追憶の彼方。

思いつくまま、思い出すままに、日々是好日。

カタカナ英語ー(3)

2016年08月23日 | 語学
江戸時代末期、明治初期の頃迄はジョン万次郎がやったように聞こえてきたベース(原語の発音に近いかたち)で英語をカタカナ表示していたが文明開化が進み欧米の文化や技術が
主として文献を通して流入するようになると、英語の綴り通りカタカナ表記するようになった。
明治時代の資料「流行英語尽くし、網島版」を見ると万次郎方式から離れ現在の表記に近くなっている。
例えば猫Catは資料(キャット)万次郎(キャア),同様に資料ではRatは(ラット)、Cupは(カップ)と云うように子音を開音化して日本語化した為、音節が増えてしまっている。  シドニーと同じ現象である。
子音の語尾に「オ」、「イ」、「ウ」、「ュ」を入れて開音化、日本語化する一例として,Hand(ハンド)、Touch(タッチ)、Club(クラブ)、Bush(ブッシュ)があり、今となってはこれをジョン万次郎流に直すことは混乱を更に大きくするだけだろう。

その他気になる問題点として英語として通用しない和製カタカナ語の氾濫が挙げられる。
ガソリンスタンド(gas station), スキンシップ(skin contact ) ,バックミラー
(rearview mirror)等英語の組み立て型、更にインフレ(inflation),スーパー(supermarket),イントロ、デパート、等省略型もある。
漢字を組み合わせたり、変形させたりしてしまった為折角漢字を使いながら、中国語を使うには一から勉強しなくてはならないのと同じ現象である。
誤読が定着したのも多い。ジャンバー(正、ジャンパー=junper)、プロマイド(正、ブロマイド=bromide)、ジャグジー(正、ジャクージ=jacuzzi),クレジット(正、クレデイット=credit) 数え上げたらきりがない。
シドニーの笑い話ではないがうっかりすると和製英語を使ってしまう恐れは充分ある。

これら和風表記の外来語はすでに国語として定着し国語辞典にも堂々と掲載されているが、所詮日本人の為のものであり、国語辞典を使う外国人が増えてきつつあるものの、英語によく似た日本語があるものだぐらいの認識では無かろうか。
要は英語は日本文化を外国に伝える道具ではなかったという事であり、その名残が今も色濃く残っていて日本人が自分の考え・意思を伝える際に和製カタカナ英語に慣れ親しんだ頭を英語に置き換えるのに苦労するのである。

国語審議会でも問題として取り上げる機運はあるようだが、グローバル時代コミュニケションの道具である言葉は原音尊重主義、言葉を借りた国は、貸した国の発音、アクセント、イントネーションを尊重すべき時が来ている。
日本語を取り入れた場合は日本の発音を尊重して使用している為日本人が聞いても完全に理解することが出来る.
Sushi,Sukiyaki ,umami (旨み)、Busidou 等日本語その儘表記しており,能がNohuとかNoho,Noheになったりしない、当に原音尊重である。

国語審議会の改革を待っていても埒があかない、自衛手段として池谷氏の法則を習得することが外国での苦労を軽減する最善の方策である。

法則1は「Good morning」 xグッドモーニング、oグッモ―ネン
法則2は「Good afternoon」 xグッドアフターヌーン、oグラフトヌーン
法則1,2には重要なポイントが色々含まれている。読みだすと面白く
法則3以降止められなくなる。
                   see you!
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カタカナ英語ー(2)

2016年08月22日 | 語学
日本語は発音数が少ないので、英語を忠実に日本語で表記することが出来ない。これが日本人が英語を学ぶ時の最大の難関である。
しかし日本語に有って英語にない発音も有ると述べられている。
英語には「ん」という発音が無い為、「こんにちは」と云えず「こにちは、或いは、こちは」と挨拶する英米人が多いのはよく目にするところだ。
また「っ」、「つ」という発音がない為マツイはマチュイととしか言えない。
ヤンキースのでかいアメリカ人が松井にマチュイと呼んでいると想像するだけで頬が緩む。
又彼らはattackをアタックと発音出来ないのでそう発音したら間違いである。
 
③ 日本人の発音が通じない理由は発音数が少ない為に日本語が「推測言語、技巧言語」になっているという点にある。
発音数が少ない為、同じ発音で意味の異なる言葉が多数出現する、所謂同音異義である。 河口、火口,下降,書こう、数え挙げたらきりがない。
我々日本人は前後の文脈からどの字を当てはめるか瞬時に判断する。
隅田川の「かこう」迄「かこう」したと聞けば、河口、下降の言葉を思い浮かべる事が出来る。火口、書こうを思い浮かべる偏屈日本人はいない。

