Learning Tomato (旧「eラーニングかもしれないBlog」)

大学教育を中心に不定期に書いています。

vol.298:今年の新入生の傾向と対策

2009年04月14日 | teacher Centricな人体実験
例年4月になると、社会経済性本部で今年の新入社員のタイプを発表します。今年の新入社員は「エコバッグ型」。そのココロはというと、「環境問題(エコ)に関心が強く、節約志向(エコ)で無駄を嫌う傾向があり、折り目正しい。小さくたためて便利だが、使うときには大きく広げる(育成する)必要がある。酷使すると長持ちしない(早期離職)が、意外に耐久性に優れた面もあり、活用次第で有用となるだろう。早く消費を上向かせ、エコバッグを活用する機会を増やしたいものである。」とのことです。

話しは脱線しますが、筆者は先週、ユニコーンというロックバンドの復活ライブに行き、そこで「WAO!BAG」というエコバッグをお土産で購入しました。

右側は最新CDシャンブルのジャケットデザインなのですが、往年のブリティッシュハードロックバンドDeep PurpleのBurnというアルバムのデザインを彷彿させます。


今期からこのエコバッグを授業で使う配布資料入れに利用し、若さを演出する予定だったのですが、考えてみれば今の大学生がユニコーンを知っている訳もなく、変なデザインのエコバッグで登場する変な教員ぐらいに認識されるのでしょうね。
まっいいけど。

さて、新入社員が「エコバッグ」ならば、今年の大学新一年生の傾向はどうでしょうか?
いよいよ先週から新学期も始まり、1年生がキャンパスに通い始めました。筆者もガイダンスや入学前のセミナー等で彼らとぼちぼち接する機会がありまして、次の2つの特徴を第一印象として感じております。一つは「人の話をよく聴く」こと。もうひとつは「女性が優秀」ということです。

よく聴く1年生
前々回のメルマガで、小学生はきちんと人の話を聴くことができるのに、大学生は人の話を聴かないというコラムを書きましたが、今年入学した一年生達はきちんと人の話を聴くのです。今まで「うるさい」「静かにしろ」を授業中に連呼してきた筆者にとって、これは驚きの状況です。さらに、静かなだけでなく、きちんと話している人を見て聴いています。何人かは言われなくてもきちんとメモをとって聴いていますし、ちょっと注意すると全員メモを取るようになります。

社会人の方からすると「そんなの当たり前じゃないか」と思われるかもしれませんが、そこは偏差値低位校の宿命。入学時から「90分間静かに人の話をメモを取りながら聴ける」学生はあまり存在しなかったのが正直なところなのです。だから今年の1年生の「よく聴く」態度は良い意味で意外でした。

もちろんこれから慣れてうるさくなるのかも知れませんが、入学直後の比較においては、やや辛口のうちの学部長でさえ「ここ数年の新入生の中では聴く態度が一番しっかりしている」と評していたので、やっぱり凄いのだと思います。他の大学ではどうなのかなあ?

優秀な女子学生
もう一つの第一印象である「女性が優秀」は、今に始まったことではありませんが、今年は特に優秀なのです。グループワークをやらせても、中心となってチームを仕切っているのは大抵女性です。また新入生向けのガイダンス等で集まった際、見知らぬ同士でもすぐ挨拶して仲良くなれるのも女性なのです。

さらにガイダンス等での質問も的確で、考え方もしっかりしています。例として、私がアカデミックアドバイザーとして13人の新入生の時間割作成のお手伝いをしている科目履修のガイダンスでの出来事をお伝えしましょう。そこでの男子学生からの質問は、「必修科目で指定された時間に別の科目を履修したいのですが」とか「2時限連続の授業は最初の時間だけマークシートに記入すればいいのですか?」といった事務手続き的な内容(しかも記入マニュアルを読めば分かるような)が大半を占めます。

しかし、女子の場合「私は将来マーケティングのコースに進みたいと思っているのですが、この『環境経営』という科目はマーケティングを学ぶ上で役に立ちますか」というように、かなりつっこんだ質問をしてきます。自らの学習の方向性を定めて履修科目の学習内容をきちんと吟味しているのです。この格差は一体何なのだろう?

