追憶の彼方。

思いつくまま、思い出すままに、日々是好日。

「テルテル総理ご都合主義の改革路線」

2021年02月18日 | 政治・経済
「テルテル総理ご都合主義の改革路線」
喫緊の課題・政治改革…(5)

人類は幾度となく大きなパンデミックを経験し、世の中を大きく変革させる契機となったが、とりわけその影響が大きかったのは14世紀ヨーロッパで流行した黒死病(ペスト)である。ドイツ・バイエルン州のアルプスに囲まれた小さな村では10年に一度、村人総出で世界最大規模の「キリスト受難劇」を上演する。村人がペストの猛威に慄き、神に救いを求めたが、その記憶を留め置こうと、「キリストの受難と死と復活の劇」を10年に一度上演すると誓ったことに始まり、今に至るまで、400年近く続いている。それほど、ペストの恐怖は、ヨーロッパ人の記憶に深く刻まれている。そのペストによって労働力・人材が急激に減少し、農民の流動化や、荘園制の崩壊加速に繋がり、新たな人材の登用も招来した。更にペストの脅威を防ぐことのできなかった教会がその権威を失った事も手伝い、封建的身分制度は実質的に解体へと向かった。それは人々に新しい価値観を芽生えさせ、イタリアを中心にルネサンスの契機となって、文化的発展に繋がった。封建社会と神中心の世界観の束縛から解き放たれ、人間性の自由・ヒューマニズムと個性の尊重という近代社会の原理を生み出す源となった。ペスト以前と比較すれば、ヨーロッパ社会は中世が終焉、近代を迎えて全く異なった社会へ大きな変貌を遂げたのである。
今回の新型コロナのパンデミックも今迄とは異なる世界出現の予兆を感じさせる。変化の度合いは国によって異なるけれども、後進性を色濃く抱える日本ではヨーロッパのペストによってもたらされた「旧秩序(アンシャンレジーム)」の変革に迫るものになる可能性も強い。
パンデミックは社会にはびこる格差・不平等・差別主義・価値観の相違・政治家の能力差、日本の場合は国家システムの後進性・老朽化等を顕在化した。
エッセンシャル・ワークが正当な評価を得られず、ブルシット・ジョブが社会を席巻し大きな報酬・富を得て不平等、格差を拡大している事も明らかになり、それを知った多くの人が自らの価値観を変革し始めた兆候も見られる。
麻生副総理は昨年6月、日本のコロナ死者数が欧米と比較して少ないのは、「民度のレベルが違う」と胸を張った。この発言を受けて建築家で名古屋工大名誉教授・若山滋氏は「このウイルスに対する各国の対応とその成否から、国家の『権力』と『民力』の実態が見えてくる、日本の「権力」は弱く「民力」は強い、国の内外で多くの人々がそう感じている」と述べている。「民力」とは麻生の言う「民度=国民の判断力・行動力・モラル」とすれば、「権力=政府の政策力と統制力」であり、如何に「高い民力」が「低劣な日本の権力」をカバーし何とか均衡を保ち得ているのだと言う結論に辿り着く。
コロナと闘う世界各国のリーダーの中で、成果を出せずに『精いっぱい取り組んでいる』と言い訳するのは、恐らく菅首相ただ一人、一生懸命が通用するのは凡そ小・中学生位迄で、以降の年代では無能を推し量るバロメーターとなると言う声も聞こえる。菅は一国の指導者というより政治家失格、「失礼じゃないですか」の逆切れ発言に拍手喝采をする自公議員達、全く同じ低レベルの「権力」集団と言う他ない。
ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相(39歳)、台湾の蔡英文総統(63歳)、ドイツのアンゲラ・メルケル首相(65歳)、フィンランドのサンナ・マリン首相(34歳)、アイスランドのカトリーン・ヤコブスドッティル首相(44歳)、ノルウェーのアンナ・ソールバルグ首相(59歳)、デンマークのメッテ・フレデリクセン首相(42歳)、世界的に見て、このコロナ危機に上手に対処している国のリーダーに女性が多いということに注目が集まっている。彼女達に共通する特質は男性と女性の長所である「強さと優しさ」を兼ね備え、特に注目すべきはその卓越したコミュニケーション能力である。国民の恐怖・不安を感じとる想像力、人々に寄り添い励ます共感力、滲み出る知性、それらに裏打ちされた自分の頭で考えた言葉を発するからこそ、国民の信頼を得、高い支持率となって現れるのである。
「自助・共助・公助」「最終的には生活保護がある」、想像力・共感力は皆無、無味乾燥で愛情の欠片も見えない日本の菅首相発言、呂律もおかしく注意深く聞けば奇妙な日本語を発し、挙句原稿の棒読みでは国民の共感など得られる筈も無い。緊急事態宣言発表の最後に「今一度、ご協力を賜ります事をお願いして(私からの挨拶)とさせて頂きます」と言う結婚式紛いの演説を聞いた国民の多くが唖然とし「大丈夫か?」と不安を搔き立てられるようでは、リーダー失格である。
