追憶の彼方。

思いつくまま、思い出すままに、日々是好日。

自民党総裁選―2

2024年09月30日 | 政治・経済

自民党総裁選―2

自民党総裁選の決戦投票は21票の僅差で石破氏が勝利した。韓国紙は「石破も期待できないが、極右・高石よりマシ」と報じたが、多くの日本人の心を代弁しているのではないかと思う。

9人で争った1回戦の得票数の上位二人は、高市181票(内議員票72)、石破154票(内議員票46)でこの二人で決選投票が争われることになった。(尚3位は小泉136票、内議員票75はトップであったが、党員の不興を買ったのが、大きく影響した。)

決選投票では議員票が大きく動いた。小泉75、林38、上川23、合計136票、プラス7票(河野の一部)が石破に流れ189票となった。一方高市には小林の41、茂木34、加藤16合計91票、プラス10(麻生の指示による河野票) 合計101票が上積され合計173票となり、議員数で石破が16票上回り、更に党員票でも石破が26票で高市を5票上回って、石破が僅差で勝利し、総裁が決定した。

裏金議員や統一教会関連議員等に推薦された高市が勝利して居れば、日本は極端な右側エンジンだけで離陸し、直後に墜落して取り返しのつかない惨事に見舞われていた可能性もあり,辛うじて踏みとどまった感が強い。組閣で幹事長以外は受けないと嘯いたらしいが、とんでもない話。幹事長は選挙候補者の人選や資金提供の権限を持って居り、裏金議員・壷議員、右翼議員の優遇が目に見えている。

しかし自民党の半数近い人間が、何故このような危険な人物をトップに据えようとしたのだろうか。其の旗振りをした麻生や旧安倍派の連中を含め多くは、石破の日頃の言動から、政治改革を本気で進め、金の問題や自民党を支える宗教勢力排除等、自民党員にとって極めて住みにくい環境が出来上がるのではないかと危惧しているのではないかと勘繰りたくなる。「水清ければ魚棲まず」の言葉が示す通り、自民党旧来の腐臭漂う濁った環境が住み心地が良いのだろう。石破を担ぎ早期解散・総選挙で今の逆風をやり過ごせば万々歳、大敗すれば石破と言うシャッポを変えればよいだけと言う捨て駒作戦ではないかと思う。国民や国家の将来など、どこ吹く風、自分達の既得権を何とか死守したいとの思いだけである。

しかし一部国民が石破に期待した政治改革はそう簡単には進まないだろう。既に石破も変節の兆しが見え始めている。国民に総選挙の判断材料を提供する為、党首討論を是非やりたいと言っていたのも党内多くの意見に押され、早期解散日程を言い始め、ほぼ不可能に近い。自民党を変える前に石破本人が変節してしまった感が強い。我々は冷徹な目で新内閣の動向を見守る必要がある。

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自民党総裁選

2024年09月25日 | 政治・経済

自民党総裁選

自民党総裁選は泥試合の様相を呈し始めた。9月12日の告示前まで出馬に必要な推薦人20人を集めるのにさえ四苦八苦、立候補さえ危ぶまれていた泡沫候補の高市早苗が、安倍派の裏金議員や統一教会・壷議員の強烈な後押し巻き返しによって石破・小泉に並ぶトップランナーの中に割り込んできたのである。

自民党は金の問題で批判を避ける為、今回は「金のかからない総裁選にしょう」という方針を決め、10億円近くかかる(リーフレットなど封書)を送る事を禁止する旨決めていて、議員はそれを知っていたが、高市は正式通知がまだ来ていないとして、ただ一人、全国に自己の主張を載せたリーフレットを送ったのである。案の定他候補からルール違反などとクレームが続出、泥試合の様相を呈し始めた。しかし正式通知前に送付したのだからルール違反に当たらないと高市らしい強弁を発している。

