Learning Tomato (旧「eラーニングかもしれないBlog」)

大学教育を中心に不定期に書いています。

vol.416:2011年7月の日経MJ教育マーケティング情報

2011年08月15日 | 教育関連マーケティング情報
■アフター4は自分磨き
資格教室やヨガスタジオ、「夏季限定」相次ぐ、アフター4の需要見込む。
2011/06/29, 日経MJ(流通新聞), 19ページ

【概要】
「サマータイム」を導入する企業が増えるなか、アフター4の習い事需要を
獲得する商戦が活発化しているそうです。例えばヨガスタジオ「スタジオ・
ヨギー」を展開するロハスインターナショナルは7月1日~9月30日、平
日午後5時に始まる「サマータイムクラス」を新設、また資格講座を運営す
るヒューマンアカデミーも同期間の入学者に対し、受講料を10%割り引く
サービスを開始したそうです。変わったところでは、料理教室のABCクッ
キングスタジオは7~8月に平日午後4~6時に始まる授業に参加した生徒
に、缶酎ハイ1本を無料提供するサービスを開始したそうです。

【コメント】
この記事はアフター4に能力開発をという内容ですが、その逆で最近は朝の
勉強会等も都心では活発に開催されるようになっているそうです。コガも年
を取ったせいか、最近起床時間が徐々に早くなっており、早めに出勤したり、
朝食前に家で仕事をする機会が多くなってきています。しかし朝早くから仕
事しても、結局仕事が終わる時間は大して変わっていません。だらだらしな
いで集中して仕事をしなければと思う今日この頃です。
社会人の自己啓発に関するアンケートで、自己啓発をできない理由として常
に上位にあるのが「時間がない」です。でも早朝セミナーやアフター4の活
用が増えると、その言い訳も使えなくなりそうですね。

■教室つき研修
GABA、企業内に英会話教室つきの講師派遣サービス開始。
2011/07/06, 日経MJ(流通新聞), 9ページ,

【概要】
英会話学校のGABAは、企業内に教室を設け講師を派遣するサービス「企
業内ラーニングスタジオ」を始めました。社員研修を長期受託した企業のオ
フィスにGABAの負担で個室などを整えて通いやすくすそうです。平均的
なモデルで10ブース程度の個室を備え、外観や内装は既存の教室と同じデ
ザインとするとのこと。研修を一定期間続けてもらうことを条件に設備投資
費用はGABAが負担するそうです。

【コメント】
これは中々太っ腹な企画です。どのぐらいの規模と期間で研修を継続すると
教室を作ってくれるのか不明ですが、教育ソフトにハードのオマケがついて
くるというのは中々珍しいビジネスモデルですね。そう言えば、バブルが崩
壊した頃、製造業の一部でボーナスの代わりに現物支給というのが話題にな
りましたが、その際、我々教育業界の場合「現物」は何になるのかと同僚と
話したことがありました。ボーナスの代わりに研修インストラクターが家に
派遣されてきたら嫌だよねなどと、その時は冗談を言い合ってましたが・・
あまり関係なかったですね。ハイ

■国会図書館VS民間企業、電子書籍夏の陣

国会図書館が電子本を貸す日──有料でデータ開放
2011/07/08, 日経MJ(流通新聞), 1ページ,

育て電子書籍、民間団結、「長尾構想」に先手
2011/07/25, 日経MJ(流通新聞), 1ページ,

【概要】
まず7月8日の記事から。1994年に『電子図書館』という本の中で現在の電子
書籍の世界を予言し、そして現在国会図書館(NDL)館長になった長尾氏
が、NDLの蔵書を電子書籍にし、それを電子書籍流通のプラットフォーム
にしてはどうかという「長尾構想」をぶち上げました。当然ではありますが、
出版業界各社からは、貸し出しの場合の利用料金が低すぎるなどと、反発が
広がっていきました。それらの反論に対し長尾氏は
・電子書籍の流通プラットフォームを一元化すれば利用者の利便性は向上
・米グーグルは出版社に対し有償で実施予定だが、NDLは無償で実施
・さらにNDLは電子化や保存のコストも負担する
等のメリットを語っています。貸し出しの方法としては、「同時期に1人に
だけ無料で貸す」のと「同時に何人かに有料で貸す」という2つ方法を検討
しているそうです。

こうした『長尾構想』に触発される形で、民間企業の動きがここに来て活性
化しています。それらについて書かれたのが7月25日の記事です。まず「V
HS対ベータ」の頃からの宿敵であったソニーとパナソニックが電子書籍で
提携を開始しました。さらにそこに楽天や紀伊国屋書店までもが協力し、電
子書籍を売る仕組み作りを行っています。
前述のNDLの動向だけでなく、AmazonやGoogleといった外資企業に市場を席
巻されてしまう恐れもあるわけで、急ピッチで提携協力の方向が進んでいる
ようです。その象徴が、電子書籍の規格の統一に向けた動きです。こちらも
長年のライバル、大日本印刷(DNP)と凸版印刷が中心となって発足した
「電子出版制作・流通協議会」が「電子書籍交換フォーマット」設定し、現
在複数の規格が存在する日本語コンテンツのフォーマットの変換を容易に行
えるよう仕組みを整備しつつあります。

