Learning Tomato (旧「eラーニングかもしれないBlog」)

大学教育を中心に不定期に書いています。

vol.432:2011年11月 日経MJ 教育マーケティング情報

2011年12月05日 | 教育関連マーケティング情報
あっという間に11月も最終週なんですね。そこで月末恒例の「日経MJ 教育
マーケティング情報」をお送りいたします。

■少子化への処方箋はどの業界も一緒?
べネッセ、新興国を強化、17年3月期、海外比率25%に。
2011/11/02 日経MJ(流通新聞) 11ページ

【概要】
ベネッセホールディングス(HD)は2013年3月期から5カ年の中期経営計画
を発表しました。教育事業の海外展開の加速と介護事業の拡大により17年3
月期に売上高6000億円を目指すそうです。

海外事業については、現在中国と韓国と台湾で子供向け通信教育を実施して
いるそうですが、今後はインドなどの新興国市場に進出し、海外売上高比率
25%(現在11.7%)を目指すそうです。また介護事業では介護施設を年間25
~30カ所開設していく方針で、進出地域の拡大や低価格帯への参入などによ
り、入居者数の増加を目指すとのことです。

【コメント】
日本の教育ビジネスは、「日本語」という言葉の障壁もあってか、今まであ
まり海外進出に積極的ではありませんでした。しかし少子化で市場が縮小す
る中、幼児~初等教育ではここ数年、アジアを中心とした海外進出が盛んに
なっており、この傾向は今後も続くことが予想されます。とはいうものの、
海外進出はコストもかかるし、一筋縄ではいかない分野であることは確かで
す。他の教育事業者が尻込みする中、ベネッセの"しまじろう君"は孤軍奮闘
して海外への活路を見いだそうとしているようです。

■クラウドシステムを活用した360度人事評価
部下からも人事評価、ジェイアイエヌが新制度、給与とは連動せず。
2011/11/07 日経MJ(流通新聞) 6ページ

【概要】
眼鏡専門店「JINS」を運営するジェイアイエヌは、上司だけでなく部下
や同僚からも働きぶりの評価を受ける新たな社内人事制度「360度フィー
ドバック制度」を開始しました。評価はスマートフォンやタブレットPCを利
用して入力するそうです。人事コンサルティング会社のセレブレインの協力
を得て評価の仕組みを作り、シルクロードテクノロジーの提供するクラウド
システムを利用するとのことです。

【コメント】
早速シルクロードテクノロジー社のWebサイトを覗いてみると、ジェイアイ
エヌさんの導入事例紹介セミナーが開催されるではありませんか。

「3Dフィードバック人事マネジメントの導入効果体感セミナー」
http://www.silkroad.co.jp/jp/events/taiken3d.html

多面評価制度自体はかなり昔から存在しますが、運用の複雑さや、被評価者
をあまりよく知らない評価者が評価するケースがよくある等の理由から、こ
れまであまり普及してきませんでした。しかし、ITを活用したシステムを導
入することで、運用面の改善については期待できそうです。またスマート
フォンやタブレットPCからも入力できる点は、パソコンの台数が少ない店舗
にとって朗報かも知れません。

■おもちゃというには少々高価格ですが、、、
タカラトミー、英単語つくる電子パズル投入。
2011/11/09 日経MJ(流通新聞) 11ページ

【概要】

タカラトミーは、米ハスブロ社が昨年発売した電子パズルゲーム「ボグルフ
ラッシュ」を日本で発売します。これは液晶画面に映ったアルファベットを
組み合わせて英単語をつくるゲームで、本年度から英語が必修科目となった
小学校高学年を主なメインターゲットとしているそうです。希望小売価格は
4,515円。ゲームの概要については下記サイトをご覧下さい。
http://www.takaratomy.co.jp/products/boggleflash/

【コメント】
値段がちょっと高いなあとは思いますが、かなり物欲を刺激する知的トーイ
です。この商品が成功すれば、四字熟語の漢字バージョンを開発したり、
数字と加減乗除記号の算数バージョンを開発したりと、バリエーションが膨
らみそうです。

それにある意味eラーニング的とも言えなくもないですね。

■電子化の反動がこんなところに!
高級ノート、人生の宝箱──長く使って、大切に残す(ヒットの裏側)
2011/11/16 日経MJ(流通新聞) 20ページ

【概要】
1冊1000円以上もする高級ノートが密かなブームとなっています。
人気の秘密は、

・高いノートだともったいないから継続する
・気持ち良くペンが走る(紙質が良い)
・自分で買うなら拘りたい
・金額以上にぜいたくした気分になれる(ブランド品を所持する気分)