高市は安倍後継者を自認し、日本経済を滅茶苦茶にした(アベノミクス)推進を叫んでいるが、総裁候補に出ることに依って、自民党内で存在感を示し,良いポストに有りつきたいなど、其の魂胆は見え見え。自己目的達成の為には平気で嘘をつき、不法行為も辞さないと言った点では、当に安倍の最も得意とするところ、立派な後継者だ。本人は恥ずかしげも無く、「サナエあれば、憂いなし」などと言う軽薄なキャッチコピーを薄気味悪い作り笑いを浮かべながら、声高に叫んでいるが、巷では「サナエあれば、地獄在り」の方が正しいとの声さえ飛び交っている。兎に角、危険極まりないこの人物だけは表舞台に立たせてはならない。彼女の推薦人20人の内裏金議員は13人(裏金総額;9015万円)、壷議員15人、日本会議系13人。この事実をメデイアに指摘されると、「自分は推薦人に、どの方を20人に入れるかは選対チームにまかせましたので翌日の新聞まで、どなたが推薦人になってくださったかは知りませんでした」と言い切ったのです。公共放送の場で平気でこのような発言が出来る人間性、普通ではない。「裏金議員」の選挙での公認・非公認や要職起用の是非については、「自民党の処分は決まって居り、党で決めた処分をひっくり返すような独裁的な行動はとらない」と繰り返しているが、自分の推薦人の事を考えれば、自民党が生まれ変わる為には避けて通れない裏金問題、統一教会問題は闇に葬ろうとする姿勢が見え見えである。推薦人の筆頭で高市の最側近、杉田水脈といえば、自身の発言が法務局から2度も「人権侵犯」認定を受けているにもかかわらず、最近那覇市内の講演で差別根絶に取り組む沖縄、アイヌ民族、在日コリアン、被差別部落などの人々を「反日の左翼」と総称し「どれだけ力を持っていて、どれだけ面倒くさいか」と発言したことが問題になったばかりだ。安倍の寵愛を受けたこの杉田、理屈に合わない尖った右翼発言だけで、縁もゆかりもない安倍のお膝元である比例中国ブロックで出馬させてもらい、比例名簿の上位に据えられ、”特別枠”で当選を重ねてきた人物、国民に選ばれたわけではない。こんなのが推薦人の筆頭に居る高市を推しているのは衛藤晟一や山田宏、中曽根弘文といった日本会議系の極右議員、道徳を語りながら裏金づくりに勤しみ、差別で支持拡大を図るのを黙認する、自民党とは何という人間の集団だろうか。

靖国参拝も心、内心の問題であり、首相に選ばれても継続することを断言した。しかし総理を目指す人間が、個人の内心の問題だけで、太平洋戦争の被害者である中国・韓国等が嫌悪する(加害者・戦争犯罪人)を祭る靖国に参拝する事が、外交上の大きなデメリットになる事に考えが及ばないとしたら、其れだけで総理はおろか、国民を代表する国会議員となる資格すら無いと言える。単に個人の内心の問題であれば被害国の神経を逆なでするような行為を避け、心の中で済ませればよいだけの話、どうしてもと言うのであれば、天皇陛下同様、全国戦没者追悼慰霊蔡に出席すればよい。

新生自民党の為の総裁選挙で、最大の問題である裏金問題、統一教会問題の再調査、解決にどの候補も手を挙げなかったところから、国民の目をたぶらかす為の儀式であったことが明白となった。2大政党制が待たれる。

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動物奇譚 (2) 酔っ払い動物達…2

2024年09月19日 | 文化・文明

動物奇譚

(2) 酔っ払い動物達…2

人類の祖先が木の上で偶然(アルコール耐性遺伝子)を獲得したことによって、動物最強の酒豪になった。確かに欧米やアフリカ系民族には飲んですぐ顔が赤くなるような「酒に弱い体質」の人は殆どいないが日本や中国、韓国にはワインのコルクを嗅いだだけで、顔が赤くなる下戸も多数いる事も又事実である。何故地球のごく一部地域、極東の人達が突然酒に弱くなってしまったのか、その謎を解く有力な仮説を中国の人類学者が打ち立てた。

