追憶の彼方。

思いつくまま、思い出すままに、日々是好日。

「テルテル総理ご都合主義の改革路線」 喫緊の課題・政治改革…(9)

2021年04月18日 | 政治・経済
「テルテル総理ご都合主義の改革路線」 喫緊の課題・政治改革…(9)
デジタル化の為の意識改革…等を中心に

** 多くの国民が期待する「デジタル改革関連法案」は6日、衆院本会議で可決し参議院に送られた。 関連法案は63本を束ねた5法案で、「デジタル庁設置法案」と給付金などの支給を受ける口座の任意登録を可能にする「預貯金口座登録法案」は共産党以外の全会派が賛成し、「個人情報保護法改正案」を含む整備法案など3法案は立憲民主党も反対した。参院は別の法案が立て込んでいる為、成立は5月にずれ込む見通しだが、成立すると、デジタル庁が9月1日に発足する。法案は(①政府・独法・民間、別々に制定された個人情報保護の法律を一本化する。②自治体の条例を「リセット」し全国共通ルールに統一して、システム化も共同化する。)が柱になっている。これにより、災害時の救助・医療等で関係機関が円滑に情報をやり取りし、生命の安全を確保し、或いは給付金の円滑な支給や、行政手続きも簡略化される、情報の民間ビジネスの活用等のメリットも含め、社会の大きな変革に繋がる可能性も期待できる。問題は、立憲民主党が提出した「行政機関が持つ個人情報を目的外で利用する際の要件を絞る等の修正案」が否決され、「政府に厳格な運用を求める付帯決議」は付いたものの、法的な縛りは無く、監視社会への歯止めが効いていない点が最大の懸念材料、今後十分な論議が必要である。
** デジタル庁発足に先立ち、民間から競争率約40倍の狭き門をくぐり抜け職員30人が採用され、12日東京都港区の事務所で辞令を受け取った。システム開発などを担うが、官僚の殻を打ち破り柔らかい頭で斬新な発想の展開を期待したい。平井担当大臣は辞令交付の際の訓示の中で、デジタル社会形成の基本原則として10項目を掲げている。その中で①オープン・透明、②公平・倫理、⑤社会課題の解決、の3項目は今の政治・行政改革で解決さるべき重要課題であり、特に注目したい。安倍政権に端を発した『嘘つき放題』、『自由闊達な議論を封ずる強権政治』により政・官はもとより日本全体にモラル低下を生みだした。汚職や脱法行為に恥じることがなくなり、安倍の唱える『美しい国』どころか『醜い国、薄汚れた国』に成り果ててしまった。その結果として生じたモラールの低下が優秀な若手の官僚離れに拍車をかけるなど、社会に漂う閉塞感は只ならぬ物があり、日本の将来に大きな暗雲となっている。この閉塞を打ち破り、社会課題の解決と倫理観のある公平な社会を形成するには、凡ゆる情報を出来る限り公開し、政治・行政等、あらゆる面で透明性を持たせることによって、国民に対し出来るだけ多くの判断基準・判断材料を提供することである。『必要な、在る筈の文書、無くてはならない文書』を無いと主張、或いは短期間で破棄し、やっと提出された文書は『ノリ弁当』其のままに殆ど黒塗りで凡そ、文書とは言えない代物、全く国民を馬鹿にした政治が行われて居り、情報公開により、透明性の高い、倫理感あふれる国を目指し、一刻も早く薄汚れた国とは決別したいものである。
従来、IT政策の所管は総務省、経産省、その他省庁に分かれており、「総経戦」と呼ばれる程の省庁間の縄張り争いがデジタル化を阻んできた経緯があり、既にその兆候も出始めている。「通信・マイナンバーカードの話だから総務省主導で…」「民間のデジタル化の話だから経済産業省主導で…」と主導権争いが懸念される。又、デジタル庁内において、各省出身者同士による水面下での省益争い・縄張り争いが行われることも十分危惧され、こうしたことを避けるべく、内閣人事局による一括採用や、官僚の省庁間の人事異動等、人事制度改革にも踏み込む必要が出てくる可能性が強い。