今後の対策
まず、静かな学習態度については、いかにこのまま育ってくれるかに尽きます。上級生を真似して授業中オシャベリを始めるようにならないことを祈るばかりです。「女性が優秀の方」は、男子のいいところを発見し、それを伸ばしてあげられるかどうかにかかっています。しかし男子は元気がないなあ。なんとかせねば。

Vol.294:キャリアな日々~教員の春は結構忙しいのだ~

2009年03月13日 | teacher Centricな人体実験
1月頃、筆者は「教員は2月3月は授業がないから、きっと毎日楽々な日々を過ごせるのだろうなあ」と期待に胸ふくらませていました。しかし、人生甘くはありません。年明け以降、少なくとも平日は毎日働いております(時には休日も)。一体何がこんなに忙しいのかと、ここ数週間の仕事をふり返ってみました。

Feb 21(sat)・・・WPL2009の打合せ
来年のWPL2009の企画をワークショップで考えるという会に参加しました。筆者から大した案を提案できなかったのですが、結構おもしろかったです。ちなみにワークショップの模様は下記の中原先生のBlogを参照願います。
http://www.nakahara-lab.net/blog/2009/02/post_1446.html

Feb 23~24(mon~tue)・・・入学前キャリア開発支援セミナー担当
後述。

Feb 25(wed)・・・会議の嵐
朝10時から19時まで6連続会議。さすがに疲れました。

Feb 26~27(thu~fri)・・・キャリア系授業用インタビュービデオ撮影
後述

Mar 2・4(mon・Wed)・・・教育ゲーム体験会に参加
産能大学の社会人教育部門主催の企業内教育向け教育ゲーム体験会に参加。ほとんどのゲームが学生教育にも活用できそうで大収穫。しかし2日間11種類の教育ゲームを連続して受講したためこの日もヘトヘトに。

Mar 5(thu)・・・社会人基礎力グランプリに参加
去年に引き続き、よみうりホールで開催された社会人基礎力グランプリ決戦大会を観に行く。会場で偶然長岡先生に会い一緒に観戦。筆者が投票したのとは全く違う大学が優勝しました。分からないものですね。

Mar 3・6(tue・fri・sat)・・・キャリア系授業用インタビュービデオ編集
後述

と色々やっています。さらに来週からも続々と予定が入っておりまして、大学職員時代同様忙しい日々を送っております。

さて、このように2月後半の仕事をふり返ってみると「入学前キャリア開発支援セミナー」と「キャリア系授業用インタビュービデオの撮影&編集」と「キャリア」関連の仕事が多いことに気がつきました。ということで、この2つについてどんな仕事だったのかご紹介したいと思います。

入学前キャリア開発支援セミナー
産業能率大学ではAO入試や推薦入試で入学する学生を対象に入学前の段階でセミナーを開催しています。企業で言えば内定者教育といったところでしょうか?実施の背景は大きく3点あります。

1)入学前のこの時期、学生はあまりにも何もしていない
今回の対象であるAOや推薦入試で入学してくる学生は既に秋の段階で入学が決定しています。それから4月中旬の授業開始まで、多くの学生は全く勉強しないで過ごしています。高校は、1月ぐらいから「自由登校」にする学校が多く、学生達は家でダラダラするかバイトの日々を送っているようです。その一方、一般入試で入学してくる学生は2月中旬までは死にものぐるいで勉強している訳でして、両者のギャップを埋めることが初年次教育でかなり課題になりつつあります。

2)大学で学ぶ目的をそろそろ真剣に考えて欲しい
今回の入学前セミナーのテーマは「キャリア」でした。大学で何を学ぶかを教えるのでなく、まず5年先あるいは10年先の自分がどうありたいかを考え、そこから逆算して大学生活で何を学ぶべきかを考える構成となっています。昨年までと異なり、一気に経済環境が悪化したため、ノホホンと大学4年間を過ごしていては就職が難しくなってしまいます。そこで早期からキャリアの方向性について考えるきっかけを作ることが求められています。

