カミサン伝説17「復活の像編2」
老人は奇妙な像を
かなり使い古したような布で磨きながら言う。
「よいか。こうして朝起きたらこの像を磨け、
誰にも見られんようにな。
そして、カミサン、カミサン、カミサンを像に向かって
三回唱えた後、
生き返って欲しい人間の遺体の前で
その名前をフルネームで呼んで
生き返りますようにと祈れ。
そして、また、昼同じことをせえ。
そして、夜も同じことをせえ。
さすれば、一時的にどのくらいの時間かは保証できないが、
生き返る。
ただし、くどいようじゃが、誰にも見つからないことじゃ、
また、誰にもそのことは話してはいけない。
そして、本人にもだ。
だから、本人に誰に殺されたとは訊いてはいかん」
老人の言葉にノンタは
「誰に殺されそうになったと訊くのはいいのですか」
と質問すると
「それはよい」
「何か飲みたいとか食べたいとか言ったら、
どうすればよいのでしょう」
「うーん、外へ連れて行くのは危険じゃから、
まだ、体調が万全じゃないからと言って、
家で食べさせなさい、
いつ、また、死ぬかわからないじゃろう、
それから、決して本人には
自分が死んだとこを悟られてはならぬ。いいな」
「はい、殺人事件ということで、
弔問も遠慮してもらっています。
葬儀もまだ先なのでどうにかなりそうです。
ありがとうございました」
「そうそう、たしか殴り殺されたと言うておったな」
「はい」
「ちゃんと包帯を巻いておいてやれ」
「それはもうやっております」
「じゃあ、明日からすぐ行え、間に合わないぞ、
葬儀の後で良いからその像と布を
ここに返しに来るのじゃぞ」
「あのー、衣服は」
「そうか、硬直が始まると着替えさせるの難しいのう、
今日からでも行え、
そうじゃ、今日の夜、朝、昼と試してみるのじゃ、
わしもそういう経験はないが、
うまくいくかもしれない。
昼に生き返らなかったら、
夜にまた祈ると良い。
また、死んだら、硬直はそのときから始まるから、
また着替えさせるとよかろう、
あと、一つ注意がある。
生き返るのは一度だけだからな」
「はい、いろいろとありがとうございました」
ノンタはそう言って頭を下げると老人のもとを去った。
(続く)
老人は奇妙な像を
かなり使い古したような布で磨きながら言う。
「よいか。こうして朝起きたらこの像を磨け、
誰にも見られんようにな。
そして、カミサン、カミサン、カミサンを像に向かって
三回唱えた後、
生き返って欲しい人間の遺体の前で
その名前をフルネームで呼んで
生き返りますようにと祈れ。
そして、また、昼同じことをせえ。
そして、夜も同じことをせえ。
さすれば、一時的にどのくらいの時間かは保証できないが、
生き返る。
ただし、くどいようじゃが、誰にも見つからないことじゃ、
また、誰にもそのことは話してはいけない。
そして、本人にもだ。
だから、本人に誰に殺されたとは訊いてはいかん」
老人の言葉にノンタは
「誰に殺されそうになったと訊くのはいいのですか」
と質問すると
「それはよい」
「何か飲みたいとか食べたいとか言ったら、
どうすればよいのでしょう」
「うーん、外へ連れて行くのは危険じゃから、
まだ、体調が万全じゃないからと言って、
家で食べさせなさい、
いつ、また、死ぬかわからないじゃろう、
それから、決して本人には
自分が死んだとこを悟られてはならぬ。いいな」
「はい、殺人事件ということで、
弔問も遠慮してもらっています。
葬儀もまだ先なのでどうにかなりそうです。
ありがとうございました」
「そうそう、たしか殴り殺されたと言うておったな」
「はい」
「ちゃんと包帯を巻いておいてやれ」
「それはもうやっております」
「じゃあ、明日からすぐ行え、間に合わないぞ、
葬儀の後で良いからその像と布を
ここに返しに来るのじゃぞ」
「あのー、衣服は」
「そうか、硬直が始まると着替えさせるの難しいのう、
今日からでも行え、
そうじゃ、今日の夜、朝、昼と試してみるのじゃ、
わしもそういう経験はないが、
うまくいくかもしれない。
昼に生き返らなかったら、
夜にまた祈ると良い。
また、死んだら、硬直はそのときから始まるから、
また着替えさせるとよかろう、
あと、一つ注意がある。
生き返るのは一度だけだからな」
「はい、いろいろとありがとうございました」
ノンタはそう言って頭を下げると老人のもとを去った。
(続く)