政治家の言葉は人が共感し、協力しようと奮い立たせるものでなければならないが、残念ながら森・小泉・安倍・麻生・菅・二階、この十数年日本の政治を動かしてきた“oldboysclub”代表格の様な連中には、上記の様な女性政治家やフランス・イタリーのトップにみられるような知性に裏打ちされた発信力など凡そ期待できない。曽て森は選挙に際し「無党派層は関心が無いと言って寝ててくれば良い」と暴言を吐き世の顰蹙を買ったが、この連中は同程度の頭脳回路、非難されると「誤解を受けたとすれば遺憾」と他人に責任転嫁し、自己の「発信力・表現力・知性の欠如」の露呈に全く恥じるところがない。小泉元首相の「ワンフレーズ・ポリティクス」の流れを汲み、短い言葉で断言して物事を単純化、丁寧な説明を軽視し国会は数の力で押し切る強引な手法が定着した。政権トップは軽薄・乱暴な言葉に恥じることが無く、権力をメデイアの口封じに乱用された。コロナ対策が後手後手だとの批判に二階は「一々政府にケチをつけるもんじゃない」と恫喝して話題になったが批判を「ケチをつける」程度にしか考えられない意識の低さである。
上に挙げた女性リーダーが国民の強い支持を得るのは彼女達が「国民の生命・財産や自由・人権を守り不安や恐怖から解放する」と言う政治の基本を忠実に実行しようとする姿勢・熱意に溢れるのと同時に、トランプや日本の政治家の様なme-first(自分第一)の気配が微塵も感じられないという事も大きなポイントとしてあげられている。
この10数年日本を牛耳って来た日本の政治指導者達は「優秀な女性を排除する男性優位の温室の中で最初から下駄をはかせてもらい」「地盤・看板・カバン」によって自分達に都合のいい聖域を作り上げ、私利私欲・利権まみれの政治行って来たが、最早現体制による政治支配は財政的にも持続不可能状況が見えて来た。ともすると「ボケ疑惑」が浮上するレベルのoldboysclubメンバーには早々に舞台から退場願い、女性を中心にした斬新なメンバーの登場が日本を破滅から救う道であろう。そもそも男性が女性より優れて居ると言うような根拠は何もない。古来サッチャーの様な例外を除き、戦争を始めるのは短絡脳の持ち主・ギャンブル好きな男性である。女性の政治家は(いちかばちか)の賭けに出て国家・国民を破滅させ死に追いやるような戦争など先ず考えない。国民を幸せにするのは女性政治家の方が確立が高いのは最近のコロナ対応でも明らかになった。
国連は2015年、持続可能な開発目標一つとして2030年までに真のジェンダー(男女区別)平等の実現を掲げた。女性の社会的地位向上は道徳的には勿論の事、経済的にも大きなメリットがある事が判明した。最近の調査報告では、男女格差が多大なコストを生んで居り、国家が男女間の社会的平等を進めれば、教育・健康面の改善や1人当たり所得の増加、経済成長の加速、国際競争力の強化などに繋がると指摘している。特に日本や韓国、ペルシャ湾岸諸国など、女性の就業率が低い国々では格差解消によりGDP(国内総生産)を2桁押し上げる事が可能だと迄述べている。
そんな中で飛び出したのが森・東京オリ・パラ組織委員会長の女性蔑視発言と後継指名問題のドタバタ劇である。この問題で明らかになったのは、森に限らずoldboysclubメンバーである日本の指導層のジェンダー意識の低さと後任使命時に見せた意思決定の不透明さである。森会長が規約を無視し元日本サッカー協会会長の川淵氏(84)を後任に要請した経緯が「密室」との批判を受けて設置された検討委も、検討内容は一切非公開、結局は路線に沿って森会長の息がかかった五輪相の橋本聖子氏(56)に決定し森の院政体制が維持される事になった。森にとっては自民党以来今に至る迄やってきた事を其の儘踏襲しただけで罪悪感など微塵も無い。そこに問題の根の深さ、問題の大きさがある。
菅首相は一連の問題を問われ、「私が判断する問題ではない、組織委で人事を決める。独立した法人しての判断を尊重する立場だ。」と啖呵を切ったが、それでは日本学術会議が推薦した会員候補6人の任命拒否との整合性をどうとるのか。学術会議は10億円の税金を投入している政府機関であり、会員は公務員であるから、政府には任命する責任がると述べていたが、大会組織委員の役職員は見做し公務員であり、オリ・パラ大会には膨大な税金が投入されている。明らかにダブルスタンダード、ご都合主義の最たるものである。

