「日米2+2協議に期待する声明」
政府は、ブリンケン米国務長官とオースティン米国防長官が3月15日から3日間の日程で日本を訪れ、16日に、茂木外務大臣との外相会談や岸防衛大臣との防衛相会談、それに外務・防衛の閣僚協議、いわゆる「2プラス2」を開催すると発表した。
一連の会談では、中国が「海警法」を施行するなど、東シナ海などでの海洋進出を強めていることに懸念を共有したうえで、法の支配などに基づく「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて日米の結束を確認することが主題となると思うが、我々は、トランプ前政権から継続して日米同盟に立脚して解決を目指すところの日本人拉致問題をはじめとする北朝鮮における人権侵害問題についても、真摯な意見が交わされることを期待している。
バイデン政権が、中国が継続して行うチベット・ウイグル等の少数民族弾圧に代表される人権問題及び東シナ海・南シナ海等への進出と支配を目論む軍備の増強に強い態度で臨む方針を示していることを我々は支持したい。その上で、自国民に厳しい人権弾圧を行い、塗炭の苦しみを与えながらも核開発を繰り返している北朝鮮に対しても、民主主義や法の支配といった価値観を共有する同盟国として、緊密に連携して北朝鮮に対抗していく姿勢を明らかにすることを望むものである。
周知のとおり、日朝間にはストックホルム合意に明記された拉致問題をはじめとする諸問題が未解決のまま残存しているだけでなく、国際的にみれば、我が国が主体的立場で関わってきた国連の「北朝鮮人権状況非難決議」において、国連安保理が「人道に対する罪」と厳しく非難する北朝鮮内の過酷な人権状況にも改善の兆しは見られない。
今日、「安全保障と人権問題は表裏一体である」との認識が世界の主流と化している。その意味で、北朝鮮における核開発を含む安全保障問題と北朝鮮内の様々な人権侵害問題は同じ俎上で解決を図るべきであり、両方が解決しない限り北東アジアの平和と繁栄は実現できないと我々は考える。
以上のことから、今回の日米2+2協議では北朝鮮の安全保障問題と人権侵害問題についても深く議論し、その成果を来る日米首脳会談へと繋いでいくことを強く望むものである。
令和3年(2021年)3月16日
北朝鮮人権人道ネットワーク(NKHNW)
代表 陶久敏郎
役員・アドバイザー一同
【NKHNW役員】
陶久 敏郎 (救う会徳島会長)
加藤 博 (北朝鮮難民救援基金理事長)
佐伯 浩明 (在日帰国者の生命と人権を守る会代表)
川添 友幸 (救う会神奈川代表)
松尾 和幸 (博多ブルーリボンの会会長)
賀上 文代 (特定失踪者・賀上大助氏の母)
【NKHNWアドバイザー】
須田 洋平 (弁護士)
黒坂 真 (大阪経済大学教授)
川島 高峰 (明治大学准教授)
山田 文明 (在日帰国者の生命と人権を守る会名誉代表)
宮塚 寿美子 (国学院大学栃木短大非常勤講師)
井上 卓弥 (ジャーナリスト、「満州難民」著者)
宮塚 利雄 (宮塚コリア研究所代表)
眞鍋 貞樹 (拓殖大学教授)