発音数が少ない弱点を補う為に推測しながら聞くというとてつもない技巧を要求され、小さい時からそれが出来る様訓練されて培われた能力,日本語は当に類い稀なる推測言語である。
多数の音声の違いで意味を使い分ける英語は話し手の発声能力に依存した言語であり、日本語は聞き手の想像力頼りの言語、相手任せの言語という説明は100%納得できる。
英米人が喉から出す有声音以外に,舌、唇、鼻から出す音まで総動員して自分の考えを発信しているとしたらそれを聞き分ける訓練をしていない人間には同じように発音しろというのはどだい無理な話である。

そこで出てきたのがジョン万次郎が苦心惨憺作り上げたカタカナ英語、英語の発音はスペルではなく聞こえてきたベースでカタカナ表記する
そのカタカナ通り発音すれば完璧な英語の発音と言えなくても、少なくともジャングリッシュと決別出来て、英米人に通じる英語(発音)となる。
appleはアップルではなくアポウ、 golfはゴルフでなくゴウフ、Hepburnはヘップバーンではなくヘボン、Donaldはドナルドではなくダナウ(ド)に置き換えればほぼ理解して貰える。
音節の数が通じるかどうかの分かれ道、へ/ボンもダナウも2音節でOK。

カタカナ英語ー(3)へ
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カタカナ英語

2016年08月21日 | 語学
池谷裕二という脳学者がいる。海馬の研究を通じ脳の健康や老化について研究し数々の学術奨励賞を受賞している気鋭の学者であるがアメリカ留学中英会話に苦闘した経験から編み出した英米現地で通じる会話法を「怖いくらい通じるカタカナ英語の法則」という本で著した。

ごく簡単に言えば英語の日本語表記を英語の「スペルベース」ではなく、「聞こえて来たベース」で表記しそのまま発音するという,言わば江戸時代のジョン万次郎の英語を科学的に法則化した会話法である。

池谷氏によると日本人が苦労して話す英語は日本人と接触機会の無かった英米人にとっては,殆ど通じず「よく聞いてみると、日本語は意外と英語に似ているようだ」、更には英語を話しているらしいと分かるとジャングリッシュだ、英語とは凡そ別物だと言われると述べられている。
多くの日本人が一生懸命努力しているのに何故なのか。
氏によるとその理由は大きく三つ、①発音数の差,②無母音声の有無,③推測言語と技巧言語 を挙げられている。

① 英語にはカタカナでは表記出来ない音声が沢山あり最大の障害になっている。有名な「L」と「R」と云う子音、日本語には存在しない。
そこで「LA」と「RA」は日本語では聞いた時に比較的近い「ラ」という表記になったしまう。
 「BI」・「VI」⇒⇒「ビ」、  「FU」・「HU」⇒⇒「フ」、
 「SI」・「SHI」・「THI」⇒⇒「シ」
 「DI」・ 「JI」・「ZI」⇒⇒「ジ」
本来異なる発音だが日本語ではその区別が出来ず、一つでしか表記出来ない「子音」が沢山存在する。
母音も日本語は少なく、bat、butは共に「バット」、ball、bowlは共に「ボール」となって区別がつかない。
② 日本語は「ん」で終わる語以外は全て「子音+母音」で終わるが英語の場合大半が子音で終わる。(凡そ70%強)
英語には母音がなく子音だけで出来た音声がある。circleは日本語でサークル、「サ・ア・ク・ル」と4音節だが、英語の発音は一音節で目、木、手と同様一気に発音するのが正しい。cleは母音のない音声で「L」の発音が容易な英米人は自然に出来るが、日本人は舌を上手く意識して使わないと難しい。

オーストラリア・パース駐在員がつい現地人にシドニーに行ってくると言ってしまったら日本に帰るのかと言われたと云う笑い話もある。
永い間学校で学んだのは日本語シドニー、油断するとつい口に出る。dの後に母音「オ」を入れないと気持ちが悪いのだ。
尚スペイン語やイタリー語等ラテン系の文字はtomate,restauranteのように母音で終わる言葉が多いので発音で苦労させられる日本人にはとっつきやすい。


カタカナ英語ー(2)に続く
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