バイアウトBuyoutというと、金融に関心の高い人はレバレッジド・バイアウトLBOを思い浮かべるように、一般に企業買収などを指す言葉だ。信用収縮や不景気で企業買収が減っているのに、どうしてバイアウトが増えるのか?というと労働契約のバイアウトが増えるのである。労働契約のバイアウトとは、割増退職金を支払う早期退職と考えてよいだろう。
ガソリン高と不景気で米国の自動車メーカーは、過去10年で最悪という売り上げ不振に苦しんでいる。彼等がこの苦境を乗り切るために行おうとしていることが、このバイアウトである。
ニューヨーク・タイムズに次の文章が出ていた。 Car companies is in the midst of cutting white-collar jobs and planning more buyouts of factory workers. 「自動車会社は管理職の解雇を進めている最中であり、また工場労働者の早期退職優遇措置も計画している」という意味だ。
バイアウトBuyoutのOutには「完全に」とか「決着がつくまで」という意味があり、バイアウトは契約を完全に買い取ることを意味する。工場勤務者は有期契約で採用されている。その労働契約を上乗せ退職金を払うことで買い取る代りに、労働契約を終了されるということだ。
日本でも今世紀始め頃は不況の中、人材の余剰感が強く、多くの会社で早期退職優遇制度が作られ、希望退職が募られた。会社や退職者側に労働契約の売買という意識があったかどうか不明だが、労働契約のバイアウトであることは間違いない。
企業買収のバイアウトの件数が、好景気の尺度とすれば、労働契約のバイアウトは不景気の尺度に採用することができるかもしれない。