追憶の彼方。

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嘘とコロナ塗れの東京5輪

2021年05月16日 | 文化・文明
嘘とコロナ塗れの東京5輪


2013年9月アルゼンチン・ブエノスアイレスでのIOC総会で、2020年夏季五輪開催都市が東京に決定した。IOCのロゲ会長が東京を宣言した直後、日本のオリ・パラ招致委員会・理事長でもあった竹田恆和と安倍元首相が森・猪瀬等招致メンバーの歓喜の渦の中で抱き合う姿が映し出されていた。当時JOC(日本オリンピック委員会)会長でIOC委員でもあった竹田恆和は、胡散臭い電通の元専務高橋治之らを中心とする国際オリンピック委員会(IOC)での招致活動に関わる汚職容疑の中心人物であるとして国際問題化し 、2018年12月フランス捜査当局は東京五輪招致をめぐる贈収賄容疑で竹田を容疑者とする捜査の開始を決定した。竹田は2019年6月任期満了に伴いJOC・IOC他オリンピック関連役職を全て辞任し表舞台から姿を消した。2021年1月贈収賄疑惑に関し、フランス当局の予審判事が『日本の捜査協力は限定的で欠陥が多い』と指摘して居り、今現在も捜査が継続して居る為、竹田の欧州等海外渡航は略不可能な状況にあると推測される。この問題に関連し森元首相にも不透明な資金の動きが指摘されている。
2016年リオ5輪閉会式にスーパーマリオ姿で現れ、その幼稚・馬鹿さ加減を世界に晒した安倍も幾つかの刑事告発を受けており、東京都知事だった猪瀬も徳洲会収賄事件で、検察の恩情で単なる公職選挙法違反として5年間の公民権停止となって職を辞した。2014年以来、東京オリパラ組織委員会・会長の座を守って来た森元首相も、得意の舌禍事件の中でもメガトン級の女性蔑視発言が世界的な批判にまで発展し、バイデン政権のサキ・米報道官の「容認出来ない」との発言が契機になって渋々辞任した。東京オリンピックの招致の薄汚い「顔」だった4人が、いずれも不本意な形で表舞台から去ったのである。
そもそも今回の東京5輪は招致段階からしてインチキの積み重ねだった。
■「東京は理想的な天候」…立候補ファイルには、「東京は晴れる日が多く、かつ温暖であるため、アスリートが最高の状態でパフォーマンスを発揮できる理想的な気候である」と明記されているが、実際7・8月の東京は不快指数100%近く「傷害的・殺人的」な酷暑、選手がバタバタ倒れる事も予想される。組織委員会が医療関係者を必死で動員する理由の一端もこの点にある。マラソンは多少とも気候の良い北海道に移され東京五輪は最早、名前倒れになった。
■「福島の状況はコントロール下にある」…招致の最終プレゼンで、安倍は「福島の状況はUnder Control」と胸を張った。しかし経産省公表の資料によれば、福島第一原発1~4号機には山側から、1日1000トンの水が流れ込み、このうち400トンが原発建屋に流入している。残りの600トンの一部がトレンチ内の汚染源に触れて、汚染水として海に放出されている。 東電では汚染水をくみ上げタンクに貯蔵しているが、そのタンクは1000基を超え、貯蔵されている汚染水は34万トン以上になり、今後どこまで増え続けるのか分からず、薄めて海に放出する案が出て、漁業関係者や近隣諸国から猛反対が出ている。
 さらにタンクの一部から高濃度放射性物質を含む汚染水300トンが漏洩したことが発覚し、8月末には、原子力規制委員会が国際原子力事象評価尺度に基づいて「重大な異常事象」に当たるレベル3と判断し、国際原子力機関(IAEA)に報告する事態も発生して居り、「Out of Control」の様相を呈している。小泉元首相も、日本外国特派員協会で「安倍のアンダーコントロール」発言は「うそ」だと批判する始末。 廃炉作業は何時になるか想像もつかない有様で、地震等による建屋の倒壊の危険さえ囁かれる恐ろしい状況である。
汚染水の影響は港湾内0.3平方キロメートルの範囲内で完全にブロックされている」というのも大嘘で、安倍、菅の両首相に加え組織委員会も、「復興五輪」を世界にアピールし続けてきた。大震災や原発事故からの復興を五輪に利用することにも、多くの被災者は怒り心頭である。2021年1月時点でもなお4万人以上が仮設住宅や県外に避難したままで故郷に戻れない。地域コミュニティーも失われ、復興とはほど遠い。流石に政府の公式発言から復興五輪の言葉は何時の間にか消えて仕舞っている。