河野・平井両大臣の手腕の見せ所、縦割り行政の打破が、族議員の影響力低下等古い体質の政治の打破にも繋がる事を期待したい。
** 平井大臣の発言の中でもう一つ注目すべきはデジタル化の目指す方向として『BPR』では無く『DX』をあげている点である。経産省が発表した定義によると『DX』=(Digital Transformation / デジタルトランスフォーメーション)とは【企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立する事】としており、企業を日本国家と呼び変えれば、その方向性が見えてくると期待したい。デジタル化は業務改善や業務改革(BPR)に止どまらず、必要とあれば文化的障壁を除去し、人々の思考の変化を通じて社会の変革を加速させる(DX)となる可能性を秘めている。
企業における『BPR』や『DX』を実施したCIO(最高情報責任者)の多くは、組織文化がその実現を阻む最大の障壁であると述べている。
** 現役最後の私の仕事は海外店を含む全社の行務改革であったが、その際の目玉は明治初頭に会社が設立されて以来、連綿と続いて来た会社経営の基本精神から決別する事であった。この経営哲学の存在が『不必要なポスト、不要な業務を生み、コンピューターコストを膨大なものとし、社員が内向きの業務にエネルギーを費やし過ぎる』と言う様な弊害が余りにも多くなり過ぎたのである。案の定ポストがなくなる不安もあってか反対意見も多く、その説得に一年余り、説明会行脚を繰り返し、最後に経営会議での説明会迄漕ぎつけた。経営会議では、会長の賛同を得たが、社長が社員の働く意欲を削ぐ様なシステムには賛同できないと強硬に主張、却下されることになった。社是・社訓にも取り入れられている経営哲学を破棄することは、社員教育にも影響するとの話も出され、経営会議メンバーの多くも賛同した。社是・社訓に基づき『金太郎飴』の様な同じ顔の社員を作るより、これからの時代、多様な考え方の社員の育成が必要ではないかと説いたが、一蹴された。応援すると言っていた直属の上司の発言も無かった。しかし会社退職4年後新社長がこの行革案を採用、社是・社訓が掲載された社員手帳も廃止された。コスト削減も手伝い会社の業績も好調である。時代が要請したのかなと言う印象が強い。
** デジタル化を成功させるには、抜本的な業務改革(BPR) 及び制度そのものの見直しが必要である。
デジタル化の成果は、【業務改革×IT導入】と表現する人もいる。現在行われている業務を放置してIT化を進めても成果はゼロに近いと言う意味である。e- Japan戦略でも述べられているように、行政の既存業務をそのままオンライン化するのではなく、 業務改革、省庁横断的な類似業務・事業の整理、及び制度・法令の見直し等を実施し、行政の簡素化・効率化、国民・事業者の負担の軽減を実現することが必要である。デジタル化・電子政府の推進は、行政のスリム化・効率化に貢献するだけでなく、従来の政治的意思決定メカニズムを変え、透明性とアカウンタビリティを高 めることにも貢献する。例えば、公共事業の費用と便益分析の結果や環境アセスメントなどの数字を公表することで、経済効果・社会効果の乏しい事業の採択を阻止することに貢献する。もし便益よりも費用がはるかに大きい公共事業、或いは環境破壊に繋がる恐れのある事業が提案されていれば、 パブリック・コメントを通じてその提案が批判にさらされる。また、どのような過程を経て特定の公共事業が採択されるかを知ることができる。官僚や政治家の裁量によって物事が決定される余地は極めて小さくなり、安倍や側近の絡んだ加計学園の様な事件も起こり憎くなる。