次回は政治改革を中心に
「テルテル総理ご都合主義の改革路線」
喫緊の課題・政治改革…(6)へ続く
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「テルテル総理ご都合主義の改革路線」

2021年02月08日 | 政治・経済
「テルテル総理ご都合主義の改革路線」
喫緊の課題・政治改革…(4)

昨年9月、59歳という若さで早世したアメリカの社会人類学者デヴィッド・グレーバーの著作『ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論』が静かなブームになっている。
2017-9-2、小生ブログ「慈善資本主義」の冒頭で触れた(We are the 99%=私たちは99%だ) のスローガンの考案者こそ、このデヴィッド・グレーバーである。彼によれば、世界のテクノロジーは近年飛躍的に進化したが、その多くが無意味な仕事(「クソな仕事」=”bullshit job”)を作り出す為に使われ、必ずしも社会の役に立っているとは思えない。20世紀になり急拡大した金融サービスや広告・テレマーケティングなどの新しい情報関連産業、企業法務、人事、広報といった管理系のホワイトカラーの仕事の中には消え無くなってしまっても、左程困らないし、寧ろそのほうが社会が良くなるかも知れない類の仕事が多く含まれていると述べている。コロナ禍での看護師不足が深刻化する中で、その報酬が仕事に見合っていないという声が強いが、看護師同様、社会的価値がある仕事をしている人たちの賃金が低いのは何故なのか、世の中に蔓延する「どうでもいい仕事」が高い報酬を食むメカニズムの中でこれを解明している。
多種多様な職業の社会的価値を、すべて測定することは至難の業であるが、幾人かのアメリカの経済学者によって、夫々の職業が経済全体に対し、「どれだけの量の価値」を「追加」、或いは「減額」しているかを計測しようと多くの文献調査を進め、2017年にその結果を発表した。彼らの結論では、中には測定不可能なものもあるが、貢献度を計算できるものの内で最も社会的に価値のある労働者は「医療研究者」であり、その職業についている人びとは「1ドルの給料につき社会に9ドル分の価値を追加」していると言う結論を、コロナ蔓延以前に導き出していた。片や金融部門で働いている人達は平均して1ドルの報酬につき社会から1ドル以上の価値を差し引いているにも拘らず彼等は大抵極めて高い報酬を得ていると指摘している。分析結果の全容は、次のようなものである。(▲はマイナス)
【•研究者 +9  •教師 +1  •エンジニア +0.2  •コンサルタントとIT専門家 0  •弁護士 ▲0.2  •広告マーケティング専門家 ▲0.3  •マネジャー ▲0.8   •金融部門 ▲1.5 】 
おそらくリストの中で、教師は少なくとも平均値において最も賃金の低い労働者であり、研究者の多数はギリギリのところで生活しているのが実情である、とも指摘している。
一方同じような調査がイギリスのニューエコノミクス財団が行っており、「社会的投資収益率分析」と呼ばれる手法を用いて、「3つの高収入の職業」と「3つの低収入の職業」、合計6つの代表的な職業が検証されている。その結果を要約すれば、次のようになる。
1) シティの銀行家 年収約500万ポンド、1ポンドを稼ぐごとに推定7ポンドの社会的価値を破壊。
2) 広告担当役員 年収約50万ポンド、給与1ポンドを受け取るごとに推定11.50ポンドの社会的価値を破壊。
3) 税理士 年収約12万5000ポンド、給与1ポンドを受け取るごとに推定11.20ポンドの社会的価値を破壊。
4) 病院の清掃員 年収約1万3000ポンド(時給6.26ポンド)、給与1ポンドを受け取るごとに推定10ポンドの社会的価値を産出。
5) リサイクル業に従事する労働者 年収約1万2500ポンド(時給6.10ポンド)、給与1ポンドを受け取るごとに12ポンドの社会的価値を産出。
6) 保育士 年収約1万1500ポンド、給与1ポンドを受け取るごとに推定7ポンドの社会的価値を産出。
 調査者達は、このような計算は往々にして、主観的であること(特に税理士には疑問符が付くが、イギリスでは彼等が暴利をむさぼっていると言う社会的背景があるのだろう)、この研究が収入規模の点でトップとボトムに集中しているということを認めている。その結果、報酬の面ではおおよそ中位で、ほとんどの場合、少なくともその社会的便益がポジティブでもネガティブでもなくゼロのあたりをうろついている大多数の仕事を除外してしまっているが、それでも「他者のためになる労働であればあるほど、受け取る報酬がより少なくなるという一般的原則」が、強力に裏づけられていると指摘している。この原則には当然例外が存在するが、その典型は医者である。彼らの給与額は、アメリカでは、最上位を占める傾向にあり、それ相当の有用な役割をはたしているように見える。しかしながら、それを否定する医療従事者達も多い。 例えば薬剤師の中には、多くの医者が人類の健康や幸福には極僅かの貢献しかしておらず、いんちき薬(=プラシーボ)の自動販売機と化しているという確信を持つ人達が多い。確かに1900年以降の人間の寿命は延びたが、その圧倒的部分が医者の功績と言うより、実際には衛生学や栄養学、そして公衆衛生が改善されたことによるところが大きいと言うことが、しばしば引き合いに出される。病院では「極めて給与の低い看護師や清掃員」こそが、「極めて高額の収入を受け取っている医者達」よりも、実際には健康状態の維持・改善により大きな貢献をしていると言うのである。確かに私自身の経験からも、薬剤師の方がより有用なアドバイスを提供して呉れるし、患者の状態を考慮せず無暗に薬剤を投与したがる藪医者が多いのは事実である。
今回のパンデミック危機を通して、我々にとって最も必須の労働(エッセンシャル・ワーク)の殆どは、何らかの種類の「ケア労働」であることが明らかになった。他の人びとの世話をし、病人を看護し、生徒に教える仕事。物の移動や修理、清掃や整備に関わる仕事である。
生産を中核に据えた経済体制が衰退し始め、非製造部門が支配的になっていくというイメージが強かったが、サービス労働は実はそれほど増えておらず、むしろ管理部門(ブルシット・ジョブの巣くう所)の肥大を招いていること、そして、サービス労働をふくむケア部門の意義が大きくなっていることが浮かび上がったのである。
私たちが今まで「当たり前」だと思っていた生活は、エッセンシャルワーカーの弛みない努力により支えられて来た事、「当たり前」と思っていた事が、実は本当に「有難い!」という事なのだと言う事に改めて気づかされたと言えるだろう。今こそ、エッセンシャルワーカーの重要性をより理解し、社会がその支援に繋げる潮流を作っていく事が極めて重要である。
尚、エッセンシャルワーカの一例として次のような職業が該当すると考えられている。
●医療福祉…医師/看護師/薬剤師/介護士
●公共インフラ…水道局職員/電力会社職員/通信会社職員
●保安…警察官/消防士
●行政…市役所、区役所職員
●一次産業…農家/漁師/酪農畜産
●製造業…食品製造業/日用品製造業
●運輸物流…交通局職員/JR職員/バスドライバー/トラックドライバー/宅配スタッフ/倉庫内作業
●流通…コンビニ店員/スーパー店員/ドラッグストア店員
●保育…保育士

