追憶の彼方。

思いつくまま、思い出すままに、日々是好日。

子供の詩ー(2)

2016年08月26日 | 子供
ここからは「202人の子どもたち」から

        成長
   一年生の時は    見上げていたのに
   今はおばあちゃんが    私を見上げている
   やってもらっていたことを   やってあげる番が来たのだ
                  (石井めぐみ、中学一年) 
「やってもらっていたことを、やってあげる」人の成長ー選者コメント 

         物おき
   おばあちゃんの麦わらぼうし  おじいちゃんのバイク
   お父さんの長ぐつ    お母さんの手ぶくろ
   みんなの宝物が    よりそってならんでいる
                   (荒木田有美 小4)
    温かい家庭で育った家族思いの優しい子、物置きにあるもの全てが
    思い出に繋がっていて彼女にとって宝物なのだ。   

         お母さん
   お母さんが  
   ふっきんをしていました
   おなかがへこんでいました
   そうして  
   ぐったりたおれて  
   しまいました 
                   (加藤優城 小2)
 お母さん大丈夫かな……。この詩が新聞、本に掲載されてお母さん
 どんな顔したかな……。

          べんきょう
   ようちえんの年中のとき   はじめて しゅくだいがでて
   すごく   うれしかったのに
   小学生になってから  つまんなくなっちゃった  
   どうしてだろう
                   (小野若葉 小2)
  これからの長い人生、何度も経験すること、初心忘るべからずかな。

        たけおばあちゃんへ
    おげんきですか?
    てんごくはたのしいですか?
    かるぴすは まだありますか?
    ちいちゃんは いちねんせいになりました
    おともだち 5にんできました
                    (小原千波 小1)
 この子は好きなカルピスを飲むときいつも、たけおばあちゃんの事を
 思いだすのだろう。それがこんな素晴らしい手紙となってお婆ちゃんに
 届くことになったのだ。
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子供の詩

2016年08月26日 | 子供
      もしも
    もしも この地球上に 子供がいなかったら
    おとなばかりで
    としよりばかりで
    おとなはみんな むっつりとなり
    としよりはみんな 泣き顔となり
    地球はすっかり 色を失い 
    つまらぬ土くれとなるでしょう 
 
徒に子供を持ち上げ、甘やかすのではなく、社会に光を与え得る立派な
構成員であるという視点で子供を見守ろう。

児童文学作家、灰谷健次郎の子供の詩に関するエッセイ「子供への恋文」
(そもそも双書出版)の冒頭で紹介された詩の一部と、作者の子供への思い
を表した文章の一部である。
このエッセイで紹介されている子供の詩、純粋で優しく、柔らかい心で物事
や世の中の動きをもしっかりと見つめているまなざしにはっとする事がある。

このエッセイに加えて、読売新聞「子供の詩」に投稿された詩の選者、詩人
・長田弘の子供の詩集「202人の子どもたち」に収録されている素晴らし
い詩も併せて書き留めて置きたい。
  
      けっこん
  先生のおよめさんきれいかおか
  やさしいか ようこえとるか
  だんだんこわなるで
  あいてがこわなっても
  先生はやさしせなあかんで

小学校の先生をしていた灰谷氏が結婚した際担任の子供から送られた
お祝いの詩である。子供は8歳、祖母家庭の男の子である。
灰谷氏は生活経験の浅い子がどうして人生の先達のような事が言えるのか、
その感性のするどさは男の子が歩んできた祖母との生活を常に見つめて
過ごしている事に由来するのだろうかというような印象を記しておられる。

     べんきょうの時  
しゃべっとったら
   先生が
  「おくばかんどりなさい」といった
  「おくばはむしばや」
   というたら
  「まえばかんどりなさい」といった
   先生
   まえばもぬけてないねんで

子供達を愛おしむ先生の温かさ、それをしっかり受け止め伸び伸び育つ
生徒、心温まる情景。

  しごと  
だいくさん  おとうちゃんが一ばんや
   りょうり  おばあちゃんが一ばんや
   ごはんたき  おかあちゃんが一ばんや
   おひゃくしょう  おじいちゃんが一ばんや
   ぬいもん  おねえちゃんが一ばんや
   とりのえさやり  おにいちゃんがいちばんや
   おかねためんのん  わたしがいちばんや
   おとうとと いもうと  あそぶんがいちばんや
                 前田鈴代(4年)
  幸せな大家族のぬくもりと家族を誇りに思い、思いやる優しさ
  が其の儘伝わってきて、詩を読む人の頬を緩ませ明るくしてくれる。        


竹中郁氏監修の日本一美しいと言われた詩と童話の子供の雑誌「きりん」
を支援していた灰谷氏がその創刊号から抜粋した子供の詩である。
「きりん」の創刊には井上靖氏が、又支援者には川端康成、林扶美子
小磯良平等錚々たる面々がいたと記されている。   


「しごと」を追加

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