業務改革に当たっては①従来の仕事の進め方に固執しない。デジタル化を進めるためには、業務をまるごとシステムに移管する必要がある為、従来型の曖昧な業務プロセスを全廃する必要がある。コストをかけてハンコの印影をシステム上に表示し、紙とまったく同じように稟議書の回覧をしていたという笑えない話では失敗である。 ② 既存の組織やポストを温存しないことも重要である。  業務の進め方と密接に関係しているのが組織である。業務をデジタル化するためには、既存の業務を見直し、曖昧で無駄な部分がないのかを徹底的に検証し、得られた最適な業務プロセスを丸ごとシステムに移管する必要がある。業務のムダを排除すれば、必然的に組織やポストの見直しが必要になる。 
***最後にブログでも取り上げた物も含め、改革すべき点を列挙しておきたい。
① 公文書の年号は西暦に統一する事。
2017年08月22日 「ブログ西暦か和暦か」で触れたが何の法的根拠もない元号が公的文書で半強制的に使用され、
事務手続きを煩雑にし「デジタル化の目的である効率化推進」の大きな障害となっている。誰が旗振り役かも判然としない、明治の残滓・元号使用は公・私何れの文書にも使用を禁止すべきである。元号は、中国・前漢の時代に採用され、中国を「宗主国」と見做し、「朝貢国」と見做された朝鮮、日本が宗主国を真似て採用したものだが、本家の中国,朝貢国の同僚である韓国は近代化の為に廃棄している。明治以前は一人の天皇が複数の改元を行って居り、元号使用に拘るのは明治万歳の偏向右翼によるものと考えられる。
② 叙勲制度の簡略化  
2018年12月06日  「 ブログ (続)秋篠宮様の大嘗祭発言に付いて」で触れたが、これも明治の残滓である。戦後、軍国主義を一掃し、政治・社会の民主化を図る為、1946年文化勲章など一部を除き、生存者への叙位・叙勲は停止されたが、自民党政府は、1964年生存者叙勲制度を名称も戦前そのままに、閣議決定と言う安易な方法で復活させたものである。対象者は春・秋併せて一万人弱、その多くが公僕である公務員であり、業務に対する報酬は税金から給与・ボーナスで支払われている。対象者の選定には地方・中央併せてどれだけ多くの公務員の労力と費用が費やされているか、国家挙げての壮大な無駄遣いである。 叙勲は社会の進歩と発展に具体的、目に見える形で重要な貢献をした人に対し、国として公正な基準にもとづいて選定するよう改めるべきである。
③ 同じブログ」で指摘した「大嘗祭」問題である。政府見解として大嘗祭は皇室の宗教的儀式・私的祭礼であり、国が関わるべきでないと指摘しているにも関わらず、安倍政権は「短絡的な前例踏襲」という安易な考えで、 全国の知事を総動員し22.5億もの巨費を投じて華々しく執り行った。国家神道の廃止、憲法の政教分離規定に反し、宗教儀式に役人を動員し、国家予算をつぎ込むのは明らかに憲法違反である。
これ以外にも安倍は明治150年記念行事を各地で公費を使って行っているが、これらは全て明治礼賛、大日本主義病に取りつかれた日本右傾化の総本山「日本会議」の意向に沿ったものであることは、疑いようがない。
何れにしても明治の残滓としか言いようのない制度等が他にも多数残っている可能性があるが、「貴重な文化遺産」維持と言う間違った美名の下に国費浪費を続ける余裕など日本には残されていないと知るべきだろう。
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「テルテル総理ご都合主義の改革路線」