この様な視点に立って日本の現状を見た場合、安定的に極めて高収入を得ているにも拘らず、社会的価値を作るどころか大きく棄損している典型は自公政権の国会議員達とそれに群がり甘い汁を吸う人間達であろう。
1月28日オーストラリアの有力シンクタンクが、世界98カ国が新型コロナにどの程度うまく対応できたかを感染者数、死者数、検査数、陽性率等で評価しランキングにまとめた。 トップはニュージーランド、2位ベトナム、3位台湾、オーストラリア8位、シンガポール13位、アジア太平洋勢がトップ10のうち6カ国を占めた。これらの国は早い時期にコロナを抑え込み、経済活動を再開して国民の痛みの軽減に成功している。日本は情けないことに45位、葉茶滅茶が「日本モデル」と豪語したのは一体何だったのか。感染者数と死者数が世界最多のアメリカは94位、ヨーロッパで最も死者数が多いイギリスは66位、最下位はブラジルだった。 又シンクタンクは「経済発展レベルや政治体制の違いによるランキングへの影響は想定より小さかった」、「指導者への市民の信頼、指導者による適切な国家運営が重要である」と分析、国家として成長している国の方がコロナ対策がうまくいっている、中国は公開データが少ないため調査対象からはずしているが、入れていればトップ争いをしていたであろう。中国を見習った国の対策は成功していると述べている。「日本も見栄を張らず、素直に中国をお手本にしていれば、ここまで感染が広がらなかった」、又「感染者を抑え込み経済活動を再開し経済をプラス成長に導き」「失業者や事業者に大きな痛みを感じさせることも無く」、従って「ダラダラと巨額の政府支出重ねる必要も無かった」のではないだろうか。
昨年11月25日「勝負の3週間」と大見得を切ったものの、「Go To トラベル」と言う愚策にこだわり過ぎ「『外出は自粛、しかし「Go toトラベル]で旅行は奨励』と言うブレーキ・アクセルの同時操作のチグハグ行政を推進し、「年末年始は検査件数が減るから感染者数が減る」と言うような信じられない言説を頼りに、大した勝負手も打たず3か月を無為に過ごした為、感染爆発に繋がった。この大失態を演じた後の1月7日の記者会見で「1カ月後に必ず事態を改善させる」と大見栄を切って発布した「緊急事態宣言」は大方の予想通り物の見事に失敗に終わり、1カ月後の3月7日まで首都圏や関西圏など10都府県を対象に延期した。
こんなことになってしまう根本原因は、昨年1月、無能を絵に描いたような葉茶滅茶安倍政権とコロナ感染症対策専門家会議メンバー、彼等のコロナ対策が初めからボタンを掛け違え、間違った基礎の上に築かれてきたことによる。
2020年1月24日の英医学誌『ランセット』で香港大学の研究者が発表した「無症状感染者も感染を広げてしまうという新型コロナウイルスの最大特徴」と世界中が注目した重大報告を見落として、間違った前提の下に「日本モデル」と呼ばれる各地の保健所を中心に感染者の濃厚接触者を追及する「クラスター対策」に重点を置きすぎた為、無症状感染者が巷に横行し爆発的感染に繋がったのである。ダイヤモンド・プリンセス号で神戸大の岩田医師が指摘しているように感染症対策の基本は「ウイルスの居るところ,居ない処を明確に分ける事」であり,ウイルスは人間と共に移動するのであるから、人間もPCR検査を広範囲に実施して、感染者を割り出し隔離することが基本である。オリンピック招致への忖度か,未だに屁理屈を付け公的検査が増えないのは政治家、専門家会議・厚労省の犯罪的行為である。重要な1年間を葉茶滅茶政権の「ええじゃないか、ええじゃないか…」のお気楽政治を継承し、ステーキだパンケーキだと飽食三昧の限りを尽くして、医療体制、検査体制の充実を図る施策を放置した付けが回ってきたのである。
「コロナ対策と経済対策の両輪」と言う最早冗談としか思えない様な政策で経済は滅茶苦茶、倒産と失業者が相次ぎ、コロナは感染爆発と医療崩壊と言う悲惨な結果を招いてしまった。ブレーキとアクセル同時政策の為、政策コストは膨大な金額に跳ね上がり、無秩序な借金財政は将来に大きな禍根を残す事になった。
