世界の異常気象
従来、異常気象の原因の大半は、偏西風の蛇行や台風などの気象擾乱、エルニーニョといった大気の内部変動や海洋との相互作用とされてきた。しかし最近は、大気中の温室効果ガス濃度が高まる事によって、地球の平均気温の上昇が異常気象の原因に大きく関っている可能性が指摘されるようになった。
世界的な異常気象によって、過って我々が経験したことも無いような大規模災害が世界各地で頻発する現象が続いている。 カルト宗教が、いざ「ハルマゲドンの到来」などと人々を恐怖に駆り立て、悪用するのではないかと懸念する声が上がり始めていたが、既にその兆候が表れている事が判明した。
米宗教研究団体が実施した意識調査によると、異常気象や大規模災害は、聖書の「使途ヨハネ」が神の啓示として書き記した「黙示録」に描かれた「終末」の前兆だと考える米国人が全体の36%に上った。異常気象の原因は地球温暖化にあると答えたのは、白人のプロテスタント主流派は65%、カトリックは60%であったが、白人の福音主義派のプロテスタントは65%が終末の前兆とみなして居り、黙示録の予言通り、世界はいずれ終末を迎えると信じる人も15%もいた。キリスト教信者の多くは、世界の終末期には旱魃、イナゴ等の害虫被害、飢餓、暴風雨、洪水、経済危機などが起きると信じているのである。
しかし此の様な福音派の終末論の考えを裏付ける様な研究結果も発表され始めている。
豪メルボルンの独立系シンクタンク「ブレイクスルー(Breakthrough-National Center for Climate Restoration)」が、今後30年の気候変動にまつわるリスクを分析し、2050年には世界人口の55%が年20日程度生命に危険が及ぶほどの熱波に襲われ、20億人以上が水不足に苦しめられる。食料生産量は大幅に減り、10億人以上が他の地域への移住を余儀なくされる。最悪の場合、人類文明が終焉に向かうかもしれない──、と言う衝撃的な報告書を発表した。
報告書のシナリオによると、人為的な温室効果ガスの排出量が2030年まで増え続け、2030年までに気温が1.6度上昇する。温室効果ガスの排出量は2030年を境にピーク・アウトするが、温暖化暴走要因=ポジティブ・フィードバック(アイス・アルベド・フィードバック等)により、2050年までに気温が3度上昇する。1.5度の気温上昇で西南極氷床が融解し、2度の気温上昇でグリーンランド氷床が融解する。 気温が2.5度上昇すると、永久凍土が広範囲にわたって消失し、アマゾン熱帯雨林は干ばつに見舞われて立ち枯れる。ジェット気流(偏西風)が不安定となることで、アジアや西アフリカの季節風にも影響が及び、北米は熱波や干ばつ、森林火災など、異常気象の被害を受ける。陸地面積の30%以上で乾燥化がすすみ、南アフリカ、地中海南岸、西アジア、中東、米国南西部、豪州内陸部で砂漠化が深刻となる。
この報告書では、一連のリスクを軽減し、人類文明を維持するために、廃棄物をゼロにするゼロ・エミッションベースの産業システムを早急に構築するべきだと提唱している。
又、山本良一・東京大学名誉教授は、「人類に残された時間はあと20年程度。それ以上、対策を引き延ばせば本当に手遅れになる」と訴えている。北極圏の海氷が年々減り続け、このままでは、温暖化による影響がさらなる温暖化を招く、『ポジティブ・フィードバック』が始まってしまう」と言うのである。一番簡単な例として、地球の温度が上がると、大気に含まれる水蒸気の量が増えるが、水蒸気は温室効果ガスなので、さらに地球の温度が上がる。「水蒸気フィードバック」と呼ばれるものである。
「カナダやロシア、フィンランドなど8ケ国による共同研究によれば、このまま気温上昇が続けば、2040年には、夏場に北極圏の海氷が全て溶けてしまうことになると予測される。北極圏の海氷は、巨大な鏡のようなもので、太陽光線を反射するが、氷が溶けてしまうことで、より多くの熱を地球が吸収し、ため込むようになってしまう(アイス・アルベド・フィードバック=氷と反射率のフィードバック)。 そうなると、シベリアの永久凍土や、海中のメタンハイドレード(氷状のメタンガス)が溶け、CO2の20倍以上の強力な温室効果ガスであるメタンガスが大量に放出され、地球温暖化がさらに加速することになってしまう。既に、永久凍土からのメタン放出は始まっているが、極地の氷が失われることで、より大量に放出されるようになれば、極めて深刻な状況になる」と指摘している。では、このような正のフィードバックによって、地球の温度は際限なく上がり続け、「暴走」してしまうのかと言えば未だ解明されていない点もあり、直線的に進むかどうかには疑問の声もある。地球の温度が決まるメカニズムの中には、本質的な負のフィードバックがある。それは、地球の温度が上がるほど、たくさんの赤外線を宇宙に放出して冷えようとする。これは、世の中のすべての物体に共通する物理学の基本的な法則で、この負のフィードバックがあるおかげで、物体の温度は安定に保たれる。即ち地球には「負のフィードバック」が備わって居り、「正のフィードバック」を弱める作用が働き、スーパー・コンピューターの解析でも温暖化の暴走が不可避とは言い切れないとの指摘もあるのである。学者やシンクタンクの指摘は手遅れになった時には取り返しがつかないと言う啓蒙的,警鐘的な発言と捉えるべきだろう。
終末論が叫ばれるような異常気象や大規模災害とはどのようなものなのか。
2021年2月、米南部を大寒波が襲い、夏場の最高気温が35℃程度、冬場の最低気温は0℃ほどのテキサス州でマイナス18℃まで気温が下がり、この寒波によって大規模な停電・断水が起きたほか、少なくとも70人の死者が出たと報じられている。
更に2021年6月には、カナダ・ブリティッシュコロンビア州、夏場でも平均20℃を少し超える程度のリットンで49.5℃の高温を記録し、猛暑が原因と思われる死者は70人近くに上ったと報道されている。
ロシア・シベリアに「世界の寒極」と呼ばれるベルホヤンスクという都市があり、マイナス67.8℃を記録したこともあるこの都市の気温が、2020年6月に38℃まで上昇している。ベルホヤンスクの6月の平年気温は14℃なので、明らかな異常気象で、「偏西風の蛇行」が原因と言われている。
「世界的な異常気象によるトラブル」へ
従来、異常気象の原因の大半は、偏西風の蛇行や台風などの気象擾乱、エルニーニョといった大気の内部変動や海洋との相互作用とされてきた。しかし最近は、大気中の温室効果ガス濃度が高まる事によって、地球の平均気温の上昇が異常気象の原因に大きく関っている可能性が指摘されるようになった。
世界的な異常気象によって、過って我々が経験したことも無いような大規模災害が世界各地で頻発する現象が続いている。 カルト宗教が、いざ「ハルマゲドンの到来」などと人々を恐怖に駆り立て、悪用するのではないかと懸念する声が上がり始めていたが、既にその兆候が表れている事が判明した。
米宗教研究団体が実施した意識調査によると、異常気象や大規模災害は、聖書の「使途ヨハネ」が神の啓示として書き記した「黙示録」に描かれた「終末」の前兆だと考える米国人が全体の36%に上った。異常気象の原因は地球温暖化にあると答えたのは、白人のプロテスタント主流派は65%、カトリックは60%であったが、白人の福音主義派のプロテスタントは65%が終末の前兆とみなして居り、黙示録の予言通り、世界はいずれ終末を迎えると信じる人も15%もいた。キリスト教信者の多くは、世界の終末期には旱魃、イナゴ等の害虫被害、飢餓、暴風雨、洪水、経済危機などが起きると信じているのである。
しかし此の様な福音派の終末論の考えを裏付ける様な研究結果も発表され始めている。
豪メルボルンの独立系シンクタンク「ブレイクスルー(Breakthrough-National Center for Climate Restoration)」が、今後30年の気候変動にまつわるリスクを分析し、2050年には世界人口の55%が年20日程度生命に危険が及ぶほどの熱波に襲われ、20億人以上が水不足に苦しめられる。食料生産量は大幅に減り、10億人以上が他の地域への移住を余儀なくされる。最悪の場合、人類文明が終焉に向かうかもしれない──、と言う衝撃的な報告書を発表した。
報告書のシナリオによると、人為的な温室効果ガスの排出量が2030年まで増え続け、2030年までに気温が1.6度上昇する。温室効果ガスの排出量は2030年を境にピーク・アウトするが、温暖化暴走要因=ポジティブ・フィードバック(アイス・アルベド・フィードバック等)により、2050年までに気温が3度上昇する。1.5度の気温上昇で西南極氷床が融解し、2度の気温上昇でグリーンランド氷床が融解する。 気温が2.5度上昇すると、永久凍土が広範囲にわたって消失し、アマゾン熱帯雨林は干ばつに見舞われて立ち枯れる。ジェット気流(偏西風)が不安定となることで、アジアや西アフリカの季節風にも影響が及び、北米は熱波や干ばつ、森林火災など、異常気象の被害を受ける。陸地面積の30%以上で乾燥化がすすみ、南アフリカ、地中海南岸、西アジア、中東、米国南西部、豪州内陸部で砂漠化が深刻となる。
この報告書では、一連のリスクを軽減し、人類文明を維持するために、廃棄物をゼロにするゼロ・エミッションベースの産業システムを早急に構築するべきだと提唱している。
又、山本良一・東京大学名誉教授は、「人類に残された時間はあと20年程度。それ以上、対策を引き延ばせば本当に手遅れになる」と訴えている。北極圏の海氷が年々減り続け、このままでは、温暖化による影響がさらなる温暖化を招く、『ポジティブ・フィードバック』が始まってしまう」と言うのである。一番簡単な例として、地球の温度が上がると、大気に含まれる水蒸気の量が増えるが、水蒸気は温室効果ガスなので、さらに地球の温度が上がる。「水蒸気フィードバック」と呼ばれるものである。
「カナダやロシア、フィンランドなど8ケ国による共同研究によれば、このまま気温上昇が続けば、2040年には、夏場に北極圏の海氷が全て溶けてしまうことになると予測される。北極圏の海氷は、巨大な鏡のようなもので、太陽光線を反射するが、氷が溶けてしまうことで、より多くの熱を地球が吸収し、ため込むようになってしまう(アイス・アルベド・フィードバック=氷と反射率のフィードバック)。 そうなると、シベリアの永久凍土や、海中のメタンハイドレード(氷状のメタンガス)が溶け、CO2の20倍以上の強力な温室効果ガスであるメタンガスが大量に放出され、地球温暖化がさらに加速することになってしまう。既に、永久凍土からのメタン放出は始まっているが、極地の氷が失われることで、より大量に放出されるようになれば、極めて深刻な状況になる」と指摘している。では、このような正のフィードバックによって、地球の温度は際限なく上がり続け、「暴走」してしまうのかと言えば未だ解明されていない点もあり、直線的に進むかどうかには疑問の声もある。地球の温度が決まるメカニズムの中には、本質的な負のフィードバックがある。それは、地球の温度が上がるほど、たくさんの赤外線を宇宙に放出して冷えようとする。これは、世の中のすべての物体に共通する物理学の基本的な法則で、この負のフィードバックがあるおかげで、物体の温度は安定に保たれる。即ち地球には「負のフィードバック」が備わって居り、「正のフィードバック」を弱める作用が働き、スーパー・コンピューターの解析でも温暖化の暴走が不可避とは言い切れないとの指摘もあるのである。学者やシンクタンクの指摘は手遅れになった時には取り返しがつかないと言う啓蒙的,警鐘的な発言と捉えるべきだろう。
終末論が叫ばれるような異常気象や大規模災害とはどのようなものなのか。
2021年2月、米南部を大寒波が襲い、夏場の最高気温が35℃程度、冬場の最低気温は0℃ほどのテキサス州でマイナス18℃まで気温が下がり、この寒波によって大規模な停電・断水が起きたほか、少なくとも70人の死者が出たと報じられている。
更に2021年6月には、カナダ・ブリティッシュコロンビア州、夏場でも平均20℃を少し超える程度のリットンで49.5℃の高温を記録し、猛暑が原因と思われる死者は70人近くに上ったと報道されている。
ロシア・シベリアに「世界の寒極」と呼ばれるベルホヤンスクという都市があり、マイナス67.8℃を記録したこともあるこの都市の気温が、2020年6月に38℃まで上昇している。ベルホヤンスクの6月の平年気温は14℃なので、明らかな異常気象で、「偏西風の蛇行」が原因と言われている。
「世界的な異常気象によるトラブル」へ