酒を飲むと、アルコールは肝臓で分解されて、悪酔いや頭痛、動悸の原因ともなる 「アセトアルデヒド」という物質に変わる。この物質は体の細胞を傷つけ、癌など病気のリスクを上昇させる危険な物質で、酒を時には「毒」にもしてしまうのであるが、肝臓で(アルデヒド脱水素酵素)により(酢酸)に分解され、血液によって全身を巡り水と二酸化炭素に分解され、汗や尿、呼気中に含まれて外へ排出されると言う経過を辿る。

中国の研究者は祖先の⾻に残る遺伝⼦の情報から「アセトアルデヒド分解遺伝⼦」を読み解き、凡そ6000年以上前、この分解遺伝⼦の働きが弱い祖先が突如中国に出現した事を突き止めた。調査を進めると「酒に弱い遺伝⼦」の広がり⽅のパターンが、アジアでの「稲作」の広まり⽅とよく似ていることに気付いたのである。 稲作は中国の⻑江流域で始まり、先ず北東部へ、次に東南部へ、その後東アジア⼀帯へと広がった。この稲作の分布と、「酒に弱い遺伝⼦」の分布を重ね合わせると、ほぼ⼀致したのである。一致理由には幾つかの有⼒仮説があるが、その中で尤もらしいと考えられているのが以下のシナリオである。 舞台は、6000年以上前の中国。稲作に適した⽔辺に 多くの⼈が集まって暮らし始めていたが、当時は衛⽣環境も悪く、⾷べ物に病気を引き起こし生命に関わる様な悪性微⽣物などが付着することが多かったが、そんな時、意外にも⽶から造っていた「酒」が役⽴ったと考えられる。アセトアルデヒド分解遺伝⼦の働きが弱い祖先が酒を飲むと、体内には分解できない猛毒のアセトアルデヒドが増えていく。しかし、その毒が悪い微⽣物を攻撃する薬にもなった可能性があるというのである。こうして、「酒に弱い遺伝⼦を持つ⼈の⽅が、感染症に打ち勝って⽣き延びやすかった」 というのが、有⼒な仮説の⼀つで日本の学者もこの仮説を推奨している。 つまり稲作地帯の人達は、酒がもたらす毒まで利⽤し病原菌から身を守ろうと、「酒に弱くなる道を選んだ」可能性があると言うのである。 この「酒に弱い遺伝⼦」が、3000年ぐらい前に稲作⽂化と共に朝鮮半島経由⽇本列島に渡来し、酒に強い縄文人に交じり込んで、今では⽇本⼈のおよそ4割が 「酒に弱い遺伝⼦タイプ」になったと考えられる。中国人の52%、韓国人の30%、も同様である。 以上から日本人の酒豪はインドアーリア系か縄文人の血を引く人間だとの説に結び付く。

 

酔っ払い動物達に話を戻そう。世界には鳥からゾウまで、自然から得る天然のアルコールで、日常的に酔っぱらっている野生動物がいる。

大きな冠羽や黒いアイマスクのような模様など、印象的な羽毛で知られる北米の鳥であるヒメレンジャクは、数カ月にわたって果実だけを食べるという珍しい特徴を持っている。果実はエネルギー源として優れているが、熟しすぎた果物やベリーは目に見えない脅威となる。 天然の酵母が熟した果実を発酵させ、糖の分子をエタノールと二酸化炭素に変える。果実が腐り始めていなければ、食べても安全だが、ヒメレンジャクを(酔っ払い)にしてしまう。酒豪ではない彼等は、酔っぱらうと、反射神経が鈍くなり、判断力が低下し、補食されたり、車や電信柱、窓ガラスにぶつかって大怪我をすることもあると言う点では、渋谷に屯する人間達と何等異なるところが無い。動画等からの最近の研究では、半野生動物やペットを含む55種の鳥がアルコールを飲んでいることがわかった。動画の多くは、オウムやカラスなどのいわゆる「賢い」鳥が人の飲み物を口にするというものだったが、彼等が酔っぱらったどうかは定かではない。

ヘラジカはアルコール耐性が弱く、地上に落ちて発酵した大好物のリンゴを食べては酔っ払って木にぶつかるなんてことが屡々ニュースになり、カナダのローカル紙やテレビを賑わすことになる。

