追憶の彼方。

思いつくまま、思い出すままに、日々是好日。

アメリカ白人社会の素顔……(3)

2017年02月16日 | 文化・文明
トランプの危険な外交交渉

外交交渉は不動産取引のような単発・単純取引とは異なりはるかに複雑であり、敵対国やイスラム原理主義勢力との交渉は一つ間違へば戦争やテロと言った多くの死者を出す問題に発展する危険性がある。
トランプが進めようとしている外交で最も危険なものはイスラエルのアメリカ大使館を現在のテルアビブからイスラエルが首都とするエルサレムに移転するとの方針である。

そもそも中東問題の殆どは第一次世界大戦を勝利する為に行った英国等の三枚舌外交がその発端になっている。
① 英・仏・露の間で結ばれたオスマン帝国領分割の秘密協定=サイクス・ピコ協定、② オスマントルコ戦でのアラブの反乱と戦争支援・協力を条件にアラブの独立とパレスチナでの居住を認めたフサイル=マクマホン協定、③ 英議会のシオニスト運動支持を受け外務大臣バルフォアがイギリスのユダヤ系貴族院議員である第2代ロスチャイルド男爵に送った曖昧な書簡の内容=バルフォア宣言(パレスチナに国民的郷土樹立を認める。但し先住民の権利等を侵害するものでは無い)。以上がその三つである。
デビッドリーンの名作「アラビアのロレンス」もこの辺の複雑なやり取りを説明しているが、何れにせよ中東における先進国の勝手な線引きがイスラム諸国間の紛争や、イスラエル・パレスチナ問題の発端であることは間違いない。
(米英を中心とする白人社会が世界に行った巨悪については改めて記したい。)
中東の紛争の根源は上記三枚舌外交の結果パレスチナ先住民とイスラエルとの歴史的対立がある。
その解決に向け国際社会の努力により「国を持たないパレスチナが国家を樹立し、イスラエルと平和共存する」と言う2国家共存の目標が定まっている。
処がトランプはパレスチナやアラブ諸国と話し合いもせず「2国家共存と1国家どちらでも双方が話し合えばよい。」と一方的に変更容認の発言をしている。
アメリカの仲介によって成立したオスロ合意を覆し、パレスチナ・中東イスラムに対する裏切り行為そのものである。
米国大使館の移転計画はイスラム教徒の神経を逆なでするものである。
エルサレムはキリスト教、イスラム教、ユダヤ教の聖地であり、米国始め多くの国はエルサレムをイスラエルの首都と認めていない。アメリカが大使館をテルアビブからエルサレムへ移せば世界中のイスラム教徒の反発を招き新たなテロリストを生むことになる。

トランプはテロ対策に力を入れると強調するが、まず進めるべきは5百万人近い貧困にあえぐ
パレスチナ難民の救済とパレスチナ国家の成立に力を貸すことである。
愛娘夫婦が敬虔なユダヤ教徒であるならばイスラエルへの偏向は厳に慎むべきである。


アメリカ白人社会の素顔……(4)へ





コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« アメリカ白人社会の素顔……(2) | トップ | アメリカ白人社会の素顔……(4) »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

文化・文明」カテゴリの最新記事