3)スムーズに4月を向かえる
学生にとって、この時期に学ぶ意識を高め、学生生活に対しての不安を取り除くことが、スムーズに大学生活に入る上で重要です。また我々大学教職員にとっても、早期に新入生と出会うことで、新学期に向けての覚悟というか気合いが乗ってきます。

そのような背景からセミナーは実施されました。筆者はこのセミナーの講師を初めて担当しました。当初は不安だったのですが、結論から言うと非常にやりやすい授業でした。入学前ということで、みな大変マジメな受講態度だったからです。例えば「ノート取れ」といったらきちんとノートを取るし、寝ている学生は一人もいない。見知らぬ同士でもすぐにグループワークを始めることができる。一番驚いたのは、グループごとの発表をやらせる時「最初に発表したいグループは?」と募ったら2~3グループ一斉に手が上がったことです。ぜひこのままのポジティブな受講態度で4年間を過ごして欲しいと願うのでした。

キャリア系授業用インタビュービデオの撮影&編集
こちらは、来年大学2年生向けに実施する「キャリア設計と業界研究」という必修科目の準備です。この授業は4人の教員で担当しているのですが、来年から大幅に内容が変更することになったため、現在各教員が分担で教材を作成しています。

筆者が作成を担当する講義の中には「ラインの仕事」「スタッフの仕事」について教えるパートがあります。これらを一方的に講義で説明しても面白くないので、産業能率大学で働く人事部や総務部の人、あるいは社会人部門の営業や開発スタッフにインタビューし、それをビデオに収録・編集して授業に活用するということを思いつきました。

インタビュービデオを通じ、生の声で仕事の内容を知ることができる上に、普段知らない大学職員の仕事を学生に認識してもらえるので、なかなか面白いビデオになってきました。

また撮影後に知ったのですが、こうしたインタビューを収録することが、インタビューされる人にとってキャリアのふり返りを促すきっかけになったようです。授業のコンテンツを開発しつつ、SD(スタッフ・ディベロップメント=大学職員の能力開発)の機会も創出することができたと言っては少々大げさでしょうか。

少なくとも筆者自身はインタビューを通じてキャリアについて深く考えるよいきっかけとなりました。ちなみに後一人分の編集が終わればビデオは完成です。ガンバロウ・・・

ではまた来週。

vol261:熊大教授システム学専攻の公開学位審査会参加記

2008年02月17日 | teacher Centricな人体実験
熊本大学大学院の教授システム学専攻の非常勤講師を担当して早2年、しかしeラーニングで授業を担当していることもあり、今まで一度も熊本大学に行ったことがありませんでした。いつかは熊本に行きたい!と思っていたところ、2月9日に第一期生の皆さんの「公開学位審査会」が開催されるという事で参加してまいりました。

以前、筆者の桜美林時代の指導教官から「遠隔学習を主とする大学院の場合、学位審査会に参加するとその大学院の本当の姿が見えてくる」とアドバイスをいただいた事があります。確かにその場に参加してみないと分からない空気を今回審査会に参加することで体感することができました。多分こういう雰囲気はeラーニングでは伝わらないものなのだと思った次第です。

15分の7という数字
今回7人の修了予定者の発表がありました。2年前に入院されたのは15名なので、半分をやや下回る結果となりました。専攻長の鈴木先生は、10名は修了して欲しかったと述べられておりましたが、筆者はこの修了率は高いとさえ思っています。なぜなら一般の大学院よりも、修了に至るプロセスが大変だからです。

本課程で実施されている学習方法(eラーニング)は大学設置基準上は「インターネット等活用授業」に分類されます。この方法の場合「毎回(つまり15回)の授業の実施にあたって設問解答、添削指導、質疑応答等による指導を併せ行う」事になっており、普通の通学制や通信制の大学院より多くの提出やタスクが課されることになります。

さらに、IDの考え方を取り入れて全体のカリキュラムを設計しているため、科目毎の前提条件の設定が厳格です。よって初年度のカリキュラムはかなり膨大なものとなり、そこで合格しないと必然的に次年度履修できる科目が少なくなってしまいます。