2021年04月10日 | 政治・経済
「テルテル総理ご都合主義の改革路線」
喫緊の課題・政治改革…(8)  族議員に付いて

省庁縦割りが国費の無駄遣いに繋がる例として、「国土交通省の旧公団住宅(現UR)と厚労省の雇用促進住宅が夫々空き室を抱え無駄に放置されている例」や、「農水省の下水道・農道の横に国交省の下水道や国道が施設され、工事が何度も繰り返されると言う事例」がしばしば取り上げられる。
省庁の「縦割り」には「省庁間の縄張り争い」や「組織防衛意識」により「多重行政=重複業務」を生み、「面倒な仕事、責任の押し付け合い,たらい回し」と言った弊害が多いが、必ずしも省庁の体質だけが悪いと言う単純な話ではない。この組織の課題・欠点を上手く利用し、自らの利権に結びつけて来た「族議員」が問題をより大きくし、複雑にして来た側面がある。
各省庁には省益に結び付いた「族議員」がいる。自民党の場合、族議員は各省庁に対応する形で設置された政務調査会の「政策部会」に属しており、「運輸族・航空族、建設族・道路族、農林族、郵政族、文教族、厚生族、国防族、商工族」等々、政調会14部会以上の族が存在し当選回数や力量に応じ政務官、部会長・委員長に就任、大臣にたどり着くと言うように階段を登りながら「ドン・ボス」と呼ばれる様な強い影響力を行使する族議員となっていく。当に政治の世界も縦割りであり、行政の縦割り・政治の縦割りが相互に増幅作用をもたらしている面も強い。官僚出身の族議員は官僚時代に培った専門性の活用と選挙区の利益団体を代表する為、複数の部会に属する族議員になる事も多い。防衛官僚出身の防衛族が出身地の農業団体に推され農林族になる等である。
省庁が法案を作成すると、まず自民党政調会部会に持ち込まれ、部会の審査過程で、族議員が自民党を訪れる様々な業界・利益団体と「利害の調整」をする「与党事前審査」が行われ、種々修正された後に、内閣で「閣議決定」されて、国会に提出される。例えば「租税特別措置法」による税負担の軽減・免除に関係する案件の場合、「与党事前審査」の為に「税制の新設・継続の説明書」として案件ごとに、膨大な数の「税制改革要望資料」が作成され、これをベースに族議員のボス達に陳情の説明が行われる。その際事前に配布されたボスが所有する何ページにも亙る「要望資料」の夫々には関係する団体からの年々の政治献金額等々、許認可の判断基準となるような情報が赤ペンで書きこまれていると言われている。例えば畜産業に関する優遇税制であれば畜産業団体からの献金額や団体幹部の情報等が書き込まれて居りこれを虎の巻にして政調会で説明が行われるのである。
この「租税特別措置法」こそ、日本の租税制度や確定申告を複雑・難解にし、外資等から大きな貿易障壁として非難の対象に成って居り、官僚や族議員の裁量権行使の最良の武器となっているものである。経済政策や産業政策などの政策的な見地に基づいて、法人税、所得税等の基本税法を改定することなく、特別法によってその適用の一部を臨時的、例外的に変更して、特定の産業部門、納税者層の税負担を軽減・免除しようと言う目的の為に制定された法規であるが、この法律は毎年改正され、制度の改正・廃止・新設が頻繁に行われ、しかも各規定が長文である。(例えば農地の相続税納税猶予・免除に関する法令では44項、対応する政令74項、規則は38項もある。)
この措置法は基本的に時限立法で自動継続でない為、延長・継続の必要がある場合は都度、税制継続を申請しなければならなくなる。
定期的に税制継続の申請・陳情を必要とする仕組みを作り、選挙の票田、政治献金、天下り先確保等々、極めて巧妙な利益誘導システムを作っているのである。 よく新聞を賑わす案件にナフサ(粗製ガソリン)に関わる石油石炭税の免税(還付)措置がある。プラスチックの原料となるナフサなどへの石油石炭税の課税は、諸外国では例が無く、これに課税すれば貿易面や農業・漁業等その影響は極めて大きい。しかし政府はこの課税制度を廃止することはせず、2年に一回特別措置として延長する方式をとって居り、1978年以降、数十回に亙る陳情と無駄な業務が延々と繰り返されているのである。
更に、この措置法を利用した壮大な利権構造がガソリンの税金である。本来ガソリン税は1957年(昭和32年)に施行された揮発油税法の第九条で、揮発油一キロⅬに付き24,300円と決められていたが、1974年の石油ショック時に、「舗装道路建設の財源不足を補う目的」で租税特別措置法として「2年間の暫定措置」として増税されたものであるが、2年後もこの増税措置は撤廃されず延々と道路舗装の財源として生き続けている。1974年当時舗装率は40%程度だったものが現在97%迄になっているにも拘らず、政府-自民党と官僚は一旦おいしい味をしめると決して手放さない。ガソリン税の内訳は揮発油税24,300円、地方道路税 4,400円、合計28,700円、それが暫定措置によ合計 53,800円となり、25,100円が上乗せされたままになって居り、ドライバーは1ℓ当たり 53.8円の税金を背負わされていることになる。本当に必要な道路なら一般財源から出すべきだが、この特定財源は国交省所管で、族議員と結託し自分達の裁量で地方に道路建設が可能であり、地方の土建業者からの票田と政治献金、官僚には天下り先の確保と言う大きなメリットがある為、廃止など毛頭考えていないのである。自民党大物政治家の地元では必ずと言っていいほど、大規模な道路建設が行われた。有名なものとして 地元支持者たちが「久間道路―長崎」「額賀道路-茨城」「安倍道路―山口」「青木道路-島根」「二階道路―和歌山」、「福田八ツ場ダム道路―群馬」と呼ぶ狐・狸が我が物顔で闊歩する“ムダな政治道路”である。
国交省はこの財源を使って国有地に地下駐車場をを作り「交通安全施設等整備事業」名目で本来の道路建設から外れた事業を行って居り、その運営に当たる「財団法人駐車場整備推進機構」と言う組織を作り官僚の高給天下り先を確保する話や国交省職員の宿舎やレクリエーション施設等に流用するなどコソ泥紛いの話も出てきて居り、族議員、官僚が結託しやりたい放題である。国交省の中期道路計画では、年間 5兆6000億円の道路特定財源を“使い切る”ことを前提に、今後10年間で2900キロ、総額 68兆円の道路建設を予定しているが、土建国家から脱却する為にもこれを国交省から取り上げ、一般財源化してコロな対策、災害復興費に充当すべきである。

