カミサン伝説20「ハッピー編」537
その頃、
龍之介は今度は突然寿司屋を訪問した。
店にはハルカしかいなかったが、
「失礼致します」
と頭を下げてから、
龍之介は店内をきょろきょろ見回した後、
「ああ、龍之介さん、どうされたんですか?」
との言葉に、
「ハルカさんと直哉は、
たしか水曜日にはスペインに行かれないそうですが、
実は、
その日、ハプニングが起きそうなんです。
ですから、ご忠告に。
えー、皆々様にお伝えください。
では」
「あの、あがりくらい」
「いえ、仕事がありますので、失礼致します」
と、
ハルカとそんなやりとりをして、
すぐ寿司屋を立ち去ったのだった。
ハルカは龍之介には犬のケンケンとは違った、
何か不思議な力があるのではないか
と思っていたので、
ああして、彼がやって来たからには、
何か起きるに違いないと確信したが、
義父である寿司屋と母秋子に話すと、
おおげさになると思ったので、
春美にだけ、そのことを告げたのだった。
(続く)