そうした状況を勘案すると、7人がここまで辿りついたという事は相当すごい事と筆者は考えています。ちなみに学士課程のため単純に比較はできませんが、早稲田大学のeスクールを4年で卒業した人は53名、卒業率は32%、熊本大学は7/15なので47%です。

そもそも学士課程4年、修士2年というのは、フルタイムで学ぶ学生を前提として設定された修了予定年限なので、それをパートタイムで学習する社会人に適応すること自体が間違っているのではと筆者は考えています
(筆者自身大学院修了まで2年半かかったので、自己弁護の意味もありますが(-_-;)。

発表内容
発表時間は一人30分。15分の発表の後フロアや指導教員との質疑応答があります。会場には、M2およびM1の学生、指導教員など総勢40名が集まっていました。筆者はもっとこじんまりとした審査会を予想していたので、やや意外でした。おそらく発表した学生の人は想定外のギャラリーの多さに憂鬱?な気分になったことと思われます。

個別の発表内容については触れませんが、大きく分類すると「何か(システムやコンテンツ)を作ってみた」と「何かを証明してみた」タイプの2つの研究に分類されました。

特に前者を社会人大学院生が取り組むと
「開発資金も十分でない」
「時間もあまり取れない」
「一人で全部やらなければならない」
といった制約条件がつきます。さらに、ただ作るだけでなく実際に使ってもらい教育効果を測定していく等の並大抵ではないステップが待ち構えているため、こうして発表にたどり着くことだけでも凄いことだと思った次第です。

私も死ぬ気でがんばるから
公開審査会の終了後に懇親会が開催されました。その場で今回の発表者が順番に感想を述べるのですが、そのうち2名の方が「実は年末に修論の提出をあきらめかけた」と告白しました。しかしその際修論の指導教官から
「私も死ぬ気でがんばるから」
というメールが届き、挫折から立ち直ったそうです。おそらくその指導教官の方もその後徹夜続きで査読しては修正のアドバイスをしていたものと思われます。eラーニングでも通学でも、教える側と学ぶ側の熱意が決め手なのだと再度実感した次第です。

後輩にとっての学びの場
私は参加できなかったのですが、この審査会の翌日から、M1の学生の研究計画発表会があったそうです。ということでM1の学生はほぼ全員先輩の公開学位審査会に参加していました。先輩の発表する姿を目の前で見ることにより、普段のインターネット上で学ぶ以上の事を吸収し、来年のこの日この場に向けてのモチベーションが高まったものと思われます。

入院前の人のために、修了した人のために
今後、この公開学位審査会に、今回修了した学生も参加していくことをぜひお勧めしたいと思います。自分たちの後輩の指導という面だけでなく、修了した後の自らのブラッシュアップのためにも学校とは常に接点を持ち続けた方がよいからです。またできれば今後入院予定の方も「大学院のゴール」のイメージを持ってもらうためにも参加できるといいだろうなあと思った次第です。

vol.258:記述レポートのコメントに苦慮する日々

2008年01月19日 | teacher Centricな人体実験
最近、今年担当2年目となる熊本大学大学院の「教育ビジネス経営論」のレポート採点とコメントの仕事がピークを迎えております。

授業の概要はこちら
http://www.gsis.kumamoto-u.ac.jp/master/curriculum/13/syllabus_13.html

筆者が担当しているのは全15回のうち4回だけなのですが、その間、記述式のレポートが3回あります。科目の履修者数はM1の学生全員+科目等履修生で26人ぐらいです。よって26×3=最大78のレポートへのコメントを作成しなくてはなりません。しかし、幸か不幸か私の担当ユニットの前で脱落した受講者もいるため、現在約20人となっています。

20人といえども、色々調べながらコメントを書くため1レポートのコメントを仕上げるのに平均で20~30分はかかります。告白しますと、もう少しあっさり目のコメントにする予定だったのですが、私の前のユニットを担当しているJMAMのS氏が質/量ともに素晴らしいコメントを書いているので、手を抜く訳にはいかなくなっている次第です。

