金融そして時々山

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TPP、引き続き門戸開放を示唆

2011年05月20日 | ニュース

環太平洋経済連携協定(TPP)に参加を表明している9カ国は、米国モンタナで昨日(19日)閣僚級会議を開催し、共同声明を発表した。それによると、オバマ大統領がホストを勤める今年11月のハワイでの会議に大枠合意にこぎつける予定だ。しかし米国通商部代表のロン・カーク氏は「最低でも12月にもう1ラウンドの会議が必要で、そこで非公式にストラクチャーを構築し、必要なら来年にもう1ラウンドの会議を行なう」と述べている。

また「TPP参加に関心を持つ国と2国間協議を続け、高い水準の基準を満たす場合は、参加を検討することで合意した」と6月に態度決定を保留した日本を念頭に置いたコメントを出している。

TPP発足に力を入れている米国が念頭においているのは、中国の知的財産権ンスの不正利用と市場ルールを無視した中国国営企業の活動にタガをはめることだ。

米国上院金融委員会が発表したレポートによると、米国企業は中国の知的財産権侵害により2009年に480億ドルを失っている。また国際通商委員会のレポートによると、米国がソフトウエアから医薬品にいたる広範囲の知的財産権の保護を行なうことができれば、210万人の雇用を創出することができると述べている。

また米国上院の民主党院内総務ハリー・リード議員は、中国を名指しにはしていないものの、市場ルールを無視した国営企業が、市場ルールによる米国の企業から商売を奪っているが、TPPは米国企業を守る多くの手段の中に一つになると述べている。

このことはもし日本がTPPに参加した場合、実質的に国営企業と考えられる日本郵政等も「市場ルールを無視した企業」として、制約をうける可能性がある。

確かにTPPは平気でニセモノを作ったりする中国企業を掣肘する手段となりうるが、それは中国がTPPに参加する場合の話だ。米国はAPECアジア太平洋経済協力メンバーを集めて、経済的な中国包囲網作りを目指すが、ハードルが高くなったTPPに中国が参入するメリットを感じるかどうかは素朴な疑問だ。

ところでどういう訳かTPPのニュースは米国のメディアではほとんど取り上げていない。この記事はReutersのニュースをベースにしているが、ニューヨーク・タイムズやワシントンポストでTrans Pacific Partnership等と検索しても、ほとんど記事は見当たらない。一般市民やビジネス界がほとんど注目していないからだろうか?それとも知的財産権における中国の海賊行為取り締まりに有効性がないとみているからなのだろうか?そのあたりは分からない。

日本にとってまだ時間はあるわけだから、その辺りも探ってみたテーマである。

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