追憶の彼方。

思いつくまま、思い出すままに、日々是好日。

世界の異常気象

2022年10月26日 | 文化・文明
世界の異常気象
 
従来、異常気象の原因の大半は、偏西風の蛇行や台風などの気象擾乱、エルニーニョといった大気の内部変動や海洋との相互作用とされてきた。しかし最近は、大気中の温室効果ガス濃度が高まる事によって、地球の平均気温の上昇が異常気象の原因に大きく関っている可能性が指摘されるようになった。
世界的な異常気象によって、過って我々が経験したことも無いような大規模災害が世界各地で頻発する現象が続いている。 カルト宗教が、いざ「ハルマゲドンの到来」などと人々を恐怖に駆り立て、悪用するのではないかと懸念する声が上がり始めていたが、既にその兆候が表れている事が判明した。
米宗教研究団体が実施した意識調査によると、異常気象や大規模災害は、聖書の「使途ヨハネ」が神の啓示として書き記した「黙示録」に描かれた「終末」の前兆だと考える米国人が全体の36%に上った。異常気象の原因は地球温暖化にあると答えたのは、白人のプロテスタント主流派は65%、カトリックは60%であったが、白人の福音主義派のプロテスタントは65%が終末の前兆とみなして居り、黙示録の予言通り、世界はいずれ終末を迎えると信じる人も15%もいた。キリスト教信者の多くは、世界の終末期には旱魃、イナゴ等の害虫被害、飢餓、暴風雨、洪水、経済危機などが起きると信じているのである。
しかし此の様な福音派の終末論の考えを裏付ける様な研究結果も発表され始めている。
豪メルボルンの独立系シンクタンク「ブレイクスルー(Breakthrough-National Center for Climate Restoration)」が、今後30年の気候変動にまつわるリスクを分析し、2050年には世界人口の55%が年20日程度生命に危険が及ぶほどの熱波に襲われ、20億人以上が水不足に苦しめられる。食料生産量は大幅に減り、10億人以上が他の地域への移住を余儀なくされる。最悪の場合、人類文明が終焉に向かうかもしれない──、と言う衝撃的な報告書を発表した。
報告書のシナリオによると、人為的な温室効果ガスの排出量が2030年まで増え続け、2030年までに気温が1.6度上昇する。温室効果ガスの排出量は2030年を境にピーク・アウトするが、温暖化暴走要因=ポジティブ・フィードバック(アイス・アルベド・フィードバック等)により、2050年までに気温が3度上昇する。1.5度の気温上昇で西南極氷床が融解し、2度の気温上昇でグリーンランド氷床が融解する。 気温が2.5度上昇すると、永久凍土が広範囲にわたって消失し、アマゾン熱帯雨林は干ばつに見舞われて立ち枯れる。ジェット気流(偏西風)が不安定となることで、アジアや西アフリカの季節風にも影響が及び、北米は熱波や干ばつ、森林火災など、異常気象の被害を受ける。陸地面積の30%以上で乾燥化がすすみ、南アフリカ、地中海南岸、西アジア、中東、米国南西部、豪州内陸部で砂漠化が深刻となる。
この報告書では、一連のリスクを軽減し、人類文明を維持するために、廃棄物をゼロにするゼロ・エミッションベースの産業システムを早急に構築するべきだと提唱している。
又、山本良一・東京大学名誉教授は、「人類に残された時間はあと20年程度。それ以上、対策を引き延ばせば本当に手遅れになる」と訴えている。北極圏の海氷が年々減り続け、このままでは、温暖化による影響がさらなる温暖化を招く、『ポジティブ・フィードバック』が始まってしまう」と言うのである。一番簡単な例として、地球の温度が上がると、大気に含まれる水蒸気の量が増えるが、水蒸気は温室効果ガスなので、さらに地球の温度が上がる。「水蒸気フィードバック」と呼ばれるものである。
「カナダやロシア、フィンランドなど8ケ国による共同研究によれば、このまま気温上昇が続けば、2040年には、夏場に北極圏の海氷が全て溶けてしまうことになると予測される。北極圏の海氷は、巨大な鏡のようなもので、太陽光線を反射するが、氷が溶けてしまうことで、より多くの熱を地球が吸収し、ため込むようになってしまう(アイス・アルベド・フィードバック=氷と反射率のフィードバック)。  そうなると、シベリアの永久凍土や、海中のメタンハイドレード(氷状のメタンガス)が溶け、CO2の20倍以上の強力な温室効果ガスであるメタンガスが大量に放出され、地球温暖化がさらに加速することになってしまう。既に、永久凍土からのメタン放出は始まっているが、極地の氷が失われることで、より大量に放出されるようになれば、極めて深刻な状況になる」と指摘している。では、このような正のフィードバックによって、地球の温度は際限なく上がり続け、「暴走」してしまうのかと言えば未だ解明されていない点もあり、直線的に進むかどうかには疑問の声もある。地球の温度が決まるメカニズムの中には、本質的な負のフィードバックがある。それは、地球の温度が上がるほど、たくさんの赤外線を宇宙に放出して冷えようとする。これは、世の中のすべての物体に共通する物理学の基本的な法則で、この負のフィードバックがあるおかげで、物体の温度は安定に保たれる。即ち地球には「負のフィードバック」が備わって居り、「正のフィードバック」を弱める作用が働き、スーパー・コンピューターの解析でも温暖化の暴走が不可避とは言い切れないとの指摘もあるのである。学者やシンクタンクの指摘は手遅れになった時には取り返しがつかないと言う啓蒙的,警鐘的な発言と捉えるべきだろう。