今更ですが、熊本大学側はこういうシチュエーションになることを事前に予想し、あえて組んだオーダーだったのではないかという気さえしています。

例えばこんな会話が熊大内であったのではと・・・

SK氏:「殿、競合のJMAMのSの後では対抗上Sannoの古賀も手は抜けまいという作戦でございます」
KS氏:「SK、オヌシも悪よのぅ。フォッフォッフォッ」

匠IDerの仕事を盗め!
では匠IDerの場合、大量なレポートのコメント回答にどう対処するのでしょうか?実は、ひょんなところから先日、筆者は貴重な添削済みレポートを入手し、その奥義の一端を知ることとなりました。

某国立大学に勤める友人が、放送大学の「人間情報科学とeラーニング」という科目を履修しており、彼から添削後レポートを見せてもらったのです。添削責任者は主任講師であるご存知我等がIDの匠、鈴木克明先生です。

ちなみにこの科目は半端じゃない人数が履修しています。昨年実績では評定した人だけでも381人に達しているそうです。たしか2週間ぐらいのスパンで採点とコメントをしなければいけなかったような事を以前鈴木先生から聞いた記憶があります。たかだか20数人でヘトヘトになっている私などとはレベルが違います。ということで、どうやって鈴木先生はこの添削指導を行ったのだろうかと以前から気になっていました。そして今回友人のレポートを見せてもらい、その奥義を知るに至ったのでした。

個別のメッセージの分量は3~4行とそんなに多くないものの、手書きでした。著名な先生の直筆のコメントというのは、たとえ分量が少なくともWord等で書かれたものと異なり、受講者にとって大変嬉しいものです。私も大学院時代に寺崎昌男先生という大学史の世界で大変著名な先生からの直筆のコメントをいただき「本の著者でしか知らなかったあの先生が私のレポートを読みコメントまでしてくれているのだ」と大変感銘を受けた思い出があります(寺崎先生については下記webサイトを参照のこと)。
http://rihe.hiroshima-u.ac.jp/html/-rireki-terasaki.html

しかし、手書きのコメントは情緒的な満足感は高めてくれるものの、本来の学習目標到達に応じた指導を、単独の講師による直筆や個別のコメントで行おうとすると大変骨の折れる仕事となってしまいます。ましてや400人近くのレポートに対してのコメントを一人の講師が短時間で書くことは不可能です。本学の通信教育事業では、共通の添削基準をもった複数の添削指導講師が担当することで、この問題をクリアしてますが、もし講師が一人しかいなかったらお手上げです。

その問題を解決するため、鈴木先生は「解答に対する総合的な指導・助言」という受講者に共通のペーパーを添付していました。そのペーパーの冒頭には、

「直接お会いすることがない皆さんと講師との貴重なやり取りであることから、「一言」だけの朱書きより、全体的な指導・助言+αという形をとらせてもらいます」

という解説があります。その前書きに続いて出題の意図を説明し、それに伴って解答が有すべき要件(1課題につき3つ程度)を提示しています。そして解答者のレポートで満たされていない要件には×がつくという仕組みになっています。

おそらくWebでの提出/添削であったら、別のやりかたを選択したのかもしれません。そして受講者の人数や添削指導に許された期間によっても異なる指導方略をとられたものと推察します。400人という受講者、限られた時間という制約の中で、きちんとした学習内容の指導と情緒面の満足感を実現する鈴木先生の指導方略はやはり匠の技と実感した次第です。

ちなみに4月からの放送大学の履修申し込みが現在インターネットで始まっています。出願は2月末までです。
http://www.u-air.ac.jp/hp/system/system05.shtml全科生でなく、科目履修生であれば入学金6,000円 、授業料は放送授業の
場合、11,000円とリーズナブルです。鈴木先生の授業以外にもおもしろいテーマの科目がありますので、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

Vol197:新企画Teacher Centricな人体実験

2006年10月18日 | teacher Centricな人体実験
週刊化を記念し、新しい企画を考案しました。名づけて「Teacher Centricな人体
実験」。今まで、40代のおじさんが通信制の社会人大学院で勉強する「ラーナー
セントリックな人体実験」という企画をお届けしてきましたが、それと平行する
形で(この「平行」というところがミソ)Teacher Centricな人体実験を開始しま
す。