テレビ出演した菅総理は「年末に2000人を超える東京の感染者を想像できたか?」と問われ、「いや、想像はしていませんでした」と悪びれる様子もなく無表情に答えていたが、 最悪の事態を予測して先手先手で対処するのが危機管理の常識、責任感の欠如も甚だしい。
27日の参院予算委員会で蓮舫議員から「自宅・宿泊療養中に容体が急変し、亡くなった感染者への思いを聞かれ」、菅は「大変申し訳ない思いだ」などと2度陳謝したが、「そんな答弁だから言葉が伝わらない。国民に危機感が伝わらない」と畳みかけられると、菅は「失礼じゃないでしょうか、私は精いっぱいやっている」とぶちぎれ答弁を行ったのである。日頃の言動からとてもじゃないが、一生懸命やっているとは映らない。醜い葉茶滅茶安倍が「美しい日本」と叫んだり、会食三昧総理が「目に見えない新型コロナウイルスと一日一日戦い抜いてきた。国民の命と暮らしを守るのが私の使命だと再認識した」と語るなど日本の総理は余程能天気で無いと務まらないようだ。「もしそれ程一生懸命やったのであれば、そのお粗末な結果は菅総理の資質の欠如が露呈したと言わざるを得ない。前任の葉茶滅茶総理の常套句・政治は結果責任なのである。
「金を出すから旅行に行け、会食に行け」、その結果が感染爆発に繋がった為、「移動するな、会食するな、金は出さない」に急変、営業時短・休業の命令違反に50万円以下の過料、コロナが判明して入院を拒否したら懲役刑にすることまで提案した。
国民の多くが私生活を犠牲にし耐えている中、自民党と公明党の幹部が午後11時過ぎまで銀座のクラブに滞在していたことが判明した。自民党の松本純国対委員長代理、大塚高司衆院議院運営委員会理事、田野瀬太道文科副大臣の3人が女性二人を同伴一人数万円もする高級イタリアレストランで会食後銀座の高級クラブ2軒をはしご、豪遊を重ねていた。問題発覚後、子供だましの嘘を平気で連発し、反省の色皆無、品性下劣丸出しの記者説明を行い、世論を抑えきれなくなった為、自民党は離党勧告と言う軽微の処罰で幕引きを図った。
一方公明党のホープと称された・遠山清彦前財務副大臣、ある会社の社長と食事をした後20時に店を出、閉店している闇営業の高級クラブの裏口から侵入し、社長の話を聞くことになった。「小さな声を聴く力」をキャッチフレーズにしている公明党、これが実態である。公明党は創価婦人部の声を恐れ遠山を議員辞職させた。2度と政界復帰すべき人物ではない。
入院を拒否した人に懲役刑を科す前に、嘘をつく議員に懲役刑を科すことが先決、日本政治の腐敗、崩壊は「葉茶滅茶安倍前総理に端を発したウソをつく政治」によってもたらされていると言った人がいたが、まさに正論である。
嘘100回超、頭が腐った葉茶滅茶を総理大臣にした為に、政府、自民・公明、官僚まで頭が腐り嘘をつく事に罪悪感を無くしてしまった。
それにしても、議員の多くが何故これ程豪遊できるのか。前回ブログでも触れたが、何の取柄も無く、大した仕事もしていない議員に余りにも報酬が高すぎる、暇があり過ぎるのではないだろうか。
この辺も踏まえ次回行政改革について触れたい。

1月21日朝日朝刊に「やく みつる」氏の政治風刺漫画が出た。菅に似た僧侶が読経する絵と共に次のような般若心経と思しき文字が記されていた。やく氏の漫画としては久々の大ヒット作、菅政権の愚かさ加減を端的に描写している。般若心経を読経するように読むと、ぴたっと嵌って思わず笑ってしまった。
「緊急事態宣言発令 疫病退散懇願雖 感染拡大不止 医療崩壊病床逼迫 後手後手対策後手 五輪開催今尚堅持 疫病克服証明誇示 中止判断一切慮外安心 喧伝一切無慮 空疎文言棒読演説 国会多難暗澹総理」

「テルテル総理ご都合主義の改革路線」
喫緊の課題・政治改革…(5)へ続く


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