「荒木代表の見解を支持したい」
本年5月8日付けの調査会ニュース3720「人道」支援は可能なのか」で特定失踪者問題調査会の荒木和博代表は、今回の訪米でも示された救う会・家族会の運動方針について、「私は反対せざるを得ません」としてその理由を掲げている。
見出しを列挙すれば、(1)そもそも「全拉致被害者」がどこまでを指すのかが不明、(2)従って誰も検証できない、(3)北朝鮮に「人道」援助は不可能、(4)「人道援助」と「政策援助」を混同すべきではないであり、これらに示された荒木氏の見解を私は支持したい。
「全拉致被害者即時一括帰国」という救う会・家族会の絶対に譲れないとする運動方針の裏には、政府認定拉致被害者優先、その中でも家族会優先との本音が隠されているだろうことは多くの人が薄々感じているところであり、拉致被害者救出活動が盛り上がらない一因でもある。政府認定拉致被害者と特定失踪者との間には明確な優先順位が付けられているという現実をそろそろ表に出して議論し、そのうえで救出方法を考察する時期が来ていると思う。
そのたたき台として、この調査会ニュースの最後にある「本当の意味で「人道援助」を行い、「全拉致被害者の一括帰国」を実現させるのは北朝鮮の体制を変えるしかありません。それ以前に何人かでも交渉で取り返すなら、「一括」はスローガンだけにとどめておくべきです。」は重要だ。結局は、拉致問題の早期解決も、北朝鮮内の人権侵害問題可決も北朝鮮の体制を変えることが必須であり、それらは北朝鮮の自由化が実現してこそ可能だと考える。
今後は、拉致問題をはじめとする北朝鮮における種々の人権侵害問題解決ために、北朝鮮の自由化を実現しようとする個人・団体が大同団結活動していくことが重要になると考えている。その具体的方法として、政府方針であるストックホルム合意に基づく解決に同調し、調査報告書を受け取り、連絡事務所の設置へと進んでいくことを提案したい。現実の世の中に百点満点の解決方法など存在しない、理想に固執して現実を直視しなければ時間だけが過ぎてしまう。ストックホルム合意という鋏は使いようなのだ。
令和5(2023)年5月10日
救う会徳島 代表 陶久敏郎