以前本メルマガでもお伝えしましたとおり(Vol175:熊本大学の挑戦)
http://blog.goo.ne.jp/sanno_el/e/5350b2c6401cdb2937c2bfa4b6668fb5
この秋から、熊本大学大学院社会文化科学研究科教授システム学専攻(ふっー長
い)の「教育ビジネス経営論」という科目の一部を非常勤講師として担当させて
いただくことになりました。私の担当は「大学にとっての教育ビジネス」という
トン単位に重いテーマです。それを受講者の関心領域でもあるeラーニングと結び
付けて考えていくというなかなな難儀な代物です。

3つの立場でeラーニングに携わる
私自身、産能大では開発者としてeラーニング(遠隔教育)に携わってきました。
そして昨年より、桜美林大学大学院で学生としてeラーニング(遠隔教育)で学ん
できました。そして今回先生の立場で、eラーニング(遠隔教育)を経験する機会
をいただくことになりました。

「Distance Learning: A Step-By-Step Guide for Trainers」という本の中で、
学習者、IDer、教師の3つの立場でDistance Learningを体験することが大事だと
書かれており、いつかは挑戦してみたいと思っておりました。(本については下
記のメルマガバックナンバーを参照のこと)
http://www.hj.sanno.ac.jp/cgi-bin/WebObjects/107c2074456.woa/wa/read/c1_1
0ce714787c/


しかし、同時平行で3つやる事もないよな~。と思いつつ、同時期に3つの役割
を担当する臨場感を学習者の皆さんに、お伝えできればと思っています。

コンテンツ開発進捗
とは言っても15回の授業のうち、私の担当は4回分だけです。トップバッターは
人財ラボの下山氏、二番手はJMAMのeラーニングを仕切るドン柴田氏、私はその後
の出番となっています。
まずは科目全体のコンセプトにあわせて、各担当者の受け持ちについてのラフ案
のすり合わせを7月に実施しました。そして9月の中間報告ミーティングを経て、
現在トップバッターの下山氏のコンテンツがリリースされている状況です。私の
受け持ち部分はほぼ7割ぐらい完成。現在コンテンツの細かいチェック。という
より分量が多くなっちゃったので、その見直しをかけています。それと現地取材
のビデオ撮りもあったなあ。

内容
全体の内容は熊本大学のサイトでシラバスをご覧ください。
http://www.gsis.kumamoto-u.ac.jp/curriculum/13/syllabus_13.html
各回の概要は

「第10回 教育ビジネスとしての大学とは」
今回の受講者は意外に大学関係の人が少なかったので、まずは大学や高等教育の
世界をビジネスとか経済の視点から概観するセッションを最初に実施します。

「第11回 ビジネスプランを考える」
企業研修で言うと、経営戦略を考えるパートなのですが、とても1回の授業で終
わる訳もなく、ここでは外部環境分析に特化することにしました。大学をマーケ
ットとしてみた場合に「少子化」「情報化」「国際化」がどのように影響してい
るのかを考えてもらいます。

「第12回 大学のマーケティング」
これも到底1回で終わるテーマではありません。ということで、STPの最初のS。
つまりセグメンテーションについてだけ取り上げることにしました。

「第13回 大学の人と組織」
これが一番ハードなテーマです。ということで、大学を構成する2つの人種「教
員」と「職員」について一般論を理解してもらい、その上でeラーニングを実践す
る組織体制はどうあるべきかを考えてもらうことにしました。

学習方法
各回ごとに学習方法を変えることで、普段の仕事ではなかなかできなかった事に
今回チャレンジする予定です。第10回ではおそらくPod-castingを用いたeラーニ
ングに挑戦。第11回では知識構成主義的な「大人の調べ学習」、第13回は図書とe
ラーニングのブレンディング。そして最終回はインタビュー映像による生の事例
からの学習。といった構成です。

開発体制
おおまかの素材を私が作成し、それを熊大でコンテンツを開発しているM女史に
送付。M女史がWebCTというeラーニングのシステムに搭載してくれるというダン
ドリで進んでいます。そろそろ10回分だけでも送らねばという時期にきており、
少々あせる日々です。

次回以降、内容および、各学習方法での悪戦苦闘等をお伝えしていきたいと思い
ます。