■「コンパクト五輪」… 嘘の極め付きは、選手村から半径8キロ圏内に競技場の85%を配置する「コンパクト五輪」は早々に消えてしまい、当初は約7340億円だった大会経費も、2019年12月に会計検査院が公表した調査報告書と試算によれば、3兆円超になることがわかった。コロナ禍がなくてもコレである。結局その付けは国民が背負わされることになる。コロナ禍、国民の多数が困窮し疲弊しきっているさなか、東京五輪は壮大なる無駄遣いのそしりは免れまい。
■コロナで全世界から不信感… 昨年3月24日、コロナで五輪の1年延期が決定すると、東京都の感染者が急増し、国や東京都への「不信感」が飛び交った。オリンピックを強行する為にPCR検査を抑制し、表面上の感染者数が増えないよう隠蔽工作を行っているのではないかという疑惑は早くから囁かれていた。無症状感染者を含めるとコロナ感染者の実数は発表数の10倍に上ると言われ、今もその状況が続いている可能性が強い。
或るJOC関係者は「東京五輪は呪われているのだろうか」と顔を曇らせたが、希代の虚言癖の持ち主「サイコパス安倍」が世界中に嘘を付きまくって招致したオリンピック、嘘の皮が剥がれ始めたと言うべきだろう。
此処に来て毒性の強いコロナ変異株の蔓延で大阪を筆頭に地方でもコロナ病床の不足で、治療が受けられず救急車の中や自宅待機の儘、死亡する悲惨な状況が報告されている。コロナ以外でも医療崩壊で手術等満足な治療が受けられず死亡する例が数多くあるがコロナ死亡者にはカウントされて居らず、何時終息に向かうのか、全く先が見えない厳しい状況が続いている。
1月8日に発動した2回目の緊急事態宣言は2月初めに一か月延長したが、3月25日に聖火リレー開始する為、その4日前に無理遣り解除した結果、各地で公道を走るのを取りやめたり、もはやリレーと呼ぶのも難しいほどの惨状に陥っており、全てオリンピックが優先される為、コロナ対策が中途半端で感染者数も一向に減少せず高止まり状況が続いている。5月10日にプレマラソンを行う為、蔓延防止発出を遅らせた為、札幌でコロナ患者が激増し、市民の反発を買っている。
大阪で変異株が猛威を振るい東京への波及も見え始めた為、東京など3回目の緊急事態宣言発出に追い込まれたが、ここでも5月17日のバッハ来日までに感染の勢いが衰えていなければならないという根拠無き“希望的観測”で4月25日から14日間という短期間の宣言となったが、恐れをなしたバッハの来日が延期となった為、急遽宣言が5月末迄延長されることになった。兎に角コロナ以外の要因で政策がコロコロ変わりブレまくる為、国民や自治体が政府のドタバタ劇に巻き込まれ、振り回されて、フラストレーションが溜まる一方である。国民は巨額放映権料欲しさに日本に開催を迫るIOC、政権浮揚のために五輪開催にこだわる菅政権、どちらも日本国民の生命を守ることなどつゆほども考えていない事に気づき、五輪をめぐる利権臭を嗅ぎつけている。安倍・菅・バッハ、その他の五輪関係者が寄って集って、日本人を五輪嫌いにしてしまった感がある。
自民党広報新聞「読売」の最近の調査ですら「中止する」が59%に達し、朝日新聞では70%に達している。国民の過半数が五輪開催の中止・延期に傾いて居り、五輪組織委主催のイベントにかかわってきた宮本亜門氏は「騙された、中止すべき」と述べ、財界の三木谷会長は「自殺行為」、孫会長は「とても恐ろしい」等と述べている。
元外務審議官の田中均氏も「国内・世界の感染状況、ワクチン普及状況、医療資源逼迫状況,何れをとっても7月開催は安心・安全な大会と楽観視できない。希望的観測でなし崩し的に開催に至ってしまう恐れがある」と懸念を示している。オリンピアンからも中止の声が出始めており、聖火リレーのランナーは多数の辞退者が出る始末である。
海外メデイアの論調も7月23日の開幕まで残された期間は僅か2カ月余りとなって、俄然厳しさを増している。
米紙ニューヨーク・タイムズは、「日本では新型コロナウイルスのワクチン接種が人口の2%に満たず、約60%の国民が開催に反対しているが、五輪開催がごり押しされる理由は3つ。カネ、カネ、そしてカネだ。主催者は公衆衛生のために自らの利益を犠牲にするつもりはない」「しかし新型コロナウイルスの感染危機の中での五輪開催は大惨事となる恐れがある、スポーツイベントはスーパースプレッダー(一大感染源)であってはならない、今こそ科学に耳を傾け、危険な茶番をやめる時だ」と東京五輪の中止を求めるコラムを掲載した。ワシントン・ポスト紙も、IOCのバッハ会長を、新型コロナ禍で開催国を食い物にする「ぼったくり男爵」と非難し日本に五輪中止を促した。