アフリカ象も同様でマルラの木の発酵した果実を食べて酔っぱらったという報告は、一般的な文献や科学的な文献にもあふれている。ヘラジカやアフリカ象はアルコールを代謝しにくい遺伝子を持っており、巨大な体でも発酵した果実で酔うことを示している。勿論、彼等は快楽を求めているわけではなく、ただ空腹なだけであると報告は述べている。只ヘラジカ、ゾウ以外の酔っ払い動物の中には空腹を満たす為だけではなく、快楽を求めてと言うケースも考えられるという。

アフリカ部族の中にはマルラの木の実を重要な食料源にして居る人達がいるが、象以外にもアフリカ草原の草食動物はこの木の実が大好物で、時には争奪戦が勃発する。 マルラの木は密生せず草原等で18メートルにも達する高木で,実を自由に食べることが出来るのはヒヒやキリンに限られる。そこで頼りになるのが象達、彼等は時に草食動物を集め、大宴会を催す。この木の下でヘベレケに酔っぱらい、酩酊状態の(象、サイ、キリン、ダチョウ、ヒヒ、イノシシ、鳥達)の様子が観察されて居り、(African Animals Getting Drunk Off Ripe Marula Fruit)という動画で視聴可能である。

最後に北米の草原に住む(プレーリーハタネズミ)の話。

彼等は1日にワイン15本分に相当する量を飲むことも出来る程の酒豪であるが、げっ歯類としては珍しい一夫一婦制で、大のアルコール好き。其の為、人間と比較する上で興味深い研究対象となる事が多い。オスのひとり飲みは浮気心を助長し、時に夫婦関係を悪化する。そこでプレーリーハタネズミの出番となった。学術誌「Frontiers in Psychiatry」に発表された論文によると、彼等がアルコール摂取後、オスはパートナーと寄り添ってくつろぐか、或いは見ず知らずの別のメスと時間を過ごすかという選択肢を与えた。 その結果、オスだけが酒を飲んだ場合、パートナーと過ごした時間が短いことがわかったが、別のメスと時間を過ごすかは目下実験中である。オスとメスがどちらも酒を飲んだ場合はどちらも飲んでいない場合と同様仲睦まじく過ごしたとの結果が出ている。しかし別の理由による夫婦関係の悪化がオスの一人飲みを誘発したのかと言う問題は残っている。プレーリーハタネズミについては興味深い話が尽きない。

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動物奇譚 (2) 酔っ払い動物達…1

2024年09月16日 | 文化・文明

動物奇譚

(2) 酔っ払い動物ー1

Drunken monkey hypothesis(酩酊猿仮説)と言うのがある。凡そ1200万年前、アフリカの木の上で果実等を主食にして暮らしていた我々の祖先に地球規模の気候変動が襲い、大地が急速に乾燥化した為、食べ物は落下した果実に頼らざるを得なくなった。落ちた果実は完熟し、糖分が⾃然発酵して、アルコー ル分を含む食料に変化してしまっていた飢えから逃れ、生きる為にはアルコールの分解遺伝子の無かった彼等は、酔っ払って木から落ちたり、肉食動物に襲われたりしながらも アルコール分のある完熟果実を食べ続けた。そんな中、或時⼀部の祖先の体内で遺伝⼦に突然変異が起き、アルコール分解遺伝⼦が偶然強⼒になって、発酵した果実を⾷べても酔っ払うことなく、栄養を得ることが出来るようになった。幸運にも「酒になった果実」を⾷べられるようになった祖先だけが⽣延び、数を増やして、「地球上最強の呑み助」となったのが私達⼈類だという説である。同じ類人猿の(ゴリラ・チンパンジー)も同様だが、類人猿でもオランウータンの系統は、不幸な事に遺伝子配列が変わる前に枝分かれしてしまっていたので、アルコール耐性が無く下戸の儘である。

