デモグラフィック・ディビデンドdemographic dividend(人口動態による配当)とは、労働力人口の比率が上昇することで経済的メリットを得ることで、その状態を人口ボーナスという。日本を始めに、北アジアの諸国は少子化政策を取ったことで、急速な経済成長を達成してきた。
人口ボーナスの反対語が人口オーナスonusで、少子高齢化により、労働人口力比率が低下した状態をさす。
エコノミスト誌はThe most surprising demographic crisis「もっとも驚くべき人口動態の危機」という記事で、最近の中国の国勢調査の結果、中国のデモグラフィック・ディビデンドはほとんど終わったと述べている。
2000年から2010年の10年間の中国本土の人口成長率は0.57%(その前の10年間は1.07%)に低下し、今の合計特殊出生率は1.4と推定される。日本の09年の合計特殊出生率が1.37だったからほぼ同じレベルである。(中国では強力な一人っ子政策を推進しているが、同政策は少数民族には適用されないし、農村部では適用が緩和されているので、出生率が1にはならないのだろう)
中国の60歳以上の人口の比率は13.3%で、14歳以下の子供の比率は10年前の23%から17%に急速に低下している(日本の子供の比率は13.2%で世界最低水準)。
高齢者や社会福祉制度を支える労働力層の減少は、中国の一人っ子政策に対する議論を高めるだろうとエコノミスト誌は予想する。だが仮に政策転換を行なったとしても、新たな労働力を生み出すには時間がかかる。エコノミスト誌のグラフによると、今1.1億人程の65歳以上の高齢者層は15年後には2億人を越えると予想される。
中国は豊かになる前に高齢化に悩む最初の大国になるかもしれない。これは私の勝手な予想だが。