終末論が叫ばれるような異常気象や大規模災害とはどのようなものなのか。
2021年2月、米南部を大寒波が襲い、夏場の最高気温が35℃程度、冬場の最低気温は0℃ほどのテキサス州でマイナス18℃まで気温が下がり、この寒波によって大規模な停電・断水が起きたほか、少なくとも70人の死者が出たと報じられている。
更に2021年6月には、カナダ・ブリティッシュコロンビア州、夏場でも平均20℃を少し超える程度のリットンで49.5℃の高温を記録し、猛暑が原因と思われる死者は70人近くに上ったと報道されている。
ロシア・シベリアに「世界の寒極」と呼ばれるベルホヤンスクという都市があり、マイナス67.8℃を記録したこともあるこの都市の気温が、2020年6月に38℃まで上昇している。ベルホヤンスクの6月の平年気温は14℃なので、明らかな異常気象で、「偏西風の蛇行」が原因と言われている。


「世界的な異常気象によるトラブル」へ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

安倍国葬雑感

2022年10月11日 | 政治・経済
安倍国葬雑感

不運と言うべきか、9月27日の安倍国葬の直前19日に、エリザベス女王の国葬が行われる事になってしまった。
誰もが予想した通り、何の疑問も抱かせず粛々と執り行われたロンドン・ウェストミンスター寺院でのエリザベス女王の国葬は、葬儀でありながらイギリス国内だけではなく世界中の人々に大きな感動を与えた。とりわけ印象に残ったのは、美しい建物に響く聖歌の調べやカンタベリー大主教他の聖職者の説教、トラス首相が聖書の一節の朗読など、キリスト教に詳しくなくても全体的に荘厳さと大英帝国の歴史を感じさせる1時間だった。
更に棺が通る女王ゆかりの場所すべてに、多くの人が追悼を惜しまない姿は、真に国民から愛され、尊敬されていたことを証明するものとなった。
一週間後に国葬反対の叫びの中、執り行われた安倍氏の国葬は英国葬以上の国税を投じたにも拘らず、外形様式も内容も何とも見劣りのするお粗末な儀式で、日本のイメージを悪化させる代物となった。安倍の葬儀を執り行った増上寺僧侶が「既に本葬も終わっている。この先何をやるというのか」という趣旨のコメントをしていたが、本葬を2度行うなどあり得ないし、憲法上も無宗教とならざるを得ない為、神官や僧侶も登場しない奇妙な儀式となった。要するに国葬とは名ばかり、血税を使う為の方便であり、宗教色のない単なるお別れ会に過ぎないということが明らかになり、人の心を打つような儀式にならなかったのである。
参列者も、G7現職首脳は全員欠席、関係が深かったと言われていたトランプや、ドイツのメルケル前首相、ファーストネームで呼び合った盟友のプーチンすらも欠席で、なんとも、うら寂しい儀式となった。G7首脳全滅となった事もあって、「そもそも安倍に人望が無く外交の安倍など虚像に過ぎなかった」「頼りなげな岸田首相と会談する価値が感じられない」「あらゆる分野で衰退気味の日本を最早重要視していない」の何れかか、全部ということなのかと言う皮肉な声まで上がる始末、 弔問外交となるはずが、殆どが弔問挨拶となり、日本の影響力低下を象徴する行事となってしまった。
国内参列者もお寒い状況だ。政府は海外や国際機関を除き、約6000人に案内状を送ったが、参列するのは3600人。出席率はわずか6割、案内状を受け取った人の中には「何故自分が?」と不審がる人さえ出る始末、兎に角、参列者を搔き集めようと焦るあまり、クーデターで実権を握ったミャンマーを招待し、国民を虐殺し人権蹂躙する軍事政権に正当性の“お墨付き”を与えたとして、国外から厳しい批判が寄せられるなど、テンヤワンヤの騒ぎとなった。
式典は自民党広報担当であるフジテレビの女性アナが司会を務め、参列した歴代首相や歴代議長の出席も、政権を安倍に売り渡した立憲の野田元首相のほかは自民党OBばかり。葬儀委員長は岸田首相で副委員長は松野官房長官だった為、実態は自民党のイベントか、せいぜい内閣と自民党の合同葬以上の何物でもない事が明らかになった。
更に遺骨を載せた車は防衛省に立ち寄り、式場でも自衛隊の弔砲、儀仗隊の参加、黙祷時の自衛隊軍楽隊の演奏曲は戦前の陸海軍歌で靖国神社式典曲でもある「国の鎮(しず)め」。自衛隊、靖国神社大好きの安倍に相応しい、軍国化の足音が聞こえて来そうな、何となく不気味さを感じさせる自衛隊葬そのものでもあった。
国葬中には、政府が制作した、安倍元首相の足跡や功績を紹介する映像が流された。強調された「功績」の一つが「女性活躍の推進」だが、2021年の世界のジェンダーギャップ指数の順位は156か国中120位で、先進国の中では常に最低レベル、アジア諸国の中で韓国、中国、ASEAN諸国より低い結果となって居り、嘘つき放題が其の儘踏襲された感じである。
岸田首相の弔辞も「安倍さん、あなたは一途な誠の人だった」と述べ、安倍が防衛省訓示で使った新渡戸稲造の「勇とは義(ただ)しき事をなすことなり」との言葉を「Courage is doing what is right」と英訳迄して持ち上げたが、「一途な誠の人」、「正義を行う勇気ある人」とは全く縁遠い人、安倍のどこを見て言っているんだとの声が数多く投げられた、全く同感である。又何かと言うと外交の安倍と持ち上げたがる桜井よし子等の職業右翼に応える為か「重層的な外交は、世界のどの地域とも良好な関係を築かれた。 日米の抑止力を飛躍的に強くしたうえに、インド、オーストラリアとの連携を充実させて、「クアッド」の枠組みをつくりました。 日本と世界の行く末を示す羅針盤として 世界からの参列者は皆同じ思いである筈である」と大見得を切った。しかし海外からの参列者の殆どが「クアッド」とは無関係、その何たるかを理解していたかは極めて疑わしく、長い弔辞に欠伸を噛みしめる人もいた。そんなことより「台湾有事は日本有事」等と中国に喧嘩を売るような安倍外交が世界のどことも良好な関係を築いたと言えるのか。米・バイデンに台湾有事には必ず日本が対応するとの言質を与え、俄かにやたら米議員団が訪台する等活気づいて対中強硬路線を取り始めた。国民の意思も聞かずに日本は本気で中国と戦争するつもりなのか。一朝事あれば沖縄の米軍基地が先ず最初に狙われることに成る、台湾と心中するつもりなのか、安倍は大変なお荷物を残してくれたことになる。日本が危機に瀕した時、海千山千、ロシアとも未だに好関係を維持する全方位外交のインドに期待することなど先ず不可能だと知るべきだろう。
続いて8年に及ぶ安倍悪政の共犯者、菅前首相の弔辞、少女小説にでも出て来そうなセンチメンタルな呼びかけは何とも気持ち悪さを感じさせるものであった。9月30日の東京新聞で北丸雄二氏が「恋々たる生乾きなポエム臭」と表現されていたが、実に言い得て妙である。
総理、あなたの判断はいつも正しかった。あなたは、我が日本国にとっての、真のリーダーでした。一人の人間の判断が常に正しいなんて事があるわけがない。日本の現状に照らして、こんな根拠の無い称賛の言葉に対して拍手が沸き起こるのは無知・無能・無恥の自民党・身内の集まりだからだろう。
そんなことより山縣有朋が出て来たことである。そもそも他人の個室に入って読みかけの本の最後のページのマーカーの附された内容まで読むことなどあり得ない、全く下手な嘘を付くものだと思ったが、これは他人の弔辞の無断借用だったらしい。
それはさておき、安倍が山縣に関する本を読んで居た事は合点がいく。
2018・9・25ブログ戦争責任(4)で触れた通り山縣は外国への侵略主義者である吉田松陰の信奉者で民権運動を弾圧し、徴兵制を敷き、軍人勅諭や教育勅語を作って国民をマインドコントロールして日本を軍国主義化し滅亡に導いた張本人である。安倍が教育勅語を道徳教育に導入したり、メデイアをコントロールしたりしたのは山縣の手法を参考にしていたと考えれば合点がいく。2017年に防衛大の卒業式で「警戒監視や情報収集に当たる部隊は、私の目であり耳であります」「最高指揮官である私との意思疎通の円滑さ、紐帯の強さが、我が国の安全に直結する」などと語って、自衛隊を私兵扱いしていると批判を浴びたスピーチも、山縣が発意した「軍人勅諭」を踏襲しているとも指摘されていたのである。
山縣も国葬されたが国民の参列者は殆ど無く、軍隊葬と言われる程国民には不人気であった。
大正デモクラシーのオピニオンリーダーであった石橋湛山(戦後吉田内閣大蔵大臣、自民党総理・総裁)は 大正11年山縣有朋が亡くなったとき、「死もまた社会奉仕」という痛烈な文章を書いたが、何やら今回の事件を示唆している様な気がする。
あの殺害事件が無かったら、安倍や細田、萩生田、下村(博文)等の愛国・国体重視の職業似非右翼の連中が反社・反日の権化である旧統一教会の広告塔となり、裏で手を結んでいた事実が判明せず、この反日・反社組織がが身内の不幸に遭遇し途方に暮れ、弱い立場いる人に付け込んで、マインドコントロールして追剥ぎ同然の手口で金品を奪い取る事が今尚平然と常態化していたことに成る。
旧統一教会は反社活動を行い易くするため、多くの分派組織を作り蜘蛛の巣の様に張り巡らして国民の目を欺こうとしていた事や、自民党の選挙や政策に迄影響を与えていたことが白日の下に晒される事になった。
更には安倍と言う重しが取れた結果、検察による東京五輪汚職の闇にメスが入ったことである。特捜部の捜査によって、高橋治之元理事が受託収賄の容疑で逮捕され。贈賄側は、紳士服大手のAOKI、出版のKADOKAWA、広告代理店の大広、駐車サービス「パーク24」である。今後も、検察の捜査の対象となる企業が増えてくると思われるし、容疑は現職国会議員にまで広がる可能性もある。検察の捜査によって、五輪のようなスポーツイベントを食い物にする利権の構造が明るみに出て、この分野の政官業の癒着構造にメスが入れば画期的なことで、五輪の商業化に対する歯止めにもなるだろう。検察の存在理由が問われることに成る。
安倍や菅は高級官僚の人事権を使って忖度官僚を作りモラルを低下させる等やりたい放題をやってきたが、官僚制度の劣化にメスを入れその再構築を図る機会を提供したことに成る。
自民党は神社本庁、日本会議等の宗教関連組織を集票マシーンとして利用し、信仰の自由を盾に彼等を擁護して来たことも明らかになった。その辺の解明を進めない限り組織票の力で庶民の一票の価値が失われ、民主主義の存立基盤が失われることに成る。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする