル減らして255億ドルに落した。

連銀が公表した議事録から投機筋は、QE2の終了のみならず、その先の金融引締めまで視野に入れ始めた。

だが気になるのは米国債の発行限度の問題。8月初旬までに議会が発行限度の引き上げを認めないと理論的には米国債のデフォルトということも起こりうる。当面ドルの大幅な下落も想像しにくいが、ドルが大きく上昇するとも考えにくい。

となれば傾けたポジションを縮小して様子を見る・・・・ということだろうか?

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「おさいふケータイ」米国でも広がる見込み

2011年05月26日 | ニュース

「おさいふケータイ」とは、携帯電話に組み込んだFelicaチップを使って電子マネーの決済を行なう仕組みで、「おさいふケータイ」という言葉はNTTドコモの登録商標である。この分野では日本は先端を走っていたが、FTによると米国でグーグルとSprint Nextelが、アンドロイド端末で「おさいふケータイ」サービス(英語ではmobile wallet)を開始する予定だ。

このプロジェクトにはマスターカードやシティグループも参加すると見込まれ、mobile walletが米国の小口現金の決済の主流になる可能性がある。

「おさいふケータイ」のベースになっているのは、NFC(近距離無線通信)という技術で、グーグルのシュミットCEOは最終的には、おさいふケータイがクレジットカードのライバルとなるだろうと予想している。

グーグル陣営以外にすでにAT&T陣営もプラットフォームを構築しており、アップルも次のiPhoneにおさいふケータイ機能を組み込むと考えられている。

アナリストによると、2011年中に5千万台のおさいふケータイが米国で販売され、2014年にはおさいふケータイによる取引が2,450億ドルに達するだろうということだ。

ところで海外旅行をして困ることは、つり銭で貰った小銭が余ってしまうことだ。もし国境を越えて使うことができるグローバルがおさいふケータイが誕生すれば、この問題から開放されるはず。だれかが音頭をとって世界的なおさいふケータイの標準を作ってくれると助かるのだが、それは夢物語だろうか・・・・・

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スポーツ関連業界は2015年問題にどう対応するのか?

2011年05月24日 | ニュース

帝国データバンクの日刊「帝国ニュース」に、ゴルフショップ「二木ゴルフ」が、2015年問題に向けて事業の再構築を目指すという記事がでていた。

2015年というのは、「団塊の世代」が総て65歳に到達する年で、2015年問題とはそれによりおきる色々な問題だ。2011年2月期は売上高217億円強、経常利益8千万円を計上。当期純利益はリストラ費用等で5億円弱の赤字となった二木ゴルフだが、今期については震災の影響で売上は2割近い減少を予想している。震災後の自粛ムードは次第に弱まっていく可能性が高いが、高まるのはゴルフ人口の中核をなしている団塊の世代の高齢化リスクだ。

私事で恐縮だが、私はこの1年程ほとんどクラブを振っていない。理由の一つは一種の腱鞘炎(ばね指)である。以前は仕事上の付き合いや社内コンペということで、ばね指を押してコンペに参加したこともあったが、昨今は付き合いゴルフが減ったので、すっかりご無沙汰している次第だ。身の回りでも、経済的な理由や肉体的な理由でゴルフから遠ざかった人はかなりいる。

一方スポーツ関連で利用者が増えていると思うのがスポーツジムだ。たまに平日の昼間に行くと団塊の世代とおぼしき男性が意外に多いのに驚くことがある。リタイアして自由な時間ができると、会員料金が安い「平日限定会員」を選択する手がある訳だ。

ゴルフなどに較べるとスポーツジムは安い。平日限定会員であれば、月7-8千円位だろう。つまり一回のゴルフプレー代で、一ヶ月ジムに通うことができる。また見方によってはジムで行なう運動はゴルフに較べて健康的だ(ゴルフは左右非対称の動きで、腰やひじへの負担が大きい)。

若い世代よりは年金面で優遇されている「団塊の世代」だが、大半の人は退職により収入は現役時代の半分以下になる。でも元気だから、あるいは元気を維持するために体を動かしたいという需要は強い。何が手頃で、何が費用対効果で満足度が高いのか?

晴れた日に郊外のサイクリングロードに行くと、ランニングやサイクリングを楽しむ団塊の世代が多い。これらも初期の設備投資を除くと、ランニング費用の少ないスポーツだ。でも業者の観点からは少しでもお金を落して欲しいと思うだろう。そのためには色々なイベントが必要だろう。

2015年に向けてスポーツ関連業界にも色々なことが起こりそうだ。

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オンラインでの解約、苦労されることありませんか?

2011年05月24日 | ニュース

無駄なものを捨てる「断捨離」というのが流行っているようです。私も使わなくなったパソコン用ラックなどを少し整理しました。この物理的な「断捨離」と合わせてやっているのが、何気なく入って余り使っていないオンラインサービスの解約です。

例えば放映されたNHKのテレビ番組をインターネット経由で見ることができるオンデマンドサービス。月945円で見逃し番組見放題という「見放題パック」に数ヶ月前に加入したのですが、余り使わないので解約することにしました。使わない理由の一つは「見放題」と言いながら、人気の高い番組は「特選ライブラリー」とか「特別プレミアム番組」として除外され、別料金が取られるからです。また大河ドラマをはじめとして番組が面白くなくなりました。それで解約することとした次第。

ところが契約する時は、「いたせり尽くせり」の説明があるのですが、解約する時の説明は実に不親切。大体この手のオンラインサービスは同じ傾向があり、解約手続きの説明は不親切です。インターネットの画面を調べてもよく分からない、そこで電話をかけようと思っても電話番号が書いていない、何とか電話番号にたどり着いても今度は電話がつながらない・・・・そこでその時は諦めてまた今度・・・ということにして、忘れてしまうということになり勝ちです。これが業者さんの狙いなのか?と勘ぐりたくなる次第です。

幸いNHKオンディマンドの場合は電話は簡単につながり解約することができましたが、同じような経験をされた方は多いのではないでしょうか?

消費庁とか消費者センターが音頭をとって、オンラインでサービスを売る業者に「解約手続きを分かり易く表示する」というガイドラインを定めて欲しいと思います。

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