金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

中国初の空母、試験航行の意味は?

2011年08月12日 | ニュース

8月10日中国が初めての空母を試験航行した。この空母は中国がウクライナから購入した「ワリヤーグ」型空母6万トンクラスだ。正式名称は決まっていないが、インターネット上では軍事オタクが、17世紀に台湾を征服した施琅Shi Langと命名せよという声もある(エコノミスト誌)。

台湾を征服した中国の英雄の名前を付けるとすると、随分近隣諸国を刺激する話である。新華社は「中国とアメリカの軍事専門家は、中国の将来の空母は米国とアジア太平洋諸国にとって、緊張の原因とはならない」と報じているので、軍や政府の大人の対応を期待するところだ。

中国は旧ソ連と違って、空母艦隊で米軍と比肩しようと考えていないので、空母はある種のステータス・シンボルだという見方もできる。つまり国連安保理事会の常任理事国の中で空母を持っていないのは、中国だけなので対面上空母を持ちたいという見方だ。

新華社の記事を読むとFactboxとして世界各国の空母の保有状況が書いてあった。例えば米国11隻、英国1隻、インド1隻、タイ1隻・・・など。それ自体は公知の事実で目新しい話ではないが、一番最後に「日本はヘリコプター搭載護衛艦と分類しているけれども、1.8万トンのひゅうがクラスのヘリ空母を2隻(「ひゅうが」と「いせ」)保有している」と書いていた。

1.8万トンというのは満載時の推定排水量だが、排水量だけからいうと、イタリアやスペインが保有する軽空母と同サイズである。これらの軽空母は短距離離陸・垂直着陸機(STOVL)を搭載している。日本の自衛隊は「ひゅうが」や「いせ」に艦載機を搭載しないといっているし、甲板が艦載機の離着陸に耐えるように設計されていないという話なので、日本の「ヘリ空母」が空母に転換されることはなさそうだ。

だが中国が日本の「ヘリ空母」にナーバスになっていること(あるいはヘリ空母を理由に空母の実装を急いでいること)は注目しておくべきだろう。

軍事的に見ると空母の運用や艦載機の離着陸には相当な経験を要するので、中国の空母が直ぐに軍事的脅威になることはない。むしろ軍事的脅威は、米国艦隊を遠距離から正確に攻撃できる対艦ミサイルだろう。

以下は歴史的余談だが、世界で始めて正規空母(鳳翔)を作ったのは日本で就役は1922年、約90年前のことである。それから日本は20数隻の航空母艦を建造(戦艦等からの転用を含めて)したが、3年半の戦争でその大半を失った。戦争とはまことに無益なものである。

中国の「空母がアジア太平洋の緊張の源泉にならない」という言葉が空念仏に終わらないことを期待するとともに、日本もまた必要な防衛策を忘れてはいけないだろう。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【山の雑学】下りの筋肉痛を緩和するには

2011年08月12日 | 

先週末、会社の山仲間と穂高岳に行った。涸沢から奥穂高岳に登り、吊尾根から前穂高岳を往復して、重太郎新道を岳沢に降る一般コースだ。月曜日会社に行くと、何人かの仲間が「足が痛い。階段の上り下りが大変」と嘆いていた。無論私も多少は足が痛かったが、階段の上がり下りに支障が出るほどのことはなかった(多少見栄を張っているのですが)。

「足が痛い」という人の大部分は、腿の筋肉つまり大腿四頭筋が痛いと言っている。この筋肉が痛みを起こすのは降りに酷使するからである。そこで何故大腿四頭筋は痛みを起こすのか?それを緩和する方法はあるのか?ということを、自分の経験と工夫を踏まえながら考えてみた。

【日頃は使わない伸張性収縮】

山登りで重要な役割を果たす大腿四頭筋は、登りには収縮しながら力を発揮し(短縮性収縮)、降りには引き伸ばされながら力を発揮する(伸張性収縮)。大腿四頭筋にとって「短縮性収縮」は自然な収縮形態で、「伸張性収縮」は不自然な収縮形態だといわれている。つまり山の長い降りは人間の足にとって不自然な筋肉の動きを強いるものだということを理解しておく必要がある。筋力不足の人が「伸張性収縮」を続けると、沢山の筋繊維が壊れ、筋力の低下と筋肉痛を招く。

また降りには体重の2倍の力が着地した瞬間にかかる。大腿四頭筋はこの着地衝撃を吸収する役割を担っているが、筋肉が弱ってくると衝撃を受け止めきれず転倒につながることがある。

【大腿四頭筋を鍛える】

山仲間にフルマラソンを走る猛者がいるが、「登りは平気なんですが、降りは辛くて」と嘆いていた。これはマラソンと山登りでは主に使う筋肉が違うからだ。マラソンや歩行では、主にふくらはぎの筋肉、つまり下肢三頭筋を使う。もっとも登山でもつま先を使う岩場や雪渓の登りでは下肢三頭筋を良く使う。実際このマラソンおじさんはそのような登りでは非常に強い。

だから走っているだけでは、登山の訓練にはならず、大腿四頭筋を鍛える別のトレーニングが必要になる。一般的にはスクワット運動などが良いといわれている。私もスポーツクラブで時々スクワットを行なうが、スクワット運動はやり方が悪いと腰を痛める可能性がある。腰に負担をかけず、太股を鍛える方法として私は「壁を背にして、壁と背中の間にバランスボールを挟んで」スクワットを行なっている。こうすると腰に不要な負担がかかることがない。

もっともブログなどを見ると「特別な訓練は不要。山を歩けば自然に大腿四頭筋が鍛えられます」という意見もある。時間にゆとりがあれば、良い方法だろうが、真夏に低山を歩くのは暑くて辛い。

【ストックを使って衝撃を緩和する】

私はダブルストックを使って、下降時に膝と太股への衝撃を緩和することに努めている。これはストックに寄りかかって降るということではない。それは大変危険だ。ストックを使ってバランスを保持し、出来るだけ小さな歩幅で降って、筋肉への衝撃を緩和するのだ。

なおストックの腕輪に手首を通している人がいるが、下降時は大変危険だ。何故かと言うと、岩の隙間などにストックが引っかかった場合、ストックに引っ張られて転倒する可能性があるからだ。

【体重と荷物を軽くする】

降りには体重(+荷物)の2倍の衝撃がかかるというから、筋肉への負担を軽くするには、体重と荷物をできるだけ減らすことだ。体重については残念ながら人様に自慢できる程コントロールできておらず結構悩んでいる。山に登ると相応に体重が減るのだが、山の食事と酒は美味いので、すぐリバウンドしてしまう。

荷物ももっと軽くできるのだが、お酒やおつまみ、時によっては重たい一眼レフなども担いでいるので、つい重くなってしまうというのが現状だ。

登山というのも中々悩ましい遊びである。

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする