「獅子唐女」「メールと顎がつかれた直人ピンチも無慈悲なソウセキ」

「獅子唐女」「メールと顎がつかれた直人ピンチも無慈悲なソウセキ」


　「動くなよ！」
ともっこり男に大声で釘を刺してから、
　かなり苦しそうな直人に、
　「２０分弱だ！
　しっかりかぶりついてろよ。
　油断するなよ」
と、
　ソウセキは直人を激励してから、
　少し二人から離れて、
　ガラケーを見ると、
　１通のメールが届いており、
　それは、
　例の女からだった。

　「芥川ソウセキ様
　
　お手数をおかけしております。
　もし、
　勘違いがあるといけませんので
　念のため、
　獅子唐男は先程送っていただいたメールの３人の男のように、
　イケメンではありません。
　それだけで、
　引き続き、よろしくお願いします。

　　　　　　　　　　　　宮崎はるか」
　ソウセキは獅子唐に似ているのだから、
イケメンのはずはない
と思いながら、例の女がソウセキたちの調査能力に不安を感じたので、
そんなメールをよこしたのに、
　そうは思わずにんまりと笑って、
　ふと、
　視線をもっこり男の方に向けると、
　なんと、
　本の少しの間に、
　顎がつかれてかぶりつく力を弱めたところをやられたのか、
　マヌケにも直人が、
　もっこり男に後ろから羽交い締めにされていたのだった。
　だが、
　ソウセキは驚くどころか無慈悲にも、
　何故か、にんまりと笑ったのだった。

（続く）