【コメント】
最近読んだ中では衝撃的だった記事の一つです。もし長尾構想が進むと、電
子書籍で遅れをとっている我が国も一気に普及が進みそうですね。最近は米
国のAmazonが大学生向けに書籍を格安でレンタルするといったニュースもあ
り、どうも今回は電子書籍が一過性のブームに終わらず本格普及しそうな気
配がしてきました。コガもそろそろ携帯をスマホに変えようかなと真剣に考
えてしまう一方で、やっぱり本はいつまでも紙で読みたいなあと心が揺れる
のでした。

■「暗闇研修」でチーム力をアップ
資生堂竹中美和さん──「美」の先端担う人材育成(達人競争力を創る)
2011/07/08, 日経MJ(流通新聞), 6ページ

【概要】
東京・銀座7丁目にある資生堂の総合美容施設「ザ・ギンザ」は同社の商品
を一堂に集めただけでなく、メーク技術や肌診断など最先端の「美」のコン
テンツを紹介する流行発信拠点となっています。そこに集まるスタッフは、
百貨店担当のすご腕美容部員、コレクション(発表会)で世界を飛び回る
メークアーティスト、広告宣伝で定評のある写真家など腕に自信のあるプロ
ばかりです。その「精鋭部隊」60名をチームとして機能するようまとめてい
るのがコンシェルジュの竹中美和さん(37)です。

竹中さんが昨秋から力を入れて取り組んでいるのがスタッフ研修です。その
なかで劇的な効果があったのが「暗闇研修」と呼ばれる研修だそうです。真
っ暗闇の大きな会場内で、橋を渡ったり、ブロックの形だけを頼りに7色の
虹を作ったり様々な課題をこなしていく研修を開催しました。自ら声をかけ
て動き出さないと誰がどこにいるか分からない、周りにいる仲間の言葉を頼
りに自分の道を探し出す、相手が分かりやすいように情報を整理して手渡す。
五感以外の感性も刺激されたメンバーの間に「チームワークが芽生えてき
た」そうです。

【コメント】
その分野で一番のスペシャリストばかりを集めたチームのマネジメント、確
かに聞いただけでも大変そうです。コガが担当しているゼミでも、あまり特
徴がなくて地味そうな学生が、実はゼミ全体のムードを支える上で重要な役
割を担っていたりすることをよく目にします。そうした脇役がいないチーム
のマネジメントは確かに大変そうです。サッカーでいうとFCバルセロナの監
督みたいな感じなのかなあ?
ちなみに、資生堂さんの取組は「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」さんとい
う教育会社が企画している研修のようです。
「ビジネスワークショップ事例」株式会社資生堂様
http://goo.gl/zg3Yu
私はこうした研修の形態について知らなかったのですが、確かに視覚を失っ
た状況でのコミュニケーション研修というのは興味深いものがありますね。
大学教育でも取り入れてみたいです。

ちなみに昔観たビョーグ主演の「ダンサー・イン・ザ・ダーク」という映画
は面白かったなあ。

■紙つきeラーニングでなく、eつき紙教材
ネット講座「生中継」で攻勢、ベネッセ、双方向でやり取り
2011/07/22, 日経MJ(流通新聞), 9ページ

【概要】
進研ゼミのベネッセが、中学生を対象としたネット講座「EVERES(エ
ベレス)」で順調に会員数を伸ばしています。その学習ステップは下記のよ
うになっています。

・まず基本は紙テキストで学習
・次にネットで確認テストを受験
・テストの結果によりクラスを編成
・クラスごとのレベルに合わせた40分の生中継講座を受講
・受講中は講師の質問に対してチャットで回答

といった具合になっています。
レベルは公立トップ校の志望者が対象とやや高いものの、受講者は1年で4倍
に増えたそうです。家庭にいながら双方向の授業を体験できるところが支持
されているそうです。現在は中学生向けの通信講座にネット教材を追加でき
るという「オプション」モデルでの設定だそうですが、来年度からは紙とネ
ットを当初から組み合わせ標準プランとして導入する計画だそうです。なお、
「入試を紙で解く形式が変わらないかぎり、紙の教材を使った学習は必要」
という考えから、ベネッセとしては、ネット学習はあくまでも紙の教材を補
うものとして現状は位置づけているそうです。

【コメント】
「通信教育」をビジネスの中核として営む会社がeラーニングを考えると、
このような魅力的な教育形態になるのですね。基本的な知識付与を紙テキス
トによる非同期の学習で実施し、そこで不確かな部分を能力別編成の同期型
eラーニングクラスで補習するという仕組みは、学習効果が期待できそうで
す。小中学校の学習だけでなく、資格取得など社会人の教育にも応用できる
のではないかと思った次第です。お金と時間があったら、こういったシステ
ムで企業内教育の仕組みを作ってみたかったです。

今月の日経MJ教育マーケティング情報はいかがでしたか?
次回は8月28日号で特集する予定です。

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