所が最近、類人猿以外にとんでもない呑み助が居る事が判明した。マレーシアのジャングルで過去5500万年の間、毎夜ビアパーテイーを開催し、宴会の間決して酔っぱらう事が無いというネズミ程の小型哺乳類(ハネオツパイ)、自然発酵されたヤシの(ビール)を好む常習的な呑み助である。ブルタムというヤシの一種は、数種の酵母種の力を借りて自然発酵した花のミツを作り出す。アルコール度数は3.8%程度で一般的なビールとほぼ同じである。ブルタムは一年中花を咲かせるため、この熱帯雨林のジャングル・バーは何時でも開店していて、常連客のハネオツパイは、ここで毎夜2時間ほど過ごし、ちびちびとミツを飲み、(おつまみ・あて)の類はとらず、(花の蜜=ビール)が主食だと言う。彼等のアルコール摂取量は通常の哺乳類にとって危険レベルであることが判明しているが、人間よりも効率的にアルコールを代謝しているらしく、酔っぱらうことがない。進化により、アルコールを摂取し続けても体内に毒素がたまらないよう、分解機能が格段に発達した為ではないかとも言われている。「この生態学的関係は何千万年もの間続いてきた安定的なものだから、そこには酩酊状態など存在しないのだろう。このような小さな動物が酩酊状態になったら捕食者に襲われる危険が増すだけだ」と研究した学者が指摘している。

尤も、人間にも酒だけを主食にするという似たような人種がいる。アフリカ・エチオピア南部、標⾼約2000メートルの ⼭岳地帯に住む⺠族「デラシャ」。 彼らが飲んでいるのは「パルショータ」という伝統の「酒」である。 パルショータは、モロコシという穀物をすりつぶして、壺の中で発酵させて造られる。アルコールの度数はビール程度で彼等はこれを1⽇に5リットルも飲む。しかも、その他に⾷事は殆どとらず、この酒こそが彼等の「主⾷」、子供もアルコール度数を抑えたものを⾷事として飲んでいる。 殆ど酒しか⼝にしないのに、 皆んな逞しく、健康体、パルショータは栄養価の高い成分が含まれている事が分っている。

次にコウモリも酒に強い事が最近の研究で判明した。酒に酔っても木にぶつかったり、墜落したりせず、問題なく飛べるというのである。中南米に生息する熱帯性コウモリは、常食とする発酵した果物や果汁に含まれるアルコール分に酔っても、呂律が回ら無くなるような事は無く、生まれつき備わった“音波探知装置”を使って(しらふ)の時と同じように飛べるという。人間でいえば、法定血中アルコール濃度を超えても車の運転に支障がないようなものだ。コウモリに酒類の主成分で酒酔いを引き起こすエタノールを与え、唾液を採取して血中アルコール濃度を測定した結果、中には濃度が0.3%を上回ったものもいた。ちなみに、0.08%以上ならばアメリカの50州すべてで飲酒運転の罪に問われ水準との事。 さらに、コウモリの種類によって血中アルコール濃度が異なることもわかった。これはアルコール耐性に幅があることを示している。「奈良漬だけで酔ってしまう下戸もいれば、ボトルを2~3本飲み干しても酔った様子を見せない酒豪もいる」のと同じである。 また、人間と同様にコウモリのアルコール耐性はアルコール摂取の頻度と量に一部左右される可能性がある。 イスラエルで過去に行われた実験では、アルコールを摂取した(エジプトルーセットオオコウモリ)は南北アメリカ大陸のコウモリよりも障害物に衝突する回数が多かったという。南北アメリカ大陸のコウモリがオオコウモリ科のコウモリよりアルコールに強いのは、日頃から発酵した食物をより多く摂取している事に由来するらしい。

殆どの動物はアルコール耐性が無い。其れにも拘わらず天然のアルコールで、日常的に酔っぱらっている野生動物達が多数居る。

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動物奇譚   蚊について……2

2024年09月06日 | 文化・文明

動物奇譚 蚊について……2

世界で最も多くの人命を奪い“人類最大の敵”とまで言われる「蚊」。マラリアやデング熱、ジカ熱、日本脳炎、西ナイル熱、黄熱、原虫疾患であるマラリアなどなど、聞くだけでも恐ろしい感染症が主として蚊によって伝染し、其の死者が世界で年間72万人以上にも上ると言われている。

そんな中、世界では驚くような“蚊対策”が始まっている。ブラジルではデング熱の患者が増え続け、2024年だけで100万人を超えるブラジル人が罹患、しかもこのウイルスの4つの型すべてが同時流行し、4つの型の免疫を持っている人は殆どいない為、病院が対応しきれず対策に忙殺されている。 対策のひとつは、或る細菌を蚊に感染させることにより、蚊の免疫反応を高め、デング熱や他のウイルスの体内での増殖を抑えるというもの。この細菌に感染させた蚊を昆虫飼育場で繁殖させ、各地域に放出する。この蚊は野生の蚊と交尾するが、野生のメスが産む卵は孵化しなくなる。他にも、英国の企業が遺伝子組み換えした蚊の卵を提供している。孵化する蚊はすべてオスで、刺さないし、交尾してもメスの子孫は生き残れず、個体数が減少するというものである。一方日本の武田薬品は蚊を撲滅するのではなく、人間に高い免疫力を高め発症を食い止める新しい日本製ワクチンの提供を始めている。

他方、日本の花王は、蚊の足を詳細に研究した結果、化粧品やシャンプーなど様々な日用品で使われている液体「低粘度シリコーンオイル」を皮膚に塗ることで蚊が皮膚に止まれなくなるのを突き止めた。実際に、このオイルを使って実験すると、表面に接触した蚊はわずか0.04秒で吸血の体勢をとれないまま飛び去ることが分かり、試行錯誤の結果たどり着いたオリジナルのオイルは、すでにタイで商品化され、人々を蚊から守っている。

人間には嫌われ者の蚊も他の生物にとっては大変な御馳走でもある。蜘蛛や蟻、蛙、トカゲ,コウモリ等にとっては食卓を賑わし食生活を豊かにする無くてはならぬ副菜でもある。実際中米の一部で両生類の病気が発生したときに、マラリア患者が急増したことが突き止められた。又他の研究では、1時間に1000匹もの蚊を食べるコウモリもいることが明らかにされている。蚊だけを捕食して生きている蚊もいる。日本にも生息するオオカ、その幼虫は、木の窪みのような水の溜まった場所に生息し、他種の小さな蚊の幼虫を食べまくり、人間や動物には興味を示さない有難い存在である。

生態系学者から見れば違った世界が見えて来る。蚊は多くの生物の餌になり、更に蚊が血を吸うことで、その個体にストレスを与えたり、感染症を媒介したりして、ある特定の種が増え過ぎないように動物の数をコントロールする役割も果たしていて、生態系のバランスをとるという意味では、非常に重要な存在である。昆虫を駆除してしまうとそのバランスを崩し、周り廻って自らに跳ね返ってくる恐れがある事に留意して行動することが必要と言われている。

厄介者だからこそ、蚊は色んな角度から生態等の研究が行われ、其の成果として暮らしに役立つ技術に応用しようという試みも進んでいる。蚊の針をヒントに関西大学・ロボット・マイクロシステム研究室が進める「痛くない注射針の開発」である。蚊の針の細さは、一般的な採血用の針の10分の1、わずか0.05 mm程、その針を回転させながら皮膚を刺す事によって、刺した直後は何も感じないという仕組みを解明できたので、医療現場で活用しようというものである。

更に千葉大学で蚊の驚くべき飛行技術をドローンに応用しようという研究も進められている。蚊が暗闇でも壁とか床にぶつからないように飛べるのは羽で起こした空気の振動を自らのセンサーでキャッチして障害物を把握している事を解明した。この研究を応用したドローンの開発は、海外ですでに始まっていて蚊の気流感知システムを組み込んだドローンは、自ら起こした気流を感知し、気流が乱れると赤く光って障害物を認知、回避することが出来るというものである。尚蚊の羽ばたきは1秒間に600〜800回と、同程度のサイズの昆虫と比較しても、非常に高速で、その反射を感知するセンサーの感度は驚くべきものであると言われている。恐るべし蚊の先端技術!!。

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