金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

フリーターが英語になる日

2008年07月10日 | 社会・経済

フリーターは和製英語である。自由を意味するFree又はフリーアナウンサーのような自由契約を意味するFreelanceと「働く者」を意味するドイツ語Arbeiterを合成して作った和製英語である。今現在フリーターFreeterが英語として通じるかどうかは微妙なところだ。例えばインターネットの英語辞書Dictionary.comで調べると「該当なし」という答が返ってくる。しかしUrban Dictionary.comという俗語辞典で調べると「主に低賃金で働く20代のパートタイマーを指す日本製の言葉」という説明がなされている。余談になるけれどこの辞書によるとFreeterには「駐車時間が残っている空きパーキングメーター」という意味がある。これは知らなかった。知っている人は相当な英語通だろう。

ところでどうして「フリーターが英語になる日」という題をつけたかというと、昨日(7月9日)のファイナンシャルタイムズに「フリーター」のことがFreeterとして出ていたからだ。権威ある新聞が使い出すと和製英語でも英語として認められていくだろう。もっとも公式に定義された「フリーター」は、かなり日本固有のものだから、フリーターが「カラオケ」や「津波」などのように英語化するかどうかは分からない。

厚生労働省による「フリーター」の定義は「年齢15歳から34歳で就学していなもの」「女性の場合は未婚」「就業しているものの場合は勤務先での呼称がアルバイト・パート」「無職のものについてはアルバイト・パートを希望するもの」である。

フリーターに該当する英語はあるのだろうか?当然のことながら厚生労働省の定義にぴったり合う英語はない。フリーターに一番近い概念はUnderemploymentだろう。これは「不完全雇用」と訳されるが、雇用環境などから自分の能力以下の職についている雇用者を指す言葉だ。ただしUnderemploymentに年齢制限はない。

フリーターの特徴と問題は日本の労働慣行と深く結びついている。学校卒業後フリーターになって数年過ごすと、企業の正規雇用者になることが難しくなる。何故なら日本の企業は新規卒業者を優先的に採用するからである。米国など雇用の流動性が高い国では、一時的に職を失ったりあるいは非正規雇用者になっても、再び正規雇用者になる可能性は高い。企業は新卒採用にこだわらないので、不況で卒業時に正規雇用されなかったものでも、リカバリーのチャンスは日本よりもはるかに高い。従って厚生労働省の定義に基づくフリーターという言葉が世界的に流布するとは考えにくい。

フリーターは「パラサイト・シングル」Parasite singleと表裏一体をなす関係にある。パラサイト・シングルも和製英語だが、20代・30代の子供が親を頼って暮らす現象はイタリアやドイツでも増えているようだ。

広い意味では「フリーター」という現象は世界的に広がっているので、Freeterがもっと「英語」になる可能性は高い。それが誇るべきことかどうかは別として。

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Big time (イディオム・シリーズ)

2008年07月10日 | 英語

Big timeは俗語で「トップクラス、一線級」と意味がある。またVery much(非常に)と同じ意味で使われることがある。ニューヨーク・タイムズにI see the pressure mounting on China big time.という文章が出ていた。「私は中国に対して大いにプレッシャーがのしかかると予見する」という意味。何のプレッシャーがのしかかるかというと、中国の石油の消費抑制を求めるプレッシャーである。今や中国はアメリカと並ぶ石油の大消費国である。アメリカでガソリンの消費量が減ってきたので、中国にも原油輸入に対する補助金を減らせなどという圧力が高まると予想されるということだ。

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High-flying

2008年07月10日 | 英語

High-flyingには「高く飛ぶ」という文字通りの意味の他、「野心のある、望みの高い」という意味がある。9日のニューヨーク・タイムズにA once high-flying offshoot of Countrywide Financial, IndyMac confronts an uncertain future.という文章が出ていた。意味は「カントリーワイド・フィナンシャルの分派で以前は野心を持っていたインディマックは不確かな前途に直面している」ということだ。Offshootは分派、子孫という意味。

背景を述べるとインディマックという米国カリフォルニアの住宅ローン銀行は預金の取り付け騒動に巻き込まれている。インディマックは住宅ブームの時代にオルトAという住宅ローン(サブプライムローンよりは質が高いが、通常の住宅ローンよりは質の劣る借入人を対象にしたローン)を実行してきたが、住宅市場の崩壊に伴って大きな損失を抱え、株価が紙切れ同然になっている。その将来は破産かどこかに救済買収されるしかないが、見通しは暗い。

カントリーワイドは全米トップの住宅ローン銀行だったが、苦境に陥りバンクオブアメリカに買収された。彼等住宅ローン銀行はユルユルの貸出基準の結果、破綻に追い込まれたのである。

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