この様に族議員の役割は、案件の審査過程で特定の業界団体や利益団体の為に、政策の調整をし、場合によっては許認可権を持つ省庁に口利きをし、補助金等の配分や公共事業の箇所(=場所)づけに介入する等を行う事になる。省庁が縦割りである為、省庁間の調整も重要になる。この様な政策決定方式が有力族議員の選挙区や関係する業界団体、献金団体との癒着を生み、無駄な財政支出等を膨らませる事に繋がるのである。国家全体の利益より「族議員が自己の稼業・世襲を維持することが優先」され、選挙区や業界団体の利益が重視・優先されると言う行政の歪みに繋がって行くことになる。
この様な政界・官界の繋がりに財界が加って、3業界の強固な癒着構造が出来上がり「鉄のトライアングル」などと呼ばれている。財界の業界団体や圧力団体が自分達に有利になるような政治家・族議員に政治献金や企業ぐるみ・業界ぐるみで選挙の際の票の取り纏めや選挙応援を通じて支援し、更に面倒を見てくれた官僚には天下り先を提供する。 一方官僚は所轄業界を纏め、その利益代表として、許認可権限・公共事業・補助金等の振り分け等官僚の裁量権を最大限活用して政治家・財界に影響力を誇示し、政界進出、天下り先を確保する。政治家は官僚・財界の通したい予算・法案成否について党の政調会等を通じ影響力を行使し、財界から政治献金を集め、官僚の天下り・政界進出の手助けをする。これがトライアングルの構図である。結局政・官・財のこのような行動により、国益・国民益より省益・企業益が優先されることになって行く。
曽て民主党・鳩山内閣は政務調査会による政策・法案の事前審査システムは「族議員を生む政官業癒着の温床」と徹底批判しマニフェストで公約した「政府一元化」を実行したが、「族議員の旨味」を失った多くの無役の民主党議員が猛反発し、野田政権になって全面復活した。愚かな野田・民主党議員よる「党の看板公約」破りによって、一挙に国民の信頼を失い政権を失う事となった経緯がある。
この様な「鉄のトライアングル」を生む温床の多くは「裁量行政」にある。過去のブログでも度々触れたが日本の民主主義をも揺るがし兼ねないのが官僚に与えられた「過大な裁量権」であると言っても過言ではない。勿論官僚の専門的な知識と経験の集積を有効活用し行政を円滑に遂行する為に、官僚に裁量権を与える事は必要であり、更には明確に規定することが困難な事例もある。例えば風俗営業免許取り消しに該当する違法行為として「善良の風俗を害し,若しくは少年の健全な育成に障害を及ぼすおそれがあると認めるとき」の様に抽象的な表現に止め,公安委員会等の公正・公平な判断により,営業停止,免許取消しを行う様な裁量権の行使は止むをえないのは当然である。しかし現実には裁量権が「鉄のトラアングルの利益誘導」の為に,公正・公平に行使されず、無駄な財政支出や行政の無駄な業務を生み出している例が極めて多いのである。
国税の無駄遣い、無駄な業務を削減する為にも族議員を排除し、政策決定の政府一元化を推進すべきである。

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「テルテル総理ご都合主義の改革路線」

2021年04月04日 | 政治・経済
「テルテル総理ご都合主義の改革路線」
喫緊の課題・政治改革…(7)

政治家に与えられた大きな特権こそ諸悪の根源であり、政治改革の目玉として【(A)既得権打破】を取り上げたが、今回は議員定数削減等について触れたい。
(B)国会改革
森元首相のジェンダーフリーの動きに逆行する発言で、改めて自民党oldboysclubeの面々のボケ疑惑を彷彿とさせるような、常識外の発言に耳目が集まるようになった。永田町で「失言大魔王」の異名をとる麻生の朝鮮半島有時の際の難民射殺発言や、二階の自分自身が関与する河井元法相夫妻の参院選買収事件に関し【他山の石】発言等々、自民党の古老が次々発する「世迷い言」を聞いていると、とてもじゃ無いが正常な人間の発言とは思えない。二階は厚労省23人の深夜送別会に渋々反省を求めているが、自分の会食を棚に上げ、最早ブラックジョークの領域だ。この様な非常識な人間に限って既得権保持に汲々とし、権力を笠に着て声高に老害を振りまく。挙句改革の大きな抵抗勢力になる可能性が極めて高い事は歴史が物語っている。今や政界の倉庫に眠る不良品滞貨の感があるoldboysclub達を議会から一掃する為に、先に述べた既得権を剥奪し、居心地の良い環境を除去すると同時に【65歳定年制】を設ける事が急務である。
2012年、民主党野田首相と安倍自民党総裁が議員定数大幅削減を条件に国会解散に合意したが、首相になった安倍は民主党は負けたのだからと主張、約束を反故にして全くやる気配がない。元々安倍の様な不誠実な人間を信用し政権を明け渡した野田はバカとしか言いようがないが、日本の衰退の流れを食い止める為にはイタリアが実行したように思い切った定数削減により議会の刷新が必要である。定年制実施による滞貨一掃後の議員数を定数と固定し、更に参議院を廃止する。参議院の元になった「貴族院」は非公選の皇族や学識経験者で構成され、衆議院に対して拘束される事は無かった。戦後参議院になってからも政党に属さない最大会派「緑風会」が中心となり政府や衆議院に対して是々非々で臨み「良識の府」としての機能を果たしたが、緑風会の衰退と共に有識者の議員が少なくなり、殆どが政党に属することになってしまった。その結果党議拘束を受ける事態となって参議院も完全に「政党化・衆議院化」して仕舞い、「衆議院のカーボンコピー」状況となっている。北欧を中心として、国連加盟国の過半数は一院制を採用し、国会運営に何等支障がないことから判断し、参議院を廃止し議員数を削減すべきである。参議院の存続理由として、衆参ダブルチェックにより、衆議院の暴走を抑えることに有ると言われているが参議院の政党化により全く期待できなくなっているのが実情である。 チェック機能を強化する為には与党の質問を廃止する。自民党政調会長・下村博文は代表質問で貴重な時間を使って、(菅総理は毎朝故郷のお母様に電話されるようですが…、)全く耳を疑う、歯の浮くような「オベンチャラ」発言をしてひんしゅくを買ったが、自民党にはこんな発言をする連中が多く、国会軽視も甚だしい。質問権は野党に限定し十分時間をかけてやればよい。閣僚は多くの質問に耐えられるような体力のあるプロを任命すればよいだけである。

次は菅政権が重点施策として掲げる縦割り行政打破である。この問題は50数年前からたびたび政界で問題になっており、そのたびに時の政治家やエリート官僚は一見知恵を出し解決策を模索して来たように見えるが、既得権維持が強すぎ「喉元過ぎれば」で、いつの間にか雨散霧消してしまう事が、延々と繰り返されてきたのだ。
縦割り行政の身近な例として「幼保一元化問題」がある。幼稚園と保育所の場合、幼稚園は学校教育法に基づき文部科学省が、保育所は児童福祉法に基づき厚生労働省が管轄するが、幼稚園・保育所が近接することも多く一体管理した方が行政サービスが行き届く。しかも、幼稚園教諭の免許で保育所に保育士として勤務できず、同様に保育士の資格では幼稚園に幼稚園教諭として勤務出来ない様に、免許制度も異なっている。この様な省庁の垣根が子供行政の障害となり、少子化対策の遅れになってきたのである。 この問題は与党から「児童庁」設置の動きが出ており文科省・厚労省から切り離され改善される可能性が出てきて一歩前進だが、 この問題が示すように、こんな簡単なことが何故出来ないのか、総理が縦割り打破に積極的に動くかどうかに掛かっている。  縦割り行政で本領を発揮できないでいたのがマイナンバーである。
マイナンバーは縦割り行政を打破する1つの武器として期待されていたが、結局は縦割り行政によって上手く活用が進んでいない現状である。マイナンバーほど、縦割り行政の割を食う制度は珍しく、個人の番号と様々なものを紐付けて行くので、紐付けする物によって省庁の管轄が異なる。「戸籍関連 (法務省)」「住民票(総務省)」「パスポート(外務省)」「税金関連(国税庁、財務省)」「銀行口座(金融庁,財務省)」等である。
特別定額給付金の支給トラブルで社会問題化したが、小生はマイナンバーカードで即座に受給出来た。政府が早くから各省庁に命じ上記の様な情報をマイナンバーカードで処理するシステムを構築し、国民にカードが浸透していたら、遥かに迅速且つ低コストで給付出来たことになる。縦割り行政がデジタル化の障害となり、無駄なコスト増を生む典型である。
しかし「横割り組織」とは極言すれば「何でも屋の組織」であり効率性、専門性の観点から極めて非効率である。市役所で一人の職員に住民票の交付、保育園や介護施設、生活保護の相談、隣・近所とのトラブル、全部引き受けて貰えば手間が省けるが、職員全員にそんなスーパーマンを期待することは出来ないし混乱のもとになる。町医者は横割りだが総合病院は専門別に縦割りなっており専門性の高い高度医療受けるのに便利な組織になっている。しかも先端的な総合病院では一人の患者に対し例えば「内科、外科、リハビリ科」と言った専門の医師がチームを編成し治療に当たる様な対応がとられている。要は縦割り組織の弊害である「縄張り争い」「組織防衛」によって生じる「多重行政=重複業務」、「仕事、責任の押し付け合い,たらい回し」を回避することが重要であり、其の為官僚トップの評価基準をこれらに置くことを明確にすることである。今の様な好き嫌いで評価するのではなく公平な評価基準を貫徹させることである。「児童庁」設置の様に政治が縦割り行政に如何に適切・タイムリーな横串を入れることが出来るか、首相の手腕に掛かっているだけの話なのである、

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