陶芸作家が500人いれば、その道のみで食べていかれる者は、わずか4名程度だという。残りの496人は、会社勤めなどをして生計を立てながら、副業として陶芸を続けるそうだ。
そう教えてくれたのは、陶芸教室で講師を務める傍ら作品を創り続け、ときには個展を開くこともある田口さんだ。
「私は10代のときから陶芸作家を目指していましたが、運も才能もないものですから、それだけでは生活していけず、講師となったのです」
しかし、彼の選択は正しかったようだ。なかなかのイケメンでトークも上手く、人の心をつかむことが得意な田口さんは、やがて人気講師となり、指導者としての実績をあげている。
陶芸の経験はないが、おそらく私に向いていないもののひとつだろう。
昔見たテレビ番組に、陶芸家が焼きあがった作品をチェックし、失敗作の皿や器を地面に叩きつけて割る場面があった。
私から見ると、商品として十分通用しそうに見えたので、「完璧主義で自分に厳しい陶芸家」のイメージができた。
きっと私だったら、「だいたいでいいんだよ」というアバウトな基準のもと、いびつな形の皿や、傾いた小鉢、水もれのする湯呑み茶碗などが出来上がるだろう。
そして、うっかり手を滑らせて、完成品を次々と割ってしまうに違いない。
田口さんにも辛いことはあった。
教室の生徒と一緒に、あるコンクールに出品したところ、賞を取った生徒がいたのに、田口さんは落選してしまったのだ。
「生徒はグランプリ、私は知らんぷりですからね」
語呂合わせの上手さとトークの巧みさに、思わず声を立てて笑ってしまったが、本当は笑うところではなかったのかもしれない。
でも、陶芸にかかわる仕事で身を立てられた自分を「幸せ者」と言い切る田口さんに、暗さは微塵もなかった。
お手本になる生き方をしている人は、皆輝いて見える。
「笹木さんに、私の作品をプレゼントしますよ。何がいいですか?」
思いがけない申し出に嬉しくなった。
「ええーっ、いいんですか? 何にしようかな……」
そのとき、娘のミキのお茶碗を買い換えようとしていたことを思い出した。
「じゃあ、お茶碗がいいです」
「はい、茶碗ですね。わかりました」
ミキは、最近よく食べるようになり、ご飯をおかわりすることも珍しくない。
田口さんをお見送りしてから、はたと気づいた。
もしかして、私が使うと思って、小さな茶碗をくれるかもしれない。
どんぶりと言えばよかったなぁ……。
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※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
そう教えてくれたのは、陶芸教室で講師を務める傍ら作品を創り続け、ときには個展を開くこともある田口さんだ。
「私は10代のときから陶芸作家を目指していましたが、運も才能もないものですから、それだけでは生活していけず、講師となったのです」
しかし、彼の選択は正しかったようだ。なかなかのイケメンでトークも上手く、人の心をつかむことが得意な田口さんは、やがて人気講師となり、指導者としての実績をあげている。
陶芸の経験はないが、おそらく私に向いていないもののひとつだろう。
昔見たテレビ番組に、陶芸家が焼きあがった作品をチェックし、失敗作の皿や器を地面に叩きつけて割る場面があった。
私から見ると、商品として十分通用しそうに見えたので、「完璧主義で自分に厳しい陶芸家」のイメージができた。
きっと私だったら、「だいたいでいいんだよ」というアバウトな基準のもと、いびつな形の皿や、傾いた小鉢、水もれのする湯呑み茶碗などが出来上がるだろう。
そして、うっかり手を滑らせて、完成品を次々と割ってしまうに違いない。
田口さんにも辛いことはあった。
教室の生徒と一緒に、あるコンクールに出品したところ、賞を取った生徒がいたのに、田口さんは落選してしまったのだ。
「生徒はグランプリ、私は知らんぷりですからね」
語呂合わせの上手さとトークの巧みさに、思わず声を立てて笑ってしまったが、本当は笑うところではなかったのかもしれない。
でも、陶芸にかかわる仕事で身を立てられた自分を「幸せ者」と言い切る田口さんに、暗さは微塵もなかった。
お手本になる生き方をしている人は、皆輝いて見える。
「笹木さんに、私の作品をプレゼントしますよ。何がいいですか?」
思いがけない申し出に嬉しくなった。
「ええーっ、いいんですか? 何にしようかな……」
そのとき、娘のミキのお茶碗を買い換えようとしていたことを思い出した。
「じゃあ、お茶碗がいいです」
「はい、茶碗ですね。わかりました」
ミキは、最近よく食べるようになり、ご飯をおかわりすることも珍しくない。
田口さんをお見送りしてから、はたと気づいた。
もしかして、私が使うと思って、小さな茶碗をくれるかもしれない。
どんぶりと言えばよかったなぁ……。
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「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
前に書いた事あったかも知れないけど、オバマが着ているスーツは庶民的な物なのに、彼が着ている事でオシャレで高価なスーツに映るらしいね。
“人あってこその物”という事になるのかねぇ。まぁでも、個人的には“どんな物だろうが壊れりゃ終わり”と、冷めたような考えだけどね。(笑)
500人中4人ですか
自分だったら
スケールの大きい500人に目をつけて
オカマ製作の仕事でもするかな
なにせ、芸術性のない人間だから(笑)
妥協しないのが職人気質!
俺も長年瓦職に就いて来ましたが…さて、どう評価して貰ってるか…(笑)
あっ、蕎麦もしかりですね!俺の場合、細いのもあれば少し太くなったり…
それは手切りだから味わいあって良いとお客さんに言われた事も多々ありますが…本来は失格!茹でムラが出来るのでダメなんだけどね(笑)
まぁ、腹の中に入りゃぁ~同じなんだけど~(笑)
あっ、ダメダメ!こんなんじゃ先生と同じになっちゃうわ(爆)
自分も、音楽で20数年飯食ってきましたが、一般の方が思っているほど楽じゃないですからね(笑)
今の写真も同じですけどね
どちらにも共通して言えることは、体力と精神力ですね
人には先入観がありますからね。
後光効果とでもいうんでしょうか。
オバマさんにしても、本人にプラス効果があるからこそ、ものの価値がアップするわけです。
逆バージョンもありますね。
「あの人がルイ・ヴィトンを持つと、コピーに見えちゃう」なんて、恐ろしい会話も聞こえてきます。
私は大丈夫かしら(笑)
合理性や実用性を追求するほうが重要かと思います。
正直なところ、賞を取った作品と、取れなかった作品の違いはわかりませんね。
だったら、役に立つかどうかを重視すべきでしょう。
といいつつ。
デザインに惹かれて衝動買いが多いです(笑)
職人気質かぁ。
私も、こだわるところには全力を注ぐんですけどね。
他のところに注ぐものが残っていません(笑)
よくいえばおおらか、悪くいえばいい加減です。
瓦の知識は皆無ですが、ご自分で焼くのでしょうか。
蕎麦はまた全然違う分野なのに、どちらもプロですからね。
素晴らしい技術だと感心します。
まあ、陶芸には向いていないかもしれませんが~!
あらっ、まだ忙フォトさんに改名していなかったんですか(笑)
山あり谷ありの険しい道を歩んでいらしたんですね。
穏やかな写真の数々からは、ちょっと想像できませんよ。
私はよく温室育ちと言われるので、厳しい世の中をイマイチ理解していないようです。
若いときは金を払ってでも苦労しろといいますね。
私はもう若くないので、苦労はしたくないです(笑)
陶芸家の田口さんね(笑)
中学生の時にガラス職人になりたかったのを思い出しました。マジでチェコに留学とか考えてた頃が懐かしいです。
芸術品で生計を経てるって、とんでもなく大変なことですよね。なにしろ自分の感性を認めてもらわなければならない。。。
やっぱ自分にはり~む~だあな
センスないから
今年の夏に4200円の扇子は買ったけどね
ガラス職人を志していたんですか~!
初耳でした。
チェコで修行できるとは知りませんでしたね。
琉球ガラスじゃダメなのかな?
職人さんって、最後まで手を抜かずにせっせと仕上げますよね。
仕事の丁寧さが、作品への愛情なのかしら。
詰めの甘い私には神業に見えます。
芸術にも流行り廃りがあるから、時代によって感性も変わるし。
第一線で活躍している人は、やはり選ばれた人なんでしょうね。