追憶の彼方。

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日本の民主主義…(8)マスメデイアと特捜検察

2016年11月12日 | 文化・文明
マスメデイアと特捜検察の問題
1910年幸徳秋水の「大逆事件」、皇室の危難を未然に防いだという功績で政府内で発言権を増大させ、その他の政界汚職や公安事件で地位を確立した検察官僚、その中心が平沼麒一郎である。検察ファッショと非難されながらも検事総長、司法大臣、首相にまで上り詰めた人物(戦後、極東国際軍事裁判でA級戦犯として終身刑の判決を受け、獄中で死去)この平沼の出現、栄達により検察が司法を牛耳る素地が出来上がったと言っても過言ではない。

戦後は検察ファッショの批判を恐れ慎重な捜査を行ってきたが、ロッキード事件の主任検事であった吉永祐介氏が検事総長に栄達することとなったのを契機に、世間の耳目を集める政治家・財界人が絡む事件を摘発すれば出世出来る、出世したいという検事が増え特捜検察の暴走が始まったかに見受けられる。
この様な出世欲の背景には財務省等他省庁の外郭団体や独立行政法人・特殊法人・公社公団更には民間企業への天下りと言う退官後の甘い生活が保障されると言うのが有るからである。

一方この様な状況下、検察、とりわけ特捜検察が政権の意向をくんで多数の「国策捜査」を行い、それを活用して自民党政権が政敵を葬り去る暴挙に出て日本の議会制民主制を機能不全に陥れ一種独裁政治への道を開く契機となる事件が発生した。それこそ検察の裏金問題である。
即ち現職の検察公安部長であった三井環氏が「検察庁は国民の血税である年間5億円を越える調査活動費の予算を、すべて私的な飲食代、ゴルフ、マージャンの「裏金」にしていることを、実名で告発する」為にテレビ朝日・鳥越氏の報道番組「ザ・スクープ」の収録、週刊朝日・副編集長との対談を予定していたが、当にその予定日当日の朝、犯罪とは言えぬような些細な事件で突然逮捕され、テレビ・新聞・週刊誌等で口封じの逮捕に関する特集が組まれる等大騒ぎになった。
しかしこの事件も裁判所も巻き込み無理やり有罪判決が出てマスメデイアも検察の意向を汲んで沈黙を続けた。更には自民党政権も貸しを作る形で不問にふした為、ここに自民党政権と検察の主従関係が出来上がった。

国策捜査は以前にも触れたが自民党政権と検察の主従関係を示す典型的事例を紹介する。
まず第一は東京地検特捜部による、甘利元経済再生TPP担当大臣とその秘書のあっせん利得処罰法違反事件に付き、全て「嫌疑不十分で不起訴」という処分を行った事である。
今回の事実関係は、ほとんどが録音記録等に基づくもので疑いの余地がない。秘書が、URに対して、再三にわたって、補償金の支払・増額を迫り、多額の政治資金を受け取り、個人で現金をもらったり接待を受けている事実が判明している。甘利氏自身も、そのような業者から大臣室で現金を受け取っていることが明らかになっている。
そのような事案に対して、捜査の着手も大幅に遅れ、ようやくURへの強制捜査着手で、若干の期待をもたせたかと思えば、あっさり秘書も含め全員不起訴で決着してしまった。

もう一つはマスメデイアと特捜検察の問題
福島第一原子力発電所の事故に関して東京電力幹部らに対し行われた刑事告訴・告発に対し東京地検が不起訴処分を決定した事である。
福島原発告訴団は将来検察審査会への審査申し立てを想定し福島県人による福島検察審査会での審査となるよう福島地検への告訴告発であったが、これを察知した検察は東京地検への移送処分を決定していた為告訴団は東京検察審査会への申し立てにせざるを得なかったのである。


福島第一原子力発電所の事故は東電幹部不作為により起こり得べくして起こった事故であることは誰が見ても明白であり、社会に与えた損害の大きさからみても証拠不十分による不起訴とは空いた口が塞がらない。
福島地検から東京地検への移送の問題も、小沢事件で明らかになった様に東京の検察審査会は検察の思いのまま動かせる自信が有るのだろうと勘繰りたくなる。

これらの事件についてマスメデイアの厳しい論評は一切報じられていない。行政とマスメデイアの癒着の構造がこのような所に如実に表れる。

  
日本の民主主義…(9)
マスメデイアと特捜検察の問題に続く




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