などだそうです。ノートの使い道はダイエットの記録や自分の日常を書き綴
ったりと様々ということです。

【コメント】
実はコガも以前に、東急ハンズに陳列してあったモレスキンという高級メモ
帳に心惹かれたことがあったのですが、購入までは踏み切れませんでした。
日頃新聞のスクラップブックに1冊100円のノートを使っているので、「うー
ん世界が違うなあ」とふと我に帰ってしまったためです。しかし、世の中は
スマートフォンやPCタブレットが爆発的に普及しつつあるというのに、今に
なってノートに人気が集まるのは、少し不思議な気もしますね。

■タニタの食堂が丸の内のど真ん中にやってくる!
ビジネスマン需要に的、東京・丸の内に、きちり、タニタと店舗。
2011/11/23 日経MJ(流通新聞) 15ページ

【概要】
続編とあわせて累計420万部という驚異的なベストセラーになったレシピ本
『体脂肪計タニタの社員食堂』のリアルな食堂が丸の内にオープンします。
洋風居酒屋を運営する「きちり」と健康機器メーカーのタニタが業務提携し、
「丸の内タニタ食堂」を来年1月に開業することになったのです。営業時間
は午前11時から午後3時までとお昼限定です。最大のポイントは1食あた
り500キロカロリー前後に抑え、塩分も少なめにした食事。日替わり(800
円)と週替わり(900円)の定食2種類を提供し、食事以外にも無料の健康
相談コーナーも設けるそうです。

【コメント】
先日聞いた話ですが、ある大学で、何が学生の成績に影響を与えるのか様々
な要因との関係を調べたところ、最も相関関係が高かったのが「朝食を食べ
ているかどうか」だったそうです。そんなことから最近「食」が学業や仕事
に与える影響は、予想以上に大きいのではないかと考えています。

なので、低カロリーで栄養のバランスが取れたお昼ご飯が日替わりで提供さ
れる本食堂は、社食のない丸の内リーマン諸氏にとって大変魅力的な筈です。
メニューを2品に絞り込んだり、社員食堂風にセルフサービスにすることで
効率化を図っているようですが、果たして昼間だけの営業で経営が成り立つ
のかどうかやや気になるところです。夜は「居酒屋」でなく、そのスペース
を活用し、健康や食事に関するアフターファイブスクールを実施したら企業
イメージもUPしてよろしいのではないかと個人的には思った次第です。


■若手の活用と採用
若手の発想でプラン企画、リーガロイヤル、登用を積極化
2011/11/23 日経MJ(流通新聞) 9ページ

【概要】
ロイヤルホテルが旗艦施設のリーガロイヤルホテル(大阪市)で若手社員の
登用を積極化しています。宿泊プランの企画や新レストラン開業などを20~
30代中心のチームに任せ、若い発想で新規顧客の開拓を狙っています。

また、今春の人事異動では、50代後半が中心だった部長級ポストに40歳代~
50代前半の人材を登用。さらに新卒採用も来春は30人超と今年入社の2倍に
増やす計画だそうです。これは「中途採用ばかりでは社内が活性化しない」
と川崎亨社長が決断したとのことです。

【コメント】
若手社員を企画開発に登用することで、斬新なアイデアを創造し、それをヒ
ットに繋げるのが狙いの一つかと思いますが、それ以上に「若手社員のモチ
ベーション向上」や「新卒採用時の会社のアピール」にも効果がありそうで
す。若手社員の離職率を軽減したり、優秀な新入社員を獲得できる可能性の
向上が期待できるからです。いずれにせよ「中途採用ばかりでは社内が活性
化しない」というリーガロイヤルホテル社長の言葉は、ここ10年近く新卒が
入職していない本学にとっては耳の痛いメッセージです。

■杜の都でMBA
来春、仙台に経営大学院、グロービス、東北初MBA課程も。
2011/11/25 日経MJ(流通新聞) 9ページ

【概要】
グロービス経営大学院は来年4月、東京、大阪、名古屋に続き、仙台市内に
仙台校を設立し、東北では初めて経営学修士(MBA)の取得課程を持つビ
ジネススクールとします。東北6県の在住者は入学金や授業料を減免するな
ど震災復興支援の側面もあります。そして早期に開講するため、授業には仙
台駅前の貸会議室を利用するそうです。

【コメント】
米国では株式会社立大学を中心に、複数の都市に校舎を設置する「ブランチ
キャンパス」方式が採用されています。通えるキャンパスが複数あることで、
社会人学生が職場の近くで夜間に学べるというメリットが提供できるからで
す。

日本でこのブランチキャンパス形式で大学院を運営している大学は、まだ多
くありません。また貸会議室を教室として活用するというアイデアも、かつ
ての日本の大学設置基準では認可の下りない方法ではないかと思います。
「震災復興」と「規制緩和」いう時流にうまく乗り、新たな事業展開を続け
ている点が素晴らしいですよね。

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