菅は政権人気浮揚策として「バイデン大統領との会談一番乗り」を強引に行い、「五輪開会式には是非訪日したい」とか「米国は必ず大選手団を送る」とかの言質を得ようと必死に画策したが、「五輪開催への努力を支持する」という寂しい言葉を得ただけに終わった。現時点でコロナに苦しむインドやブラジル等の国々の参加は見込めるのか、一部の「ワクチン勝ち組の国だけの五輪」では巨費を投じた意味は無く、最早五輪とは言えない代物である。現時点でどれだけの国が参加するのかの情報も皆無、事前合宿も45の自治体で中止が明らかになっている。
コロナ水際対策も杜撰でインドからの入国制限も今頃になって行う始末、このまま世界から多くの人が来日すれば世界から色々な変異株が持ち込まれ、「変異ウイルスの祭典、コロナ見本市、コロナ世界大会」の不名誉な名前を後世に残す事になりかねない。
コロナ対策のために、海外からの入国は五輪選手と関係者に限られるということになっているが、海外の要人についてはロンドン五輪や北京五輪並みに招待することで計画が進んでおり、その予算である「大会要人接待関係経費」として、約44億円が計上されている事が国会で問題視されたが、国民の痛みを放置して政府は強硬突破の方針である。ワクチンが普及し十分練習のできる環境にある国の選手と、満足に予選会すら出来ない国の選手が同じ舞台で競うことは「公平」というオリンピックの基本精神に反する事になる。
能天気・サイコパス安倍は最近「オールジャパンで対応すれば何とか開催できる。日本だけではなく、世界が夢や希望が持てる、そういう大会にしていきたい」と語った。 菅や小池に橋本聖子、丸川珠代、このメンバーを見ただけで、期待の文字は霧散する。 いまやコロナ禍で無観客、すったもんだの五輪なのに、どうして夢や希望が持てるのだろう。 安倍の話には科学的なっ知見や対策は一切なく、夢とか希望とか「成せば成る」みたいな話しばかりで、日本を滅亡に導いた戦犯岸信介のDNAを彷彿とさせる。
オリンピックを目標に頑張ってきた選手には気の毒だが、多くの日本人が職を失い、今迄綱渡りの様な生活をしてきた人の綱がコロナでプッツリ切れてしまって、貧困に苦しみ、自殺に迄追いやられる人の話が後を断たない現実がある事も忘れる訳にはいかない。
政府の責任は国民の生命・財産を守り、防犯・防災等国民に安心を与える事にあるが、安倍・菅政権の無為・無策がコロナを蔓延させ、多くの国民を不幸に陥れ、すっかりオリンピック嫌いにしてしまった。
五輪開催を間近に控えてこのようなドン詰まりに嵌まり込みつつあるのは、一つには中国・韓国・台湾・ベトナム・ニュージーランドなど感染の抑え込みに成功した国々のように、全員検査・完全隔離・ロックダウンなど減り張りの効いた対策を短期集中的に投入するという方策を採らず、「感染抑制と経済維持の両立」の謂わば、どっちつかずの優柔不断、だらしない政策を続けてきたためである。自公政権挙げての無駄遣いの為、肝心な時に必要な資金給付が十分に行われなかった為に、中小企業や個人が瀕死の状態に追い込まれている。とてもじゃ無いがオリンピックの様なお祭り騒ぎに付き合う気になれないと言うのが大多数の国民の本音であろう。
「日本が誇るクラスター対策…日本方式は」政府や御用学者がコロナを甘く見た大いなる失敗策である。当初日本で感染者や死亡者が少なかったのは毒性の少ない武漢ウイルスが中心だったからに過ぎない。この根拠無き成功体験に浮かれ、やれ会食だパーテイーだと安倍・菅達政権トップの気のゆるみが国中に蔓延してしまった影響でコロナ対策が隅々まで浸透しなくなってしまったのも事態を悪化させる要因になっている。
菅はワクチンが来れば何とかなると漏らしているらしいが、コロナ禍の最前線で戦う医療従事者のうちワクチン接種は5月10日時点で25%に過ぎず、“やってる感”の演出で割り込みさせた65歳以上の高齢者にいたっては0・04%。予約の殺到で自治体の電話もサイトもパンクし、外出自粛をうっちゃって役所に押しかける大混乱だ。いまだ人口の2%も接種を終えていない。高齢者接種の7月末完了に向けた「1日100万回」も、都内に新設する大規模接種センターでの「1日1万人」も菅の思い付きでブチ上げただけで、何の裏付けもない。
 『安心・安全な大会』の定義を誰も説明できないし科学的根拠に基づく合理的な説明もない。闇雲に開催に向って突き進むのは、日本人選手のメダルラッシュが実現すれば国民は大喜びで政権に対する風向きは変わるかもしれないと言う個人的な希望的観測に過ぎない。希望的観測と精神論による玉砕思考、太平洋戦争の